”抜ける”機種だと分かったのなら要所で設定5・6を

今年は丑年だがホール営業現場の目線では時の流れは牛歩という訳ではなく、むしろ射掛けられた弓矢の如くあっという間に流れ、気付けば2月も既に中盤戦に差し掛かっている。新年初回の新台入替を1月12日に設定した店舗が多かったが、その前後の時期にお目見えとなった新機種には営業数字を構成する3要素(売上・稼動・粗利)の内どれかを作り易いものが多いため、いくつかを適当に摘まんで導入した店側としては助かった格好と言える。

例えば、稼動をそこまで意識せず俗な言い方だと”抜きに”行ってしまえば粗利を残し易いものとしてPワイルドロデオなどが、若年層中心に稼動を得やすいものとしてはPコードギアスやS頭文字D、S南国育ち、Sひぐらし祭などが挙げられる。特にスロットの新機種稼動は短期的であり今後の見通しはどうかと言われれば疑問符が付く場合が多いが、過度に悲観的にならず現況を見れば前述した2機種は十分に”踏ん張っている”と評価して良い。

スロットコーナー全体を見渡した際に高稼動水準にあるのが、これまで通りマイジャグラーⅢ&Ⅳ、ゴーゴージャグラー2という面々であるのに加えて、固定客支持を受けて数字がハネ上がっているだけとも言えるバラエティー機種のS愛姫、ギルティクラウン、聖闘士星矢海皇覚醒などであり、ここにいま導入4~10週クラス且つ販売台数3,000台以上という適当に設置がある機種が割って入っているとなれば、一定以上の初動評価をせざるを得ないと言った方が妥当だろうか。

ここに直近で登場したのがSバイオハザードとS政宗である。前述した中では南国育ちもそうだが差枚数の上下動が大きくなる造りになっており、ここに店側の運用上の考え方の違いが生じることになる。

まずは「荒い波自体をユーザーが支持している」と解釈し、それを活かす運用の仕方。次に、荒い波を緩和するような運用の仕方。最後に、これは言及するまでもなかろうが「勝手にまとまった枚数の上下動が起こり易い造りなのだから、毎日設定1・2をリセットして”賽銭箱”として扱う」という考え方である。

最後のものは先行して導入され既に存在感を失ってしまっている数多くの新規則機がその運用の末路を明確に物語っているため論外として、営業現場目線では特に若年層中心に突っ込みが多くなっても(ここでは仮に2万円以上とする)切っ掛けを得れば投資した分以上になって跳ね返って来る可能性が十分にある、或いは実際の遊技経験上その頻度が高い機種を好むというユーザーは多く、私見ではこのような機種設計上の特徴を設定運用の工夫で”際立たせた”方が機種寿命は長くなると見ている。

例えばSまどかマギカ叛逆のようにゲーム性自体は面白味があっても1,000枚水準を一気に出すのが難しい―――言い換えればマイルドでユーザーフレンドリーな造りの機種よりも、最近多く登場して来ているようにCZで上手く引っ掛けることができなければ投資金額が嵩むがAT突入時の獲得期待枚数が500~800枚程度あり更に上の水準の獲得も狙える機種の方をより多くのユーザーは支持していると推察し、これらの違いの根本にあるのは”高設定をツモった際のヤレる感の有無”と言える。

一部の5.9号機までであれば、この”ヤレる感”は低設定域でも生きており、先ほどの流れで言えばまどかマギカ2は設定1・2でも3桁乗せやマギカクエストの成果などによっては投資分のリカバリーが可能だから空き台があればよく打っている、というユーザーは多いだろう。

つまり、6号機時代に入ってユーザーが”死んだ”と思っているのはこの感覚であり、実際そう思わせるような運用―――つまりヤレる感の減退を高設定使用でカバーするという運用が出来ていない店が多いということにもなろうか。

先に挙げたバイオハザード、政宗などは、設定1では地獄の底まで連行するような吸い込みを見せる。いま手元にあるそれぞれ30数台分の設定1・2データを参照すると、ある6枚交換店では導入以来ずっとバイオを設定1でリセットし続けて運用した結果IN枚数14,400枚に対して累積粗利が既に20万円を超えていたり、政宗に関しては機械代の半分を作り終えたような数値になっている。

運用プランは店ごとに異なり、またバイオの新台価格は税込み1台54万円水準という高額であることも考慮すれば、ある程度勝手に稼動する導入最初期に抜きに行ったことに関しては良し悪しを問えない。しかしやはり、設定を落とせばしっかり抜けることが分かれば翻ってやる気を見せたい時は設定6の使用に関して店側の恐怖感は無くなるとも言えるため、今後の”メリハリのある運用”に期待したい。

実際、両機の設定6営業データだと4,000枚級獲得のグラフも多く見受けられ、要所で使用されるのであれば機種寿命の長期化に寄与するだろう。4,000枚級ということに関して「たったそれだけか…」と見るか、それとも「6号機でも高設定があればそれだけ取れる」「読みが外れて仮に設定1でも、初当たりからの獲得期待値が”諭吉1人分”を超える」と見るかは人によりけりだが、5号機時代のメイン機であるバジリスク絆2でもホール営業の現場では設定6を通算で見れば4千数百枚程度の差枚数になる訳だから、無理矢理比較しても決して悪い数値ではない。6号機であっても止め時を誤らず最大差枚数で切り取ることができれば、旧規則機と遜色が無い収支にもなり得るだろう。

さすがに両機が新紙幣導入により福沢諭吉から渋沢栄一へとバトンタッチし初当たりで最低でも”栄一1人分”は取れる機種、高設定の使用に期待が出来て掴めばまとまった枚数の獲得も狙える”ヤレる”機種として認知され、認定を取得してホールで長く活躍しているイメージまでは持てないが、少なくとも日電協内規が大幅に改定されスロット機の製造上の規格が劇的に見直されるまでの間であれば、店側の運用努力により延命が可能な造りになっていると評価できる。そしてこの”運用努力”について、具体的に述べれば「中間設定は使用せず要所で設定56を使用する」のが、この手の荒波型6号機運用のベターな手法になるだろうか。

普段は、業界全体として”射幸性の抑制”に取り組むことで監督官庁のみならず他官庁からの評価も得ていち産業としてポジションを認められ、またコロナ禍に際してその重要性が身に染みた通り公的ケアの対象としても認められるなど”恩恵”に与ることもあり得るのだ、などと述べている身で決まりが悪いが、特に若年層スロットユーザーは”遊べる”かどうかではなく”ヤレる”かどうかで遊技意欲を喚起される場合が多い訳だから、ここは店側が長期設置を見据えた運用で応えたいところである。



最後に、スロットシーンを俯瞰して締めたい。

①1月から6月末までの期間に設置期限を迎える主要機が1つも無いため、当座のシェア維持を意識せずじっくりと開発・販売に臨むことができる大都

②より多くの検定・認定切れ旧規則ジャグラーの入れ替え需要を既存のSアイムジャグラーの増販分で受け、その後に時期をずらして新作ジャグラーを販売することで遊技機事業収益の最大化を図りたい北電子

③北電子の販売条件を難と見るホールの歓心を得ることで、今後ノーマル・RTタイプ機におけるシェアを伸張させたい山佐

④差枚数の出入りが大きいATタイプ機を求められるため開発上のハードルが高いが、王道系ノーマル・RTタイプ機のネタには困らないユニバーサル

⑤直近で新作北斗の大量導入を控え、また新作ディスクアップに関しては変に弄ることがなければまず失敗することは無いだろうと目されているサミー

⑥山佐と同様に北電子の販売施策に隙ありと見て、6号機時代でもハナハナブランドの更なる価値向上を狙うパイオニア

ざっと、このようなものになるだろうか。

ホール側の立場で自省を込めて述べれば、遊技に対するユーザーの期待感を遊技機性能と演出だけに任せるのは使命や責任の”不当な押し付け”である。

野球に譬えれば、投球して仕掛けるのはホールであり、それを打つ・受け取るのはユーザーということになるだろうか。

投球に緩急を持たせ、時に直球・変化球或いは牽制球も織り交ぜつつ、ユーザーと一緒になってまたスロットシーンを盛り上げたいと思う次第である。

楽太郎

Posted by 楽太郎