ハッタリと浪漫だよ人生は-今こそ富野由悠季に学べ

寄稿文

ハイディホー、チャッキーだす。

先日のテレビアニメ特集番組で、機動戦士ガンダム/閃光のハサウェイについて語る富野由悠季監督の発言が取り上げられていた。

それがコレ↓である。

これは、トミノから鬼滅やエヴァへの最大の賛辞であると共に、俺の映画を観ろ!スゲェぞ!という意気込みでありハッタリである。

ガンダム好きなら概ね知っている富野のハッタリ。

ガンダム好きなら痺れる富野のハッタリ。

彼はこうして客をワクワクさせ、スポンサーをだまくらかして(失礼)金を創り作品を世に出し続けてきたのだ。

本放送では視聴率が振るわず打ち切りになった1stガンダムで、「宇宙戦艦ヤマトを越える」とハッタリをかまして映画の三部作を創りガンダムブームを創り、アニメで映画の商売が成り立つと知らしめた人である。

「殺伐としたアニメはアカン」という玩具メーカーを相手に、「ご近所の平和を守るほのぼのアニメです」と堂々と嘘ついて本丸企画を作品にしたイデオン。

出来上がったのは、あの殺伐としたアレである(笑)

無理が通れば道理が引っ込む。

煮え切らない相手をこっちに引き込む。

理詰めでは落とせない相手を煽って落とす。

そんな事を教えてくれたトミノ。

富野由悠季の数々の逸話・武勇伝は、仕事を勝ち取る最後の手段に溢れていた。

そんなトミノの教えを胸に、ハッタリかました日々を思い出した。

古い話で申し訳ないが、4号機の初代吉宗が出る時、こりゃイケると思った店長は世の中にいくらでもいた。

当時の俺は店長ではなかったけれど、やはり吉宗にベタ惚れになった。

煽りの演出、尼崎まゆみ(笑)の歌とBGM、1G連とBB711枚が織りなす破壊力。

ジャンキーを大量生産するには十分過ぎる魅力に溢れていた。

しかし、最速&大量導入の条件が厳しくてね。

抱き合わせなんて生易しくて、やれホールコンピューターを買い替えろ、やれ景品管理コンピューターを入れろ、やれ島設備を入れろと矢のような催促が来た。

40万円の遊技機購入の為にウン千万円のおまけ契約が必要だったのだ。

偉い人は当然渋い顔。

数字の話をしても浮かない顔。

店長も説得のセリフの弾が尽きたあたりで、自棄になった俺が偉い人に言った。

「吉宗入ったら一年はパチスロの新台は要りまへん」

「吉宗を入れないって事は、格下の棋士が飛車とか角を落として羽生名人に挑むようなもんでっせ」

「失敗したら縁故詰めまっさ。小指で足らんかったら、左手の指二本落として妖怪人間になりまっか? それでも足りなきゃ五本落としてドラえもんになってもええっすわ!」

もうバナナの叩き売り状態であった。

仮に失敗して小指一本落としても、足の指を移植すりゃ見た目は誤魔化せる。

五本落とすハメになったら夜逃げすりゃいい。

そんな軽い感じだった。

幸い、二週間遅れの1BOXではあるが吉宗は無事に導入され、なんか色々設備が更新され、俺の指は今も健在である(笑)

その後、業績不審の店で、パチンコを羽根物と海物語が埋め尽くしたり、新規店の企画で吉宗専門店だの北斗の拳専門店だのを、色々ハッタリかまして実現できた。

勿論、経営者の方も、俺のハッタリを鵜呑みにしてウン千万円とか億の金を引っ張ってくるほどお人よしじゃない。

勝算に乗るか反るかの賭けになった時の最後に背中を押すのがハッタリなのだ。

某中堅ホールの複数の経営者から同様に、こんな話しをされた事がある。

 最近の子達は真面目過ぎる。

 責任を取りたくないから諦めが早くて、押しが弱い。

 こっちも大金を工面したり金庫から引っ張り出すのに勇気と覚悟がいる。

 機械購入でも設備更新でもリニューアルでも、それで是が非でもお客さんを付けるとか稼ぐとか覚悟を見せてくれるような店長がいない。

 無難な、当たり障りのない事しか言わないし提案しない。

 結果的に上手くいかなかったとしても、精一杯取り組んだ結果なら仕方ない。

 こいつに賭けてみたい、こいつに乗りたいって思わせてくれる店長がいない。

 俺ら(経営者)は騙されたい、夢を見たいんだよ。

 仕事は浪漫・我慢・算盤で出来ているけど、最近は我慢ばかり見せられて浪漫が無い。

なるほどな、どうりで浪漫を感じる店が減ったような気がするわ。

大昔は、業績不審のレベルが今と違って、それでも金のあるホール企業が多かった。

今の、マジで窮してるパチンコ屋企業では金庫も気持ちも余裕は無い。

やばいホール企業は本気でやばい。

先のように指落とすと言うても、「お前の指に何の価値があるんやコラ」で終わりだ。

店長さんが浪漫を語れなくなったのは渋ちんの経営者のせいだとの声も聞こえてきそうだ。

だが、案外と経営者とじっくり話した事のある店長さんは少ないんじゃなかろうか。

全国展開してる超大手は別として、パチンコ屋さんというのは経営者と顔を合わせる機会が多い。

鬱陶しいと思うかもしれないが、むしろ恵まれていると言えるかもしれない。

その機会を活かして、自分の感じてる事や思ってる事、経営者の感じてる事や思っている事の札を見せ合ってはどうだろう。

もしかしたら、貴方の会社の経営者も何らかの浪漫を求めているのかもしれない。

自信もって提案して欲しいと思っているかもしれない。

(勿論、そうじゃないかもしれないが)

貴方は、経営者と浪漫を語った事がありますか?

経営者の求める浪漫を知ろうとした事がありますか?

もし無いとしたら、貴方の浪漫で丸めこんでみませんか?

社長に焼肉とか寿司とか集るついでに話をしてみませんか?

今、あえて遊技客にも従業員にも経営者にも浪漫を語り夢を見せるのも店長の仕事の一つじゃなかろうか。

説得力を越えてハッタリで煽って自分を追い込むのもたまには必要じゃなかろうか。

ただ一つ注意点として、経営者側と労働者側で望むものは違う。

経営者側は実績数字・利益の増加を望み、従業員は給与と休日の増加を望む。

そこを理解して上手くブレンドしないと、どちらかに反発を食らう事になるから気を付けてね。

今、パチンコ屋さんだけじゃなく、疲れ切った日本企業に足りないのはハッタリと浪漫じゃないかと、富野由悠季を見て改めて思った次第である。

ではまた、次のネタで会いましょう。

ハイディホー!

寄稿者紹介

チャッキー氏

<プロフィール>

ホールも含めた、多業種の営業コンサルタント。

ぱちんこ業界を冷静に観察/分析しつつ、基本的には厳しいスタンスで臨む論客。