個社毎にペース配分・機械代遣り繰りしながら”中盤戦”へ

2021年2月5日

エンタテインメントビジネス総合研究所とシーズは、第一波時の緊急事態宣言に係る休業要請期間が明けて全国のホールで営業再開後1ヵ月が経過した時点にあたる昨年7月に、第81回パチンコ景気動向指数調査の結果(有効回答法人数:81社)を公表した。そこでは今後の施策として「事業規模を縮小する」との回答が20%以上、「遊技機の購入費を減らす」と回答したのがパチンコスロット共に70%以上となるなど、先行きを不安視するホールの状況がアンケートに如実に表れた格好であった。

この不安感の中身はと言うと、規則改正に係る遊技機性能の低減、新型コロナ、改正健康増進法に伴う屋内禁煙化のマイナス影響など諸々のことが悪材料として織り込まれているためであり、かろうじて分煙施策を講じることでマイナス影響の低減が可能な屋内禁煙化以外の不安要素に対しては自社・自店では抗う術がなく、もうこの時点で”良い”或いは”まとも”なホール事業収益で当期を着地させることに関して諦念が色濃く漂い、”少しでもマシな”数字になるようにどのようにして取り組んで行くかだけを考えていたところも多かっただろう。

その後、長引くコロナ禍にあっては店舗において玉・メダル・賞品の出入りによって生み出される利益や店舗運営上の節約努力だけでは事業計画上のショートが大きく、また数字の回復についても7~8割が精一杯という具合いであるため、統括店長・エリアマネジャー・営業部長クラスのホール事業全体に直結する数字を管理する立場の者が等しく考えることのひとつとして、自身の責任範囲になる”遊技機の遣り繰り”でどうにか補填しようと(或いはマシな数字にしようと)試みている場合が多いだろうと推察し、私自身もまたその一人である。

この遊技機の遣り繰りはゲージ盤購入・リユース・レンタルなど新機種購入の仕方や台数査定をじっくりと行う事での工面はもちろん、中古機の購入・売却を含めて”差し引き機械代”を如何に低く抑えるかということと、主に販社を通じて設置目的ではない中古機を購入し機を見て転売することで差益を得ることでの金策など諸々の取り組みが含まれる。

このように述べると、さぞかし転売施策は有効なのだろうと思われるだろうが、実際には昨年11月から今年の1月末にかけての中古機市場の動向は、遊技機売買責任者クラスの者の思惑―――ここでは”皮算用”と言い換えても良いだろうが、その目論みの多くは外れてしまっており、それは特にスロット機においてである。

具体的には、例えばSサンダーVなどのように販売時に計画以上の案件が入りメーカー側が上方修正して出したような一般的なノーマルタイプ機なら20万円前後の価値を維持するだろうと思われたところ一時的にせよ値崩れを起こしていたり、沖ドキの撤去により4万台規模で30Φ機の需要が自然発生することからAT突入時の獲得枚数期待値が高い機種やモード移行の妙によりスランプが大き目な機種、また設定示唆要素が多い機種などを中心として適当な機種であっても年末年始にかけて価値が上昇するだろうという目論見から、安いと判断した時点で沖ドキ2をはじめとした30Φ機を転売用に購入したものの、その後は値崩れの一途を辿ったため不良在庫化してしまっているところもあるなどと仄聞する。

その他の売却事情に関するあれこれは、営業再開後からスロットコーナー営業数字の回復のピークとなった7~8月期(=20円スロット台売上21,000円前後、稼動7,600枚前後)においてすらも年配層の戻りが思わしくなく、そのため中小規模に分類されるホールの中にはジャグラーを”台数過多”と見て漸次減台してしまったところもあったと伝え聞く。同業目線では、台数過多と判断した理由は純粋に営業数字判断ではなく、マイジャグラーⅣが150~180万円、ゴーゴージャグラー2が80万円前後という高値で推移していたため、前述したように営業粗利の欠損分を設置機種の切り売りで対処したということになるだろう。

この判断は必ずしも責められるものではないが、現時点で見れば当座の金を拾いに行っただけと言え、もちろんジャグラー以外に適当に稼動が見込めるノーマルタイプ機―――例えばハナハナ系やパルサー系、ユニバーサルの旧タイトル機に代表される”王道系”の機種があるのなら話は別であるが、もしもスロットコーナー数字の大部分をジャグラーに依存している状態でそれを自ら撤去してしまったのであれば、手持ちの旧規則ジャグラーと引き換えでなければ新規則ジャグラーが用意されないという事態に及びまさに悔やんでも悔やみ切れぬ状況かと推察する。この逆の言い方をすれば、50~60万円台で推移していた時期もあったマイジャグラーⅣとゴーゴージャグラー2の高額転売に成功した法人もあっただろうか。

また、当座の売却値を得るための方策のもうひとつは、Sバジリスク絆2であった。同機は後述するように全国データ上では減台すべきではない機種に該当するが、初販と増販分を合わせて多めに買っていた法人・店舗で尚且つ自社・自店ではそこまで貢献度が高くない数値まで落ち込んでいた場合には40~60万円水準での売却の対象にもなっただろう。

直近週でのATタイプ新機種の状況としては、まずS頭文字Dが15,000枚という高めの水準での登場後に13,000枚、Sひぐらしのなく頃に祭とS南国育ち30が13,000枚水準から12,000枚水準へ、このようにダウンしたものの、これらは今のところはどうにか良水準で耐えていると言える。

その下の面々を見ると、稼動貢献していると言える7,000~10,000枚水準にあるのはSいろはに愛姫、S戦国乙女天剣、S慶次武威、S麻雀格闘倶楽部、Sアイムジャグラー、Sモンスターハンターワールド、S吉宗、Sアカメが斬る、Sバジリスク絆2くらいであり、ここに粗利貢献度という要素を加味するとまず愛姫は除かれ、新規則ジャグラーに関しても店舗によってはほぼ粗利ゼロで運用することでニューアイムジャグラーEX-KT・EX-KA、アイムジャグラーアニバーサリーエディション、アイムジャグラーEX-AEという旧規則アイム系の面々と同等の8,000枚水準の稼動をどうにか維持しているため、「長期にわたり稼動ならびに粗利貢献し尚且つ要所で高設定を使用しながら設置出来ている」と言えるのは2020年2月3週目からの導入であったSバジリスク絆2だけという見方も成り立つ。いかに当期の懐具合をマシにするためとは言え、そのような機種を売ってしまって良いものか、”外野”の者は思い思いに賛否を述べる訳だが、当事者にとって営業貢献度よりも売却による貢献の方が大きいと判断した場合には先ほどのジャグラー事情と同様にこれも必ずしも否定されるべき施策ではない。

2018年2月の規則改正により端を発した”撤去問題”も、旧規則機の中でも高射幸性に分類されるメイン機の撤去が主題であった”序盤”において主立った中ではまず初代まどかマギカが、その後はサラリーマン番長・ゴッド凱旋などが順次姿を消して行き、コロナ禍で後ろ倒しになったものの今は沖ドキが外れて今後グレードキングハナハナ・ニューパルサーSPⅡ・ゴーゴージャグラー2などが検定切れとなる2021年1月から6月末にかけての”中盤戦”真っ只中と言える。

この期間に期限切れとなるのは全国16万台規模であり、メーカーごとの内訳はユニバーサルが48%・北電子が40%を占めている。当然、両社ともここでまとまった台数を販売して来ることになるが、ホール事業ならびにスロットコーナーの数字を崩して来ているホール側がしっかりと買うだけの体力があるかどうかが注目点となる。その後は、7月から経過措置期限の11月末までの”終盤戦”にいよいよ雪崩込んで行くが、計画的に機械代を分散しつつ漸次入替を進めて来たかどうか、売却も含めた遣り繰りに成功したかどうか、ここで”結果発表”となる。

現時点で、「この法人・店舗は、今回の規則改正では間違った入れ替えをしているな」「ホール事業からの撤退・廃業予備軍だろうな」と同業やユーザーからそう目されていたとしても、ボロボロになりながらも業界団体の申し合わせを守りつつ最後まで走り切ってしっかりと立っていれば、ほとんどの施策は正当化されるだろう。言い方を変えれば、仮に生き残っていても途中経過において申し合わせに反する施策をとったならば”減点”される場合もあるかも知れない。

いずれにしても、どのような購入・売却施策を講じながらこれまでに経験の無いような不穏な1年となった2020年を過ごし、年が改まった今の状況がどのようなものであれどうにか事業継続出来ていて来期はもう少しマシな1年にするべく忍耐の時を過ごしている同業の方々に対しては、皆が厳しいのだから昨年の苦労ついでにもう一苦労頑張っていこうと声を掛けたいと、そのように思う次第である。

楽太郎

Posted by 楽太郎