春の訪れとともに動き出す者たち

2021年3月3日

社会の在り様や普段の生活面において、これまで”当たり前”であった物事がそうでなくなるという可能性は、昨年4月初旬に緊急事態宣言が発令されたあたりから識者の中で度々話題になっていた。

その当時は、さすがにそこまで大袈裟なことにはならないだろうという希望観測的な反論も見受けられたが、丸一年が経過してみると街中の至る所で、日々の暮らしの中で、長らく至極当然のように享受していたサービスや利用していた空間、購入していた商品などがワンランク上のものになったり特別な物事として再認識されているように見受けられる。

卑近な例では、家族・仲間内で連れ立っての外食だろうか。迎え入れる側の営業店舗においては、単なる食事という行為だけではなく体験としてそのような”場”を持つことや、空間そのものに相応の対価を支払うという感覚が利用者の間で高まることを見込んで、施設設備、接客、看板に掲げている商品・サービスの価値を質・量・工夫などあらゆる面で総合的に向上させることで客単価を上げるように取り組み客数減少の補填を図ることが予想される。長引くデフレ下で従来数百円程度の価値が当たり前だったものでも、これからは紙幣と硬貨をより多く出さないと購入・利用できないものが増えるかも知れない。

対人機会と人流の抑制が叫ばれる中で会食がほとんど無かった年末年始は私自身とても新鮮であったが、親しくしている方々や取引先の中からは、そろそろ一席どうかと声を掛けて来るような”気が緩んだ”人たちも出て来ているため、理由を付けて断るのに苦慮することが増えて来ている。

そんなことを考えながら1・2月を過ごした訳だが、気付けばもう3月に入っていた。

政局に関して、コロナの状況と東京オリンピック・パラリンピック関連の報道、菅総理近辺の不祥事、また内閣支持率の推移に気を揉む自民党は、どの時期に衆議院の解散総選挙に踏み切れば単独過半数が維持出来るかと算段を練っているようだ。

直近でのターゲット日として、4月下旬に見据えられている可能性が出て来たように見える。4月25日には衆議院と参議院で二つの補欠選挙が控えており、仮に3月中に新規感染者数の数字が落ち着き病床使用率も低ければ、オリンピック・パラリンピックを目前に控えて開催の是非でゴタゴタする5・6月や、小池都知事から政局を引っ掻き回される懸念もある東京都議選が予定されている7月(6月25日告示/7月4日投開票)、或いはそれ以降に保留するのではなく、4月の内にやってしまえという考え方も強まることが予想されるからだ。

そのようなことを読み取ってだろうか、気の早いというか準備に余念が無い現役議員は既に全国各地で動き始めている。その中でも、ぱちんこ業界界隈に関係して来る可能性がある人物としては、元パチプロという経歴を持つ参議院議員の立花孝志氏が挙げられる。

立花氏は2月5日、政党名を「NHK受信料を支払わない方法を教える党」へと改め、同月中旬以降おそらくは”ある意図”を持ってぱちんこ業界への接近を試みた。その手掛かりと見做したのは、大崎一万発氏である。立花氏は大崎氏が展開している動画へのコメント等によりコンタクトを持ち、あろうことかパチンコに関わる政治団体を作る構想があることなどを披露している。

これに対して、掻い摘んだ事情を知る業界人の大方の反応としては、立花氏が意図するものはただ一つ、選挙のことが取り沙汰されるようになった中でこのようなアクションを取ることで”話題作り”をしたいだけだろう、というものだ。行動力と発信力は高いだけに、場とタイミングさえ間違えなければ動くだけで目立つ人物であることは間違いない。

しかし、国政の場に踊り出てからの立花氏は、党名の目まぐるしい変遷や各地方選挙への参戦と敗北、政党としての主義主張の本丸であるはずのNHK受信料絡みの訴訟での敗訴、そして堀江貴文氏への接近と小池氏に挑んだ都知事選(43,912票/得票率0.72%)といった具合いに傍目から見れば”迷走”し続けているのは周知の通りである。

その悪い流れにあって、地方選でも国政でも何でも構わないので、若干なりとも勝てる可能性があると見る選挙の際に存在感を放つためにぱちんこ業界を利用しようと目論んでいるのではないか、という推察は当たらずとも遠からずであろう。

ここで一つ、懸念事項がある。それは、前述したように今後どこかの選挙の場面において「ぱちんこ業界絡みで見栄えする公約を掲げることで、ユーザー票を得ようとするのではないか」ということである。その公約はおそらくは実現可能性が極めて低い”撒き餌”のようなものに留まるだろうが、仮にそれがとても魅力的なもので少しでも”あるかも知れない”という期待感を喚起するものになった場合には、例えば次回の参議院選などでまとまった票数を獲得してしまうのではないかと心配される。

心配という表現をしたのは私が業界人だからであり、つまりは2019年夏の参議院選で尾立源幸氏の当選を目指して影働きした業界各職域や、族議員という国政への”取りなし手”を得ることで監督官庁との関係性を時代に適したものに改めて行くことを志向した者たちの顔に泥を塗り付けるようなことにもなるだろうと思ったからだ。

もちろん、いかに”キャッチー”な政策を掲げて臨んでも、見識ある多くのユーザーは安易に靡いたりはしないだろうし、そもそも立花氏はいわゆる”パチプロ軍団”として一般ユーザーやホールとは相容れ難い立場で活動していた人物のため、観察眼がある者であれば同氏は業界やユーザーの利害を代弁するのではなく自らのために利用しようという意図で関わりを持っているに過ぎないと看破し得るだろう。

ここでは立花氏の直近の動きに対して否定的なことばかり述べてしまったが、もしも真っ当な主張や取り組みがなされるのであれば、その都度評価を改めれば良い。いずれにせよ、ぱちんこ業界への関わり方の本気度は現時点では読めないが、もしも国政選挙という大舞台に際して最接近して来るような局面が来れば、その時は読者各位におかれてはどうか賢明なる判断を願いたいと述べてこの雑談記事を締めさせていただく。

楽太郎

Posted by 楽太郎