組合の力の源泉は、構成員の責務と我慢

春は納税の季節ということで、特にペーパーの取り扱いが多い個人事業主の人は大変面倒な一ヶ月となったのではなかろうか。大体の行政区では2月初旬から3月中旬にかけて所得税・復興特別所得税・贈与税等の申告時期にあたり、都市部では手続きの相談対応等のために申告書作成会場を設営してその業務にあたっている。

このような会場でも、コロナ禍のため入場整理券を発行することで来場者が込み合う時間帯を作らないように配慮しているようだ。整理券は当日に出入口付近で配布するほか、LINEアプリの活用により国税庁LINE公式アカウントを「友だち追加」することで日時指定の整理券を事前に入手できるような仕組みも備えている。

東京においては都内各区の納税貯蓄組合連合会が主導してマイナンバーの利便性の周知徹底とデジタル化を進めており、ID・パスワード方式やスマホ・タブレット端末を使用してのe-TAX申告・振替納税・ダイレクト納付等のキャッシュレス納付による省力化・効率化もよく見聞きするようになって来たという印象である。

このように書き出してみると、なんだか著名ホールにおける数百・数千人規模でのwebを活用した入場整理のことや、各業界団体・組合がイニシアチブをとっての業界振興、またメーカーによる遊技機販売のごく一部はweb化したもののホールの営業現場においてはキャッシュレス化には未だほど遠い、などといった実に様々なことにも思いを巡らす。

まず入場整理について、元々繁盛店は慣れっこであり、待たされて苛立つ並び客を上手く捌きながらの業務遂行には定評があるというホールも全国に沢山存在しており、このコロナ禍で更にその精度やスピード、効率の良さに磨きが掛かりユーザー支持を得たという店舗も多いのではなかろうか。

次に業界団体・組合の活動については、やはりというか残念ながらというか、旧規則機の撤去問題が発生したことでその存在意義や役割、また意思決定のフローなどにも改めて注目が集まった格好だ。しかしながら、もうこの問題は気を揉んだところで時すでに遅く、メーカー・販社側にしてもホール側にしても、組合としては監督官庁たる警察庁の見解が示されるのを粛々として待つのみという状況になっている。私見では、一悶着あったものの法令によらず申し合わせという手段によって9割方の撤去が成ったということを警察庁は好意的に捉えるものと見ているが、実際のところどうなるかについては今後控えている各業界団体の主要会合における行政講話の内容に注目したいと思っている。

また、キャッシュレス化については色々と障害も多いようだが、最近では日遊協の事業計画において重点的に推進する項目としてキャッシュレス社会への対応研究を新たに加えた上で一般社団法人キャッシュレス推進協議会への加盟を決議するなど、新会長のもとで新たな動きを見せ始めているため、ホール関係者の立場では特に設備機器や経理事務がどのようなものになるのかについて注視したい。



今回納税に関する話題から展開したのは、各地で法人会の会合がようやく再開され始めているという情報に触れたためである。話の出元である自社の経営者は当該会合の面子では若造扱いされるような年齢であるためいつも気が乗らない様子で会合に出掛けて行くが、今回は不幸にも経営難に陥り完全に滅入ってしまった参加者と話をしてその雰囲気を持ち帰ってしまったらしく、社長室の椅子に浅く腰掛けて「今期は本当に、異常事態だったよな」と呟き疲れ切った表情を見せていたのが印象に残った。その会合で、ひとつ興味深い話があったそうだ。区の納税貯蓄組合連合会の”昔話”だ。

都内のある商店会の興りは1950年代初期であり、地域は未だ”戦後”の様相で商売も生活も大変厳しかったため、どの個人商店も毎日・毎月の遣り繰りで手一杯で、納税の時期が来ても、まとまった金額を用意することが出来ない。だがしかし、同じように戦後復興を目指す行政区の活動原資もまた税金であるため、納めてもらわねばならない。このような状況下で地域の組合がとったのが、税金を納め易くするために「日掛け預金箱」を商店街に回して行き、各商店は当日売上金の中から営業規模に応じて所定の金額(百円・五百円など)を入れて、それを事務局が回収し保管しておくという仕組みだったそうだ。

以上、伝聞になるので掻い摘まんだが、「どのような業種であっても、組合組織の始まりというのは、このようなものなのだろうな」という内容であるように思う。

もちろん時代や社会の様態の変化という事情はあるだろうが、結成して長い年月が経ったり組織として大きくなるに連れて”組合ありき”になってしまい、そもそも構成員が上手くやっていけるように計らうために、或いは対外的な交渉力を最大化するために組織したはずなのに、いつの間にか意思疎通が滞り不具合が生じる場面も多々あるのではないかと考えた。また視点を変えれば、組合の構成員たる責務を果たさずに、所属していることによる恩恵のみを享受するような者も出て来たりといった場面もあるだろうか。

これは当然ぱちんこ業界の各業界団体・組合についても同じであり、幾分か性善説に依って立つような言い方になるが辛い時分にこそ結束して難事を乗り越えたいと思う次第である。全国各地のホール組合は戦後、格別な娯楽が身近なものでなかった時代に今よりもずっと小さな規模で結成されたところが多い。私が居るここ東京のホール組合も、1948年(昭和23年)に東京都打球業連合組合として組織されたのが始まりで、その後は地区単位での離脱・合流・復帰などを経て1967年(昭和42年)に東京都遊技業協同組合として再編され今に至る長い歴史を有している。

私は、組合とはすなわち”責務”と”我慢”だと思っている。このコロナ禍に際し自社・自店も決して楽でなどなく、あらゆる機会に臨んで責務を100%果たしているかと言えば、必ずしもそうではないのかも知れない。しかし、どこかで貢献出来なかったのであれば別の機会により多くのものを返したり、他所様よりも長く我慢したりといった具合いに、大局的・対外的なことは執行部に付託した上で構成員として認められるような在り方で長く存続したいと、これまで以上に強く考えるようになっていると述べて本稿を締める。

楽太郎

Posted by 楽太郎