ぱちんこ店へのより強い時短・休業要請を覚悟せよ

2021年8月8日

日本国内の感染状況だけで判断すれば、新型コロナ変異株vs.政府によるワクチン接種推進の攻防”夏の陣”は変異株の方に軍配が上がったように見える。

政府は東京オリンピック・パラリンピックの開催とワクチン効果の顕現を文字通り天秤に掛けるという勝負に出たが、変異株が国外からどんどん入って来る状況を自ら作り出してしまったという致命的な失策と、オリンピック開催により”楽観論”を醸成してしまったことにより、新規感染者数は連日これまで以上に高い水準にある。

いわゆる”水際”対策の失敗については、これまで自分たちが、生活の場面で感染の可能性が少しでもあるのなら最短でも2週間は様子を見て欲しいと発して来たメッセージを反故にしてしまっているのが原因であるのは明らかだ。

4月において英国株(アルファ株)の流入で大阪が日当たり新規感染者数1,200人超を記録し実質的に医療崩壊に瀕した経験を全く生かせず、検疫法に定めるところの入国者の停留措置をあろうことか当のインド株(デルタ株)蔓延の元凶であるインドならびに周辺国からの停留をたった3~6日に設定し残りの11~8日間は”自宅待機”という措置をとったのは、現行法では強制力を発揮できないという理由と一時宿泊の手続きおよび管理を担う厚生労働省・検疫所の双方の負担が大きすぎるためだと言えるだろうが、あるべき期間の停留をせずに入国者を早期に市中に解き放ってしまったことが新規感染者激増による第五波発生の主因と見做されても仕方がないような状況にある。

ワクチンの効果については、5月までには世界的にワクチン接種が進み先進的なポジションだった欧米諸国とイスラエルなどの一部の諸外国では感染の抑制効果が顕著になったものの、中国製(シノバック社、シノファーム社)ワクチンを比較的安価だという理由で選択した、また公表された有効率80%前後というデータを”信じて”買ってしまったチリやウルグアイなどは感染状況が落ち着かないため目下欧米諸国産のワクチンを接種し直すという施策の途上にある。

こちらの周辺国で検出されたウイルスの3割ほどはペルー由来のラムダ株とされており、日本国内でも本日初めて羽田空港での検疫により検出されたが既存のワクチンの効きが悪い可能性が取り沙汰されていることから、やはり水際での防衛がいかに重要であるか再確認するような事態となっている。

また、主要都市のロックダウンや入国のシャットアウトという非常に強い施策をとった国々においては、例えば14日間は例外なく宿泊施設入りさせ経過観察するという措置をとったニュージーランドでは、大阪が医療崩壊したのと同じ時期にあたる4月に一時150人の新規感染者を出していたものの、その後は一桁台が続き死者数も概ねゼロのまま推移するなどシャットアウトに成功している。

このことは、いかに人口や経済規模が違うとはいえ同じ島国なのだから同様の施策が有効であることを示す証左ともなり得るため、感染拡大防止のためには当初の専門家の見解や政府自身のアナウンスの原点に立ち返り入国者に対して「最短でも2週間」の停留措置をとる必要性が生じて来ているように見える。

政府ならびに自治体首長は発信に説得力を持たせ変異株が沈静化するまで警戒感を維持し続けるためには自らその範を示すことが肝要だが、それを怠り”どの口がそう言うのか”という状況を招いたばかりか、オリンピックの開催により楽観論を広めてしまった。

このコロナ禍においては、4月末時点で政府系金融機関が20兆円、民間での信用保証付き融資が36兆円、合計56兆円ものお金が動き中小零細企業の当座の資金繰りを支えているが、コロナが弱毒化して一般的な風邪と同じようなものとして扱われるまでの期間が長引くほどに、特に対人業務の割合が大きい業態はダメージを蓄積させていきそれにより返済不能に陥る債務額も膨れ上がって行くことが予見される。

私見では、衆議院選が終わった直後から、ぱちんこ店も含めた幅広い営業店舗に対して時短・休業のより強い要請が発出されることになる。なぜ直近の好機であるオリンピック・パラリンピック直後ではないのかと言うと、そのタイミングでは国民の反発が大きく自民党にとってはここ数年では最も厳しい勝負所といえる今回の国政選挙における悪材料になるからだ。

このことはつまり、コロナ戦線”夏の陣”は捨てて”冬の陣”に懸けることを意味し、おそらくは昨年同時期の第三波の感染拡大が念頭に置かれることから様々な業種店舗にとって相当に酷な”自粛”が要請され、政府ならびに自治体は感染状況の鎮圧に遅まきながらも本腰を入れるだろうと述べて本稿を締める。

楽太郎

Posted by 楽太郎