ぱちんこ業界における”お決まりのパターン”を打破するためには?

私は家庭において、本当に実行できるか否か分からない段階で「(いつまでに、何かを)やる」とは、なるべく言わないようにしている。それは、”男に二言は無い”、”男の言行不一致は格好悪い”というのが嫁さんの評価ポイントであるのを知っているからだ。

例えば、私が「23日に知人宅を訪問するつもりだ」と発言したとする。その場合、彼女は私に持たせる手土産を何にするか楽天通販でリストアップし始めたり、その事を実行した場合の日程を組んで備えるため、不履行となった際には「せっかく用意しておいたのに…」と落胆されたり、場合によっては「しっかり計画しないでそういうことを言うと、周囲に妙な期待感を持たせたり、気を遣わせてしまう場合もあるから駄目よ」と叱られてしまう。

彼女に言わせれば”女性はイメージして備える生き物”であり、近い将来において何かが起こる・実行する、などとなった際にはその事について思索を巡らせるのが常識とのことで、なるほどたしかにそう言われてみれば私の休日のスケジュールは彼女によって直前に決定されている。明後日は晴れみたいだから、7時には起きて犬をシャンプーする、乾かす時に毛が舞うので風呂場・脱衣所とリビングを換気して床・壁掃除をする、タオルを沢山使うついでに床マットやタオルケット類を洗濯して干す(ここまで出来たらビールを1本飲んでOK)、観葉植物の鉢植えを掃除して日光に当てる、エアコンの室外機のホースに真空式ハンディポンプを使って内部に溜まった汚水を取り除く、ベランダの排水溝周りを掃除する(ここでビール2本目OK)、などといった具合いに”流れ”で決まっている。

そんな生活は窮屈ではないのかという声も聞こえて来そうだが、基本的にミッションをクリアすればその後は自由だし、指示内容は理に適っていることもあり、つまりは「嫁さんのいう事を聞いていると清潔で、健康で、生産的で、有意義に暮らせるので特に不満はない」というのが実際のところである。冒頭の”男に二言は無い”ということについても、有言実行を示すことができればより高い評価になるので、要は言ったとおりにやれれば何の不都合もないばかりか以後の行動の自由度が増すので「達成できる可能性が高い物事に対しては、宣言して行う」のが私の勝ちパターンになっている。ちょっとしたダイエットなどはそうだ。

このような考え方の違い、或いは何をもって良し(善し)悪しとするか、優先順位付けするかについての相違について、よく言われているのが「男と女とでは脳の構造が違う」ということだ。私は実際、嫁さんとは「別の生き物だな」と感じる場面が多いので、すんなり受け入れる考え方でもある。

だがしかし、つい最近になって脳医学の領域において「男女の脳には、大きさ以外は特に機能面で違いはない」という研究結果が約30年間にわたる相当量のサンプルデータを元に発表されたことがちょっとした話題になった。そもそも従来より、脳の構造自体ではなく「男女ごとに、人生の過程で半ば自然に構築される社会環境が異なるから、それによって性別に応じた脳(考え方の傾向や類型)が作り出されるだけ」という謂わば社会心理学的な観点で”男脳・女脳”およびその思考や行動の傾向を読み解こうとする動きも見受けられる。

もちろん私はどちらの学問領域にも通じていないため詳述することなどできないが、あくまでも私の人生経験や周辺事情に照らし合わせれば、「男性の場合はこのように考えがち」「女性はこういうところが評価ポイントになり易いから、地雷を踏まないように気を付けないといけないな」などといった具合いに傾向と対策を練った場合にそれが的中することが往々にしてよくあるので、強ち完全に的外れな分類とは言えないのかも知れない。

このことを踏まえて、今回私が本稿を執筆するに至った理由を述べる。一見すると全くの無関係に思えるだろうが、我らがぱちんこ業界でよく話題になる「結局”やった者勝ち”だった」「申し合わせを履行した者が”馬鹿を見た”」「取り決めの見直し」という、つい最近も一部の遊技機における設置期間の再延長について書面通知が出たような事案だ。

GW明け直後から私は、まず北電子との遣り取りにおいて6月初旬に管理店舗に納品される予定であったSアイムジャグラーの数台を8月末から9月末にかけての納品へと後ろ倒しする交渉を行い、次にSハナビの販売が決まったユニバーサルとの遣り取りにおいて営業上のリアルなところでの想定必要台数よりも多めに希望する交渉を行った。それぞれの理由はもちろん、新規則機との比較上では営業数字を作る力がより強い旧規則ジャグラーをより長く設置しておくためと、経過措置期間の最終期において営業以外での利益作り―――つまり転売も含めより大きな売却値を狙うための”仕込み”の一環としてである。

前者については特にスロット専門店やジャグラー貢献度(換言すると”依存度”となる)が高い店舗においては死活問題ともなろう。また後者については直近で新規則機化が64%前後まで進んだスロットコーナーではあるがその中で一定の割合を占めるATタイプ機コーナーは営業数字に全く貢献できておらず現状では今後劇的に集客が改善する見込みも薄いとなれば必然的にノーマル・RTタイプ機に需要が集まり、中古機価格が上昇する傾向にある年末年始と経過措置期間の終末期が重なることから2021年末に上昇した同タイプ機の価格が下がらないまま或いは更に上昇して春を迎える可能性も高まって来る。その対策として「安価に入手できる機種で”取り敢えず”新規則機シェアを上げていくのではなく、買うべきと判断した新機種や多少値が張る中古機でも場合によってはしっかりと買うことで、設置機種と保有在庫の資産価値を高めておく」という施策で臨んでいる法人・店舗も多いように思う。

当然「出て来る数には限りがある」「メーカー側の生産力が早期に回復する可能性は低い」となれば、情報を精査した上でより実現可能性が高い将来を見据えて備える必要性が生じるため、ちっぽけな法人ながらも私としては「まだまだコロナで引っ掻き回されることが予想される中で営業利益に期待が出来ないならば、遊技機の遣り繰りでカバーを図る」という考え方で取り組んでいる。

こうした遣り取りは自宅にいる最中に電話で行う場合もあるため、為替相場の動きや経済指標・要人の発言内容などをチェックしながらそれを聞いていた嫁さんから「なんか、ぱちんこ業界って、いつも同じような事でゴタゴタしてるね」という言葉が不意に飛んで来た。まあ今回は、コロナという特殊事情もそのゴタゴタの理由になるので必ずしも毎度同じ事で…という訳でもないのだが、ホール経営の現況や見通し難など一通りの事情を説明した上で「ある意味仕方ない措置とも言える」と答えたところで、いかにも彼女らしい質問が出て来た。

「必要な遊技台があまりにも物量不足というのは分かったけど、そういうことすらも、前もって予見されていたんだよね?」「丸一年あって、それでもホール経営というのは当初の計画通りに、色々と備えて臨めないものなの?」「メーカーも、ホールから買ってもらわないと成り立たない商売なのに、どうしてホールがしっかりと立ち行くように付き合わないの?」―――しばし、このような”なぜなぜトーク”が繰り広げられ、それらのひとつひとつに根気強く回答して、最後に私の方からもひとつ彼女に質問することとなった。

「ぱちんこ業界が、いつも同じような事でゴタゴタしないようにするためには、ズバリどうすれば良いと思うか?」―――これに対しての彼女の答えは「法律とか業界団体とか制度とか、そういう大掛かりなところを”改善”するのは大変だろうからまずはソフトで対応すると考えれば……人を入れ替えるしかないよね」というものであった。具体的には「業界団体の大きな会議とかに参加する人、議決権を持っている人は、大体は経営者でしょ?そういう人達の顔ぶれは変えられないけど、重要な会合には必ず影響力・発言権があるオブザーバーとか、クリティカル・マスと呼べるくらいの割合で”異分子”を参加させることで、従来的な”パターン”を強制的に壊せば変化が出るんじゃない?」とのことであった。

これに対し「例えばそれは女性とか?」という問いには「どういうグループか具体的には言えないけど、どうせぱちんこ業界の会議にはおじさんしかいないんでしょ?女性の一団が重要な会議のメンバーに加われば、今までとは違う意見も出ると思うよ」「女は”女々しい”ことは嫌いだから、意外に男性よりもズバズバ言うと思うよ、なんで出来ないのか、決めた事はやり切ろう、みたいな」「決めた事をいちいち反故にするから損得が絡んで揉めるわけじゃない」などといった答えが返って来た。

マジョリティ・マイノリティ論や女性の社会参加が話題になる場面でよく言われる通り、存在を無視できないグループとしてのクリティカル・マスには3割以上を要する訳だが、業界内で自然発生的に女性なり従来とは違った趣のグループなりがその割合まで増加する未来図はなかなか見えてこないため、彼女が言う通り無理矢理作り出すことでお決まりのパターンを壊すというのも悪い手ではないように思った。

だからと言って、今の理事会メンバーが悪い、などと言いたい訳ではなく、あくまでも変化を生じさせるためにはという観点で書き進めて来たに過ぎないためご容赦願いたいと述べて本稿を締める。

楽太郎

Posted by 楽太郎