五月初日の夜は雨、都内での車中雑考

気圧の変化に因るものか都内の風向きは夜が近づくと海の方へと変わり、真っ暗になった上空からは粒の大きい雨がどんどんと降って来た。19時10分、駅前の風景は若干の人通りはあるものの営業店舗に人が入っていないせいか活気が感じられない。あと数十分もすればどの店も閉店を迎え、家路へと急ぐ人たちの足音と雨音だけが支配する寂しい夜がやって来るだろう。

大通りに出てタクシーを拾い、雨で滲んだ後部座席の窓ごしに青や赤の小さな電灯で飾り付けた洋食店を見遣る。店頭から少し離れた場所に出された立て看板はスポットライトでおすすめメニューを照らしながら健気に呼び込みに努めるも、それを見て立ち止まる人は居ない。信号が変わってタクシーは街へと向かう。流れる景色を時折眺めつつ私は今、暗い車中でスマホ画面と睨めっこしながらこの冒頭部分を書いている。

この界隈では一番複雑で大きな交差点の信号につかまってタクシーは止まる。左手に見えるのはセブンイレブンだ。そう言えばコンビニでは、駐車スペースの地面に放水することで座って飲食に興じる若者を牽制するという手法があるようだが、今晩のように濡れた地面ではさすがに仲間内で路上飲みする姿も見られない。

最近よく見受けられる野外でのちょっとしたキャンプの如き飲食には”反体制・反権力”や自粛の要請に対する”ボイコット”の意味も含まれていると感じているが、そろそろこの風潮に乗じる政治家も出て来るのではないか、ふとそう思った。



それは例えば、今は在野で臥薪嘗胆の立場にあり次の衆議院選で国政復帰を期すような者かもしれないし、都政を預かる為政者でありながら稀代のポピュリストである小池都知事その人かも知れない。国民・地域住民の不満が極限まで高まった頃合いを見て一言「目下の情勢を冷静に判断すれば、東京オリンピック・パラリンピックは中止すべきだ。長引くコロナ禍が国民生活を圧迫し続ける原因は、ワクチン獲得レースに後れをとり、リスクオン・オフの判断を適切に為せなかった政府にあり自分はそれを正すために立ちたい」という主旨の発言をするだけで強い支持を得る可能性があると推察する。

東京において苛烈な自粛体制を敷いた張本人がそんなことを言って響くのかどうかという疑問の声もありそうだが、国民・都民はそれほど賢くはなく大した記憶力も持ち合わせていないばかりか、ショック・ドクトリンの如きコロナ禍便乗型の自由主義・市場原理主義的なアプローチは”改革者”を自任する者にとって最高の武器になることを小池氏は知っているだろうから、私見では近い内にオリンピック・パラリンピックに対する小池氏の”変節”があるだろうと見通す。

ここまで書いたところで、管理店舗がある駅前に到着する。近場にある2軒のホールの様子を見るとどちらも1割ほどの稼動といったところだ。営業数字をなんとなく推測できる立場としては、なんなら早仕舞いでもした方が良いのではないかと老婆心ながらそう思ってしまう。日中は満足のいく集客だったことがデータランプへの数字の上がり具合から見てとれるが、やはり”引き”は早いようで、おそらくはこの連休期間を通じて毎日このような営業状況になるだろうことが予見される。

このGW前後で、世の中の物事や日頃見聞きする数字にどのような変化が生じるだろうか。私としては、連休明け直後から、政治にしても社会情勢にしても我々ぱちんこ業界にしても、一旦は保留していた事案が一気に表面化するだろうと見て身構えているところだと述べて本稿を締める。

楽太郎

Posted by 楽太郎