待ちわびて、愛でて、惜しんで-桜の季節に添えて

2021年3月12日

街の景色の植え込みに特に誰から鑑賞されるでもなくひっそりと咲く椿や、寒さに耐えて健気に花開いている梅の季節がそろそろ終わり、これからようやく桜の季節がやって来る。

風は南から春を運び、私が居るここ東京に至り本社近くの公園の蕾を開かせるのは、気象庁の開花予想によれば3月16日で満開は23日になるだろうとのことであった。

ソーシャルディスタンスが叫ばれる中で仲間内で集って花見という雰囲気ではないのが惜しまれるが、まだかまだかと待ち望んだり、盛んに咲けば愛でたり、雨に降られて早々に散ってしまっても残った緑葉にすら風情を感じさせるような花といえば、やはり桜をおいて他に無い。

折しも今日は3月11日で、東日本大震災から10年経つ中で記号化して定着した「3.11」は、宮城・岩手・福島県にゆかりのある人々だけでなく全国の日本人にとって特別な意味を持つこととなった。

私自身、近しい者の親族2名が落命し、もう1人は波にさらわれ行方不明のままである。ゆえにこの日になると、まずは当時甚大な被害に見舞われ未だ元の生活を回復できていない地域の方々に、そしてぱちんこ業界人としては接客最前線の現場たるホールはもちろんメーカー・販社や、周辺機器を扱ったり広告宣伝に携わるなど、当地の全ての方々に思いを致している。

未曽有の震災においてもコロナ禍に際しても、そのような状況下で「余暇産業は如何にして在るべきか」というのは度々取り沙汰されることであり、その答えは個々人ごとに大きく異なっている。

日々の気晴らしが必要なのはわかるがそれが世間的には必ずしも好ましくない遊びという位置付けであろうパチンコスロットで良いものかどうか、自制・自粛・遠慮している人が多い中で娯楽に興じて良いのかどうか、といったことは、当地のホール関係者の方々が直面した問いであるように思う。

まさに当地のホール職域の知人は、こう言っていた―――「パチンコスロット店である以前にひとつの営業施設です。どんな業種店舗でも、地域住民から在って良かったと思っていただいたり、ご愛顧いただけなければ、そもそも存続できません」、「一昔前のように遊技人口が多く法令順守の意識が弱かった頃なら、どんなホールでも、仮に適当にやっていても、パチンコスロットユーザーだけを見ていても、存続できていたのでしょうが、今はそんなのは不可能です」、「地域に根差した営業でなければなりません」と。

10年という歳月がもたらした日本社会の変容と、規則改正に代表される業界内の大変動、また現在進行形の厄災であるコロナ禍は、地域住民と精いっぱい向き合っていたとしても当地のホールがこれから先も立ち行くことを困難にしているかも知れない。或いは、肝心要である地域ユーザーが、遊技に興じられるような懐具合ではなくなってしまっているのかも知れない。

そのようなご時世であっても、今度登場する新機種は面白そうだからあの店が導入したら是非打ちに行きたいと思っていただけたり、出掛けたついでに盛況ぶりを見掛けて自分もちょっと遊んでいこうかと思っていただけたり、営業努力が報われず不幸にも廃業してしまった際に地元の方々から惜しんでいただけたり、そういったホールが当地に沢山あることを同業として願うとともに、私自身もそのような店舗運営が出来るようにと日々尽力したい。

楽太郎

Posted by 楽太郎