勝手に”緩和”が進む中で最大限の自衛を

世界的なコロナ蔓延から一年半が経過し、諸外国では新規感染者数や重症者数、実効再生産数、病床確保率などの諸数値の落ち着きとワクチン接種の進行をみながら、民間の大規模イベント開催を容認したり営業店舗への制限を緩める等の措置が図られるようになって来ている。

諸外国と日本との間で接種のスピード感に違いが生じたのは、ワクチン自体の確保に要した時間の差だけでなく、前者では専用会場を設営しての集団接種でまとまった人数が一どきに臨むというのが主流だったのに対して、閉鎖的なお国柄からか或いは日本医師会の方で全国の医師の四分の一ほどを占める会員開業医の利益保護の目的でその有効性を強調したことの影響もあってか、後者では個別・職域での接種でないと足が向かないという人も多く見受けられるという事情の違いにもよるだろうか。

新型コロナウイルスが在ることを前提としての経済再始動への取り組み内容は国によって異なるが、今後は概ね、二度のワクチン接種を示す「接種済証」や、海外渡航時の携行物として必要性が高まっているいわゆる「ワクチンパスポート(新型コロナウイルスワクチン接種証明書)」、また直近日におけるPCR検査での「陰性診断書・証明書」等の提示により、昨年中よりも施設利用やイベント参加をし易くするような緩和がなされるだろう。

その緩和の前提として、営業施設やイベント会場側はマスク着用の励行やソーシャルディスタンスの確保、換気と除菌の徹底等をはじめとした適正な運営が望まれるのは従前の通りであり、ここに利用者側と営業施設・イベント運営側との間で認識と都合の差異が生じる場面が目立つようになると見通す。

具体的には、ワクチンの効果に対する知識の度合いが個々人で異なることから、ワクチンが有している重症化リスクを低減するという効果を、感染率の低下や完全な防御効果まであるのだと誤認する者が増えて、市中を出歩く際にマスクを着けず放埓な振る舞いをすることで各所にて面倒事を起こす可能性も高まるだろう。

我々ぱちんこ業界、特にホール営業においても、入場口付近でマスク未着用の者へ声掛けする機会や、ワクチン接種しているので大丈夫だと主張する者と押し問答する場面も増えて来ると思われるが、ホールに限らず営業施設全般は施設運営にあたり「他の来店客の目」までも考慮する必要がある。

ゆえに、いかに個々人が、自分はワクチン接種済みでありこの通り陰性証明書も持参している、などと主張しても、一瞥してそれと判別できる風体で施設利用しているわけではないのだから、この施設内ではマスク着用等による感染拡大防止のための対応の必要が無いと思い未着用で入場して来る者が増えたり、対策に落ち度がある営業施設であるなどと勘違いする者も多くなるように思う。

ホール営業の現場で、同じような事例をひとつ挙げると、アルコール飲料の持ち込み事情が近いだろうか。東京都の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」第7条にも明示されているように、各都道府県の条例では、営業所内で客に飲酒させることを禁止している。

そのため、開栓されたアルコール飲料を持参して入店しようとする者には例外なく声掛けを実施するのが営業現場の常なのだが、近年販売されている「ノンアルコール」を謳う飲料はアルコール含有のものとデザイン上一見して区別がつきにくいものもある。

仮にノンアルコール飲料の店内への持ち込みや遊技しながらの飲用を認めた場合には、この店では飲酒しながらの遊技が可能なのだと誤認して同じように振る舞う者が出て来たり、この店は条例に違反していると勘違いして通報等に及ぶ者が出て来る可能性があるという具合いに、施設管理者たるホール側に生じる責任や負担、また場合にっては損害までもが発生してしまうため厄介だ。

そのため、乱暴な言い方をすれば面倒事の回避のため、ノンアルコールだろうがアルコール含有飲料と見分けがつきにくい商品の持ち込みは一律禁止にしているというホールも沢山あると把握している。

話を戻して、では一体いつまでマスク着用での入場に限るのか、昨夏あたりに政府・自治体が盛んに広報したものの今ではそこまで見聞きしなくなった「新しい生活様式」とやらの一環として当分の間はマスク着用をお願いするべきだ、などという議論が持ち上がるだろうが、その当分の間がいつまでなのか見通せない以上、民間で漸次緩和という流れになるのは致し方ないことのようにも思う。

結論としては、変異株が如何ほどに蔓延しようがワクチン接種率の上昇に連れて世間一般では勝手に「緩和」が進むため、自分自身また自社・自店では感染防止のための対策レベルを維持しつつ、ワクチン接種の励行により感染時の重症化リスクを低減するのが望ましい、ということになる。

昨年末から年始にかけての第三波時までは「知人の知人まで範囲を広げても、新型コロナ患者は一人も居ない」という者が多かったであろうが、今夏に臨んでは近しい人が感染したり最悪の場合は重症化や落命という悲惨な事態に至っている場合も増えているだろうから、読者各位におかれてはどうか、身の周りの安心・安全のために最大限の警戒を保っていただきたいと述べて本稿を締める。

楽太郎

Posted by 楽太郎