コロナ禍は日本社会に内在する諸課題の改善をより一層困難なものにするか

厚生労働省ならびに国立社会保障・人口問題研究所によると、今から19年後の2040年には全体の約40%が単独世帯になるという見通しが示されている。『サザエさん』が象徴するような3世代構成の世帯は全体の10%未満にまで低下し、まだ辛うじて地続きという感がある”昭和の風景”としての一家団欒は、いよいよ想像することすら容易でない旧時代のものとなるだろう。

こういった生活環境でクローズアップされるのは、子供の育成において周囲の人との関わりが減少する中でしっかりと人格形成したり社会性を培っていくことができるのかどうか、目下の新型コロナ禍のような状況に限らず予期せぬ怪我や病気の際にタイムリーな治療を受けられるかどうか、ペット飼育事情において金銭面での負担増や近隣に迷惑をかけず最期まで適切な飼育ができるかどうか、悪意を持った訪問者や侵入者に対する防御力と通報力の低下による犯罪横行の懸念、そして相続が絡むかどうかに関わらず死後事務や対応が遅滞なく行われるかどうか、などといったことが挙げられる。

また、その時に国内経済がどのような状況にあるだろうかとも考える。日本は諸外国よりも高齢化が進行しているため、本来であれば生活の様々な場面での消費や投資或いは民間設備投資等に向けられるはずの民間貯蓄が、税金というかたちで吸い上げられて社会保障費に回されてしまうことで、ひいては国家としての成長を阻害するという問題を抱えて久しい。

この解決のためには生産年齢人口の拡大が必須であるが、より長く働けるようになったとは言え少子化という問題が根本にありまた総人口自体も減少傾向にあることから、これからたった19年後に景気動向が快方に向かっていると考えるのは楽観的に過ぎるだろう。

資金の流れだけにフォーカスした場合のセオリーとして、金融市場は4つのサイクルに区別して観察し得るとされる。「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」の4つだ。

日本も含めた先進諸外国はコロナ禍に際して、民間企業の連鎖的な倒産拡大を防止しまた国民生活をケアすることを目的として大規模な財政出動を実施し、それと同時に金融市場における資金流動性を高めるために金利引き下げなどの緩和策を講じている。

これによりダブついた資金がまずは株式市場などに投入されることで、国民生活の苦境とは乖離した”好況”が現出したのは周知の通りだが、平時のセオリーであれば余剰となった資金が企業への積極的な貸し出し等となり企業業績が向上し、急速に盛り上がった金融相場で割高・買われ過ぎと見做されいずれやって来るだろう下落への警戒感が高まった株価指標であっても、その割高感や警戒感よりも好調な企業への期待感の方が優ることで、もうひとつ上の水準を目指して買われる段階である業績相場へと移行するとされる。

しかし問題は、コロナ禍が長期化して非常に多くの産業が痛手を被っており尚且つ大規模な財政出動の後に「復興増税」のような負担増が控えているだろうと思われるため、いまの金融相場が業績相場へと移行してもそう長くは続かないかも知れないということだ。つまり企業業績好転のターンは短いものとなり、増税等の負担増だけが残るという好ましくない流れも見えて来る。

我々ぱちんこ業界、特にホール営業の現場には、毎月サラリーを得て遣り繰りしている大多数の客層の遊技意欲減と、冒頭で述べた通り先行き不安による年配客の支出意欲減というかたちで表れて来るだろうか。

今のコロナ禍が、突如命を失う危険性があるものから”寛解”のような状態になり一難去ったとしても、日本社会に内在している諸課題が改善への難易度をより一層増した状態で立ち表れて来る可能性もあると考えると、気が滅入る次第である。

楽太郎

Posted by 楽太郎