素人養分ユーザーによる貯玉論【後編】
寄稿文
皆さま こんにちは。ユーザーのゴンザレスです。
前回の続きとなります。
貯玉に関する権利の現状
18年ほど前のホール運営会社の倒産で、「(貯玉)会員の皆さまも破産債権者となり、債権の届出をする権利を有しております(けど他の債権が優先だから払えません)」なんて新聞広告が掲載されたことがあります。当時はパチンコパチスロの遊技人口も多く、世間の関心もあり新聞でも話題になったため、何かしらの手段で説明する必要があったのかもしれません。
これを見ると貯玉に関してユーザーが何かしらの権利があるように思えてきますが、これはあくまで破産管財人であった一弁護士の見解。一応は「契約違反という債務不履行だから金銭的賠償を受けられる」という考えもあるようですが、実際はどうだか分かりません。
現実には4年ほど前のホール企業の勉強会(外部にレポートを発表しているもの)でも、参加した各ホール企業で相続や譲渡について対応や見解が分かれております。「法律論ではなく会員規約に合意したかの問題」と言い切っているホールもありました。
つまり、「会員規約に合意したのだから店の言うことは絶対で、権利主張はできない」ということ。
まだ元気だった4年ほど前ですら、そんな状況だったのです。いまはユーザーに更に厳しいものになっていることでしょう。会員規約や遊技約款や対応マニュアルも改定しまくりかと思います、もちろんホールに有利な形で。
そのため、「長年遊んでいるマイホなら大丈夫だろう」なんて甘い考えは、ユーザーは捨てた方が良さそうです。
また、「大手ホールだから倒産はしないだろう」という考えで大量の貯玉をするのも危ういような気がします。
大手チェーンだからこそ、一律の対応をしなければなりません。「北海道のA店では対応してくれたが、東京のB店では対応してくれなかった」というクレームは避けたいからです。
したがって、中小ホールで報告例もある「温情ある貯玉対応」は、大手では期待できないかと思います。
ちなみに、先ほど例に挙げた18年ほど前の倒産では、8店舗で5万3000人ほどの被害者が発生。貯玉の特性上、一人あたりの被害額は少ないでしょうが、人数だけ見ると恐ろしい。
いつ被害者になってもおかしくはありません。
一応、自工会(ぱちんこ業界の設備関係の組合)決議で「貯玉の設備導入の時は貯玉補償基金への加入を義務付ける」ことになったおかげで基金への加入率はグンと増えているらしいのですが、ユーザーの本音としては「微妙な値段のカタログ景品で貰っても困る」です。
現金で欲しいが直接換金はご法度。おまけに倒産時は対応してくれますが、それ以外の例えばホールに交換を拒否された貯玉没収などは、おそらく対応はしないかと思います。
つまり補償としての機能はごくごく弱いのが現実。貯玉補償基金というのは、あくまで自主的な取り組みですので。
改善の見込みはあるのか?
私個人の考えですが、可能性はゼロだと思います。
法律の問題であり、改善されたらホール側に負担がかかるため消極的であり、マスコミ(特に地方新聞の社会部連中)が騒ぐことはないため、社会問題化されないと考えられるからです。
つまり音頭をとる奴や切り込む奴がいません。こうなると世間の話題にすらなりません。「話題になるほどの遊技人口が今はいないから」という悲しい現実もありますが。
最後に
とはいえ「だから貯玉はすべきではない」とは、絶対に言えません。
私の好きな作家は「この世は金利との戦いである」という名言を残していますが、非等価のパチンコパチスロは「手数料との戦いでもある」と言えなくもないからです。
しかし、命綱をホールに握られている以上、貯玉を使うユーザーは「しょせん仏陀の手の平の上の猿にすぎん」のは明白。
いろいろ考えてみると、貯玉はホールが営業を続けるか続けないかは別としても、安全安心とはいかないことを自覚しなきゃなあ、引き出せなくなっても困らない程度にしなきゃならんのかなあ、と思いました。
ということで、たまに遊技約款や貯玉会員規約を眺めてみるのも面白いかと思います。ああいうのを見るのは結構楽しいです(笑)
正味な話
書いといてなんですが、こんな話は覚えなくても良いかと思います。
貯玉する時に注意するくらいで充分です。それより期待値だの演出だのを覚えたほうがためになるし、何より遊技が何倍も面白くなります。
知ったところでなにかできるわけでもなく、頑張っても現実は変わりませんし。
ただ今回は、あることでボヤきたいと思い、そのための前フリとして今回は
「ぱちんこ業界においてユーザーは弱い立場である」
「それは昔からのことで、今も変わらない」
「過去に問題視されたこともあるが、変わってないのが今の現実である」
といったことを強調するために、書いてみました。
というわけで、また次回に続きます。
寄稿者紹介
加藤ゴンザレス氏

<プロフィール>
楽太郎ブログの最初期からの読者。
おもに会社帰りに打ってる養分リーマン。
パチンコばかり打ってます。
「細く長くパチンコと付き合う」感じで遊んでます。
Twitter:@gonzalezes2544
ディスカッション
コメント一覧
私はいつの間にやら会員カードを使って再遊技することをやめてしまいました。貯玉遊技はリピート率を向上させるための手っ取り早い手法ということを身をもって理解しているため、という些細な抗いです。結局行くんですけどね。
ということで、次の本ネタ?の前振りだったとしても貯玉についてゴンザレスさんほどの問題意識は持ち合わせてないなぁと思いながら読み進めたところです。
ただ記事を読んでいてひとつ思い出したことがあります。
それは埼玉大宮にある日本最大級店舗での出来事なんですが、最初地下フロアで打ち込むも当たらず、次に残金が残ったカードを持参し地上フロアへ移動。で台に座りカードを挿入し貸玉ボタンを押すも玉が出ない。あれ?台を変えるか。でも一緒、ん?
店員に質問すると、申し訳なさそうな様子でそれはできないと答えました。
詳しい理由は尋ねませんでしたが、恐らくは同一店舗内でもフロア・エリア単位で現金管理の区分が細かく分かれているからなのだろうと想像しました。
また帰り道にぼんやりと、ひょっとして将来的なフロア単位での閉鎖リスクを見越しての措置なんだろなーと、根拠なき妄想を膨らませた次第です。リスクの最小化ですね。
次元は異なりますが、近頃さまざまな業界のあらゆるポイント制度が廃止、メリット縮小が目立つように感じます。今は一見客に有利に見えるこの貯玉制度も、企業にとって費用対効果が望めないとなれば、突如誰の目にも明らかな形で制度改正(客のメリット激減)に踏み切ったりするんじゃないですかね。