願わくば、善き生存者には恩寵を

私自身は本当にちっぽけな法人・店舗管理者に過ぎないことから、新機種をつぶさに見て個々の造り込み具合いに言及したり導入を勧めるか否か、またいわゆる適正台数などについて詳述することは避けるが、ひとつ言えることはどの法人・店舗でも旧来のように出て来る新機種をひと通り購入したり、メーカー全方位に向けていわゆる”機歴”を作ることで後発の”話題機”の販売に備えたり、といった買い方をするには無理がある懐具合であると言えるだろう。

目下ホール上位役職者は凡そ8月初旬までの新機種導入プランを練りつつ管理業務にあたっているところで、所感としては今年の夏場(7~8月)は十分すぎる程の機種数・台数の新機種が供給され機械代の割り振りと遣り繰りに難儀しそうである。

またメーカー側においても、先々のプランを示しつつ今後大きな話題を喚起するような機種を投入する見込みを期待値として提示して先発機種を摘まみ買いしてもらえるような筋道を構築することが難しいような開発・製造事情であるところも増えているようで毎回のセールスが勝負であり、特に小規模メーカーに分類されるようなところであれば一回一回のセールスが冗談抜きで”正念場”となり仮に大コケでも演じてしまえばその後の開発資金の調達に難儀することになったり最悪の場合は向こう1年先の見通しすらも危ぶまれるような状況にあるところも出て来てしまっていると聞き及んでいる。

他方、三洋・三共・ユニバーサルなどに代表される大手メーカーは従来のメインタイトル機を主軸として、当期中の開発販売日程をほぼ組み終え尚且つ実入りの水準まである程度読めているようだ。長く”不確定要素”扱いであったオリンピック・パラリンピック開催の有無については、あっても無くても入替を進捗させる必要性があるためホールは入替自粛など出来ない、メーカーは販売を見送ることなどない、というのは既に業界団体を通じて当然のこととして織り込まれているためセールスには影響しないと見る。

前述した3社はコロナ禍という特殊事情においても数多くの新型式開発を同時進行させるだけの力があり、まず三洋に関してはホール目線では海系機種の供給時期や販売台数は盤石に見え、例えばP大海4ブラックのように中古では高値を付ける可能性があり買いにくくなることが予見されるため即座に完売情報が出ているがそれでも新機種販売時に是非買っておきたいというホールからの個別の要望に対して少台数からでも受注生産に応じてくれるなど、融通を利かせてくれる販売姿勢が重宝されているようだ。パチンココーナーにおいて”海島”は他に替えが効かない場面も多く、特定機種を多台数並べてしっかり稼動させるだけの営業力が無いというホールであっても海系機種のバラエティというかたちで一定規模のコーナーを構えているという都合上、新規則機時代への完全移行が見えて来たところで同社の動向はより一層注視されている。

次に三共について、ホール目線では新機種でも中古購入でもいずれの場合においても”数多くの選択肢”を提供してくれるメーカーとして多産ぶりを評価されており、そのような豊富な仕掛けがあるからこそ時に通好みのファンを唸らせるような機種が生まれたりもしている。例えば直近ではPスーパーコンビにおいてオールドタイトルの完全復活に成功する一方でアニメ系のコンテンツ機も相変わらず充実しており、どのタイプ(確率帯)・スペック(性能・仕様)・ジャンル(デジパチ・役物抽選機などの区分)でも全方位的にホール内で強い存在感を維持し続けられる稀有なメーカーと言える。販売計画のズレは羽根物でファフナーを造っていたものが出て来ないくらいで、夏場においてもガンダムUCなど当初から主軸となることが決まっていたものは卒なく販売しそのタイミングで三洋に続きTVCMも再開することから、ここで一気に露出度を上げて来る格好だ。

最後にユニバーサルについてだが、昨年12月の決算を経て今年の2月初週時点で入手した情報を参照すれば今期の開発・販売状況にはリリース順や台数などにおいて幾分かのズレが生じているが、その原因はコロナ感染拡大第4波に際しての緊急事態宣言と設置期限の再延長という事情も絡んでいるため仕方がないと言えるだろう。幸いにして悪い方に変化している訳ではなく、現に直近では”箱を使える”ことがユーザーから、仮に設定1のリセットであっても適当に稼動しつつある程度勝手に日々スランプが発生するという点でホールから高評価されているSバイオハザードの存在があるし、GW明けからアナウンスを開始し24日時点で完売の目途が立ったSハナビについても営業現場はひとまず安堵していることと推察する。同機の市場評価は後発となるノーマル・RTタイプの開発状況を左右することから実際に導入が開始されて以降はかなり神経質な日々を過ごすことになるだろうと予想されるが、これについてはそのまま後段で述べる経過措置期間末期のスロットコーナー事情にリンクしてくる話のため、ここでは留め置く。

ここでパチンコ機の運用について話題を転じる。大観すると、全体の60%を占めるミドルタイプ機(確率1/200~320)の中には旧規則・新規則共にメイン機がひしめいているが、夏場以降海系を筆頭にどんどん新規則機化が進んで行きここの常連客をしっかりとホールドする必要性があることと、また現行の旧規則メイン機である北斗無双・慶次漆黒においても特にイベント営業店や若者客の目を意識した営業に余念が無い店舗を中心に要所で運用レベルを上げて臨むという事情を考慮すると、ミドル域においては現行水準のレベル(玉単価1.72~1.75円・玉粗利0.23前後・利益率13%前後)を保つことで稼動をより強く意識する店舗が多くなるものと見通す。そう言った意味で、今後出て来る各メーカーの主要タイトル機の中で導入台数が多いものについては、ユーザー目線では相応のレベルを期待できるだろう。

では軽めのタイプ機についてはどうなのか、役物抽選機などのジャンル機はどうなのかと聞かれると、見通しは悪いと推察する。長く自論として述べて来た通り、ホールは大体において、”複数の価値”を遊技客に提供することはない。軽めの確率なのであればそれだけを提供し運用レベルは大きく下げて臨む、という考え方だ。現にライトミドル・ライトタイプ機はスロットコーナーのパフォーマンスが悪化(=入替に係る機械代負担増・ならびに粗利水準の減少)した昨年の冬場以降漸次利益率を上げており、今では18%という水準で運用されているが、これが早期に改善される見込みはないと考える。

少しだけメーカー側の心情を慮ると、コンテンツ的にはライトユーザー・非ユーザー・若者層を巻き込むことでホールの稼動増・新規客数増に貢献したいというコンセプトで造った機種であっても、ホール側が強く希望するミドル域で出さざるを得ないため遊技資金の水準も上がってしまい肝心のターゲット層が及び腰になり企画倒れになってしまう。本来であれば軽めのタイプで出して、それを各店舗が各々の交換個数に照らし合わせて良心的な水準で運用すればメーカーが意図する流れも創り出せるのだろうが、前述した理由もあり多くの店舗ではそれが出来ておらず今後も見込みは薄いと判断せざるを得ない。

また最近はメーカー側の挑戦的な取り組みとして役物抽選機もコンスタントに登場しているが、同ジャンル機は”叩けない店には使えない”というのが旧来よりの定説であり、より多くの機種数・台数を抱えており、非稼動が少ない、連日適当に当り回数が付いている、固定客が居る、という条件を全て満たすような店舗は、私が居る都内においてはほとんど無く、このジャンル機についてもホール側の扱いが早期に良くなるという見込みはまず無いものと見通す。私もそうだがこの手の初当たりや継続を役物抽選するジャンル機が好きな客層は常に一定数居る訳だが、このような機種を活用してくれる店が近場に無いから、そもそも導入店舗や台数が少ないから遊技頻度が減ってしまったという場面も多いことと思う。このような客層を取り零しているのは残念なことだ。

次にスロットコーナー事情について。これは現時点において機種ごとの運用レベルがどうのという以前に、旧規則機の設置期間の再延長についてまずは述べねばならないだろう。イベントを駆使しない店舗においてはジャグラーとユニバーサル系に代表される王道系ノーマル・RTタイプ機に営業数字の大きな割合を頼り切っている場面も多いだろうことが予想されるからだ。

必然的な流れで北電子とユニバーサルの2社にフォーカスしつつ、細かいことは省いて要所にだけ注目すると、まずは2020年6~7月前後に撤去予定であった約15万7千台(その内10万4千台はジャグラー系 ※都道府県ごとに若干上下する)がそのまま11~12月撤去にスライドしており、次いで当初の経過措置期限である11月末が撤去期限であった63万台が再延長によって法令上の期限である2022年1月末へとスライドしている。

業界関係者にとっては既知のことだが、年内における最注目点として11~12月にジャグラーの現行での設置台数規模を維持できない店舗が相当数出て来ることと、翌年1月末までにそれぞれ5万2千台規模でユニバーサル系ノーマル・RTタイプ機(16機種 ※30Φ含む)とハナハナ系機種(7機種 ※同左)が撤去となることに加えてここでも約13万台のジャグラー系機種に入替の必要性が生じるため、入替に耐えられるだけの体力が無かったり見通し不良によってホール事業の継続を断念する店舗が相当数出て来るだろうことが予想される、ということだ。

特にノーマル・RTタイプ機は2021年5月末の時点で13万台規模での供給に留まっており、こういった中でしっかりと同タイプ機を導入しつつ幾分かマシなパフォーマンスが期待できるATタイプ機であれば抜けなく導入している店舗であれば、以後の店舗運営への意欲が高いということになるだろうか。

もちろん、入替のペースが遅くとも、今後ハイペースで実施すればどうにか間に合う訳だが、肝心なのは中身であり適当な新規則機で「取り敢えず」「どうにかこうにか」完全に新規則機化するのか、それとも稼動と売却価値まで考慮して入替を完遂するのかでその後の遣り繰りには大差が生じる。

また、最終局面で一気に入れ替えを、と考えても新台の供給台数が大きく不足することは既に周知の通りであり、中古市場で調達するにしても「同じ事を考える」同業者が沢山居れば需給バランス的にそこまで安価に購入することは出来ないというのは当然の成り行きである。



以上、機種運用にしても入れ替えにしても、分かり切った事ではあるがこうして改めて活字化してみると、規則改正当初は”前途多難”に見えたこの総入れ替えだが、後半戦から末期にかけては多難どころかホールはもうボロボロであり、ゴールした時にしっかりと立っていた者が適正に”間引き”された市場環境において”生き残り”の恩恵を得ることができなければ何とも報われない、と述べて本稿を締める。

楽太郎

Posted by 楽太郎