一部の旧規則機における設置期間の再延長にまつわるあれこれ

2021年5月30日

”黄金週間”がその名の通り本当に有難く大型の連休になったかは人による訳だが、最大値をとった場合おおよそ4月29日から5月10日にかけてがGWにあたり、今年は変異株が存在感を増している新型コロナ感染拡大第4波に臨んでの緊急事態宣言と東京オリンピック・パラリンピック開催の是非についての話題が席巻することとなった。特に有給休暇消化勢やテレワーク勢は約2週間に亘り、自宅で家族と共に有意義な時間を過ごしたり、或いは趣味に没頭するような大変貴重な期間になったのではなかろうか。

この時期のぱちんこ業界においては、他業種と同じように休業要請に対する態度表明というトピックスに加えて、「旧規則機の設置期間の再延長」というワードが各職域で盛んに取り沙汰されたが、当初に出回ったこの類の話は出所も真偽も不明のものが多く、いわば”胡散臭さ”を漂わせるものであった。では、実際にはどうだったのかということについて、ごく簡単にではあるが私見を差し挟みながら時系列で見ていきたい。

まず、この「設置期間の再延長」話については、関西圏などの早いところでは4月26日の日中からSNS上のぱちんこ業界界隈で発生していた。いくつか例を挙げると、「兵庫県遊協が定例理事会において、ジャグラー系機種の一部についてオリンピック開催期間の特別措置を設けた」というものや「大阪府遊協の組合員には、旧規則機の撤去期限が全て附則に記載されている通りになる(つまり業界内の申し合わせによる期限の改定がなされる)という話が、21世紀会決議の”改訂(案)”というかたちで既に示されている」といったものなどがある。

次いで4月26日の夜から27日早朝にかけて、私が居るここ関東圏においても、前段で例示した遊協絡みの話題があるひとつのPDF文書と共に出回った。そこには「明日の遊技業界を考える会」という名称が記載されており、この文書が契機となって「機種ごとに期間の違いはあれど、おおよそ法令の文字面通りの解釈で、可能な限り長く旧規則機の設置期間が延長される運びとなる」、「申し合わせによる段階的な撤去推進の主体であったパチンコ・パチスロ産業21世紀会は解散することになる」などといった具合いに、文書に記載されていること・記載されていないこともごちゃまぜになって”怪文書”という呼び名で広まっていった。

これらの”噂”を元に、翌4月28日から29日にかけて一部の業界内発信者がブログやSNSで前述の内容を発信し、特にそれが現行メイン機の寿命にも関わる内容であったことからまとめサイトが挙って採り上げて拡散されることとなった。紹介したサイトのコメント欄では、取り決めをその都度反故にする業界体質を叩くものも見られる一方で、ユーザー側としては歓迎して良い事案とするような内容も多く見受けられた。

この時点で、真偽も含めて一応は事実確認を要する事案であると判断した業界関係者が各自伝手を辿って特に業界団体関係者等へのヒアリングを実施し、第一に全業界団体で構成している21世紀会が解散して「考える会」に置き換わるという話自体が無くこれまで議案にすら上がっていないこと、第二に設置期間の見直しを図る動き自体は実際に存在していること、そして第三にその動きは連休明け早々の会合で詰めた協議がなされること、これら3点が確認された。

つまり、この時点での確定事項は2つであった。まず第一に「考える会」は実在すること、第二に5月6日・7日或いは最大値をとった場合の連休明けである10日を目処に設置期間の再延長について言及した”正式な文書”が出るだろうということ。

それぞれについて見ていくと、まず前者について、その組織の性質は従来の「業界6団体」(全日遊連・日遊協・日工組・日電協・全商協・回胴遊商)に、経営者同友会とチェーンストア協会が統合したことにより発足したホール団体としての「MIRAI」と、いわゆる”ぱちんこ業法”の制定により業界が社会的な認知を得ることができるような環境整備と将来への展望を拓くために政策提言活動等を行うなかでホールやメーカーといった職域を超えたところで意見交換を図ろうとしている「余暇進」が”プラス2”という形で加わった括りとしての「会議体」を指している。これについては私自身、当初”怪文書”という触れ込みで回って来た書面であるからそれなりのバイアスがかかった目で見たため「考える会など存在しないのではないか」という印象を持ってしまったが、事情に明るい方へのヒアリングを経て認知に至ったという経緯がある。

ではこの「考える会」がこの先、表舞台でその名を見聞きする機会が増えるのかというと、まずMIRAIはごく一部の賛助会員を除けば純粋な”ホール団体”と言え加盟法人が展開する店舗軒数では日遊協を超える規模であり従来的な業界5団体乃至6団体などといった括りに余暇進と共に関わることでこれまで以上に存在感が高まる可能性を秘めていること。そして、ホール営業の現場が”遵法営業”ということについて監督官庁の目を気にしなければならないという従来的な理由だけでなくユーザー側からの厳しいチェック目線にも晒されるようになったため法令に関して理論武装しなければならない必要性が高まっていることと、今後業界が風営法議連と関わったり族議員創出を志向する流れで、そもそも業法制定を第一義として発足しホール・メーカー中心に幅広い会員を抱えている余暇進が要所で有用な提言や働き掛けを行っていくだろうことが予見されるため、結論としては「今回の”怪文書”騒動を切っ掛けにして、せっかくだから名前を覚えておくべき会議体」だと判断してよいだろう。

次に、後者として挙げた設置期間の再延長に言及した正式な文書について見ていくと、5月7日の協議の内容は、その時点で有効であった「パチンコ・パチスロ産業21世紀会(5月20日)決議内容」(=申し合わせに基き、旧規則機の段階的な撤去を2021年11月末日までに完遂する、という内容)の”一部”を、コロナの現況が依然として予断を許さないものであるという理由と、旧規則機の撤去完遂に向けた新規則機の製造・供給見通し台数ならびに日程があまりにもシビアであるという物理的な理由の2点を鑑みて改定したいという主旨での業界側からの申し出に対して警察庁から内諾を得ており、その具体的な内容を決定するというものであった。

その決定事項は当日中に書面化され、「『パチンコ・パチスロ産業21世紀会(5月20日)決議内容』の一部改定について(お知らせ)」という表題で21世紀会から全会員団体に向けて通知された。この書面には、パチンコの羽根物や甘デジタイプ機、またスロットのノーマルタイプ機を中心に当初の検定・認定切れの日付から”1年以内に”順次撤去すべしという内容が記載されていたが、この”1年以内”ということについて例えば2022年2月1日以降も認定期間が続く遊技機であっても実際には「新目標 新規則機設置比率」で示された通り2022年1月末時点で新規則機化を完遂するべく撤去しなければならないという制約が設けられていた。

以上、GW前後に業界内で起こった動きについて、ごく掻い摘んで述べると、このようなものになる。



最後に、今回の設置期間の再延長について所感を述べて締めたい。

再延長の内容は特に、営業におけるジャグラー依存度が高い店舗を”延命”するだけの力があったと言える。遊技機の購入・売却責任者である営業部長・エリア長クラスや、現場管理している店長クラスにとっては再び望外の猶予を得た格好だろう。だがやはり、業界の極めて上層において図られ究極的には監督官庁次第となるような物事は自社・自店ではコントロールすることなどできず、恩恵に与れる場所や時期を選んだり、対象となる機種を完全に見極めるということもまず不可能である。

つまり、今回の延長自体が”天恵品”のようなものであり、外的な要因頼みで生死が左右される状態から自社・自店の取り組みで”生存”できるような状態へとより早期にシフトしなければならないことには変わりがなく、改めてその猶予期間を授かったのだと言える。ホール事業自体或いは店舗の存続に関して決定的に作用する機種の供給量が絶対的に不足しているという如何ともしがたい問題が根本にはあるが、2018年2月1日の改正規則施行からここまでの便宜が図られたのに、それでもやっていけない・廃業してしまうという店舗に対しては「自力では立っていられない法人・店舗」という視線が向けられる場面も増えて来るような段階へと移行したように思う。そのような法人・店舗が地域ユーザーを楽しませながら営業できるとも思えず、そういった意味では今回の再延長措置は店舗査定上のポイントにもなるだろうか。

楽太郎

Posted by 楽太郎