2021年の政局は、ぱちんこ業界にどのように影響するか

2021年1月25日

昨年11月中旬以降の新型コロナ第三波と、2,000人超の陽性者数を記録した東京をはじめとする都市部での感染拡大がおそらく地方へも波及していること、またそれによる緊急事態宣言の再発令といった具合いに非常に慌ただしい年末年始を経て1月も下旬に差し掛かっている。

難事の対処にあたる菅内閣だが、新聞各社など硬派なメディアが独自調査する支持率ならびに国会答弁や記者会見等の内容に関する報道等を総合的に参照すると、私見では既に民意は現総理を支持しておらず政権運営自体が危うくなって来ているように見える。

昨年9月に政権が発足した当初は自民党内ではなるべく早い時期での衆議院解散が望まれていただろう。その背景にあったのは内閣支持率65~70%・政党支持率45%前後という必要十分な数値であり、セオリー通りであればこのような時期の解散であれば与党にとって有利な結果になるからだ。

しかし、その後第三波に晒され、12月14日に世論ならびに野党から煽られるかたちでGoToトラベルを一時停止。12月21日には前総理の安倍氏が東京地検特捜部の聴取を受け、やれ会食がどうの、答弁が短すぎるのではないか、言い間違いが目立つだのと逐一批判された。

年明けを迎えてみればいよいよ緊急事態宣言を”出さざるを得ない状況”に追い込まれ、いざ発令した内容が入国管理は徹底しない、飲食に絞っての時短要請の実効性を叩かれる、ボトルネックと目されている医療キャパシティの拡充が進まず、そこに来て1月21日にはかねてより公職選挙法違反の罪に問われていた河井案里被告が有罪判決を受けるなどあらゆることで、ほとんど全方位から集中砲火を受けているような状態である。

現時点で見れば、もはや解散の時期をコントロールすることは不可能であり、直近10年ほどではリーマンショックの直撃を受けたこともありたった1年で退陣を余儀なくされた麻生内閣と同じように切羽詰まっての解散という流れ以外は見えなくなっている。

ただし、麻生内閣の時と違うのは、発足時の支持率が非常に高かったため現況の33%前後(安倍総理辞任時の支持率は34%前後)という内閣支持率はまさに”急落”の様相を呈しているため麻生内閣時よりも印象や状況がより一層悪く見えるということと、当時の民主党などのように取り敢えずでも政権交代し得るような野党が1つも無いということである。

違いに挙げた2つのうち前者は、菅内閣にとっては当然マイナス要因である。普通は政権発足100日程度のいわゆる”ハネムーン期間”はメディアもいちいち叩かないものだが、今のような何でもかんでもネタとして採り上げられる状況は既に国民のために働くことができない内閣という印象をメディアが持っておりそれを積極的に報じているからに他ならない。これにはコロナ禍という特殊事情もあるが、政治家にも幸運な者とそうでない者が居るようで、菅総理はどうやら後者だったようである。

次に、野党の状況の違いについては、菅内閣にとってはもちろんプラス要因である。実質的に今は野党など1つも存在しないようなもので、政権交代し得るような支持を得ている政党は1つも無いばかりか仮にコロナ対策の不手際を指弾し是正するというたった1つの共通目的のために、例えば小沢一郎氏が長年提唱している比例代表で統一名簿を作成するという”オリーブの木”方式の下に野党が共闘するようなことがあっても、では誰に総理の重責が務まるのか、国民が期待を寄せることができるのかというと、誰の名前も挙がっては来ない。

こうした流れで考えると今年の政局は、①現政権がどのような体たらくであっても、政権交代の可能性はゼロ②菅内閣の支持率が安全圏に回復する可能性は低い③ワクチン接種の段取りならびにその効果と、東京オリンピック・パラリンピックを開催するか否か、開催するならどのような形式(無観客など)で行うのか、という2つの取り組みの結果如何では菅総理は自民党総裁と総理の座を失い、最悪の場合には10月の衆議院の任期満了に伴う総選挙で自民党が大きく議席を減らす(しかし政権交代は無いため、強い政策を打ち出せる政党や”主役”を張れる政治家が表舞台に1人も居なくなるという意味で国政が弱体化する)―――ざっと、このようなものになると見通す。

日程的にまずはワクチンだが、1月18日に開会した通常国会の施政方針演説において菅総理は「2月下旬までにワクチン接種を開始できるよう準備する」と表明し、次世代リーダーとしての資質や人気が見出され始めている河野太郎氏を担当相に任じている。

接種が予定通りのスピード感で進行し想定している効果が得られれば、いま国内にはびこっている不安感もだいぶ和らぐだろう。暖かい春の訪れとともに、新規陽性者数の発表にも目に見えるかたちで状況好転の様子が確認できれば、政権にとってはようやく追い風が吹くことになる。そうなれば、9月の自民党総裁任期の満了や10月の衆議院解散よりも大分早い時期且つ東京オリンピック・パラリンピックと重ならない時期、つまり4~7月初旬にでも解散総選挙の可能性が出て来るかも知れないが、現時点では楽観的すぎる見通しということになるだろうか。

次に東京オリンピック・パラリンピックについて。IOCバッハ会長が1月23日のビデオメッセージにて「開催への見通しは良好」と期待を寄せた通り、ワクチン接種が奏功し仮にどのようなかたちであれ開催したとすれば、実際の内容を全て無視してでも政府・オリンピック実行委員会としてはこの催しを”大成功”として扱うだろう。そして菅総理はこの勢いを利用してパラリンピック終幕直後にあたる9月に解散総選挙に打って出ると予想される。この可能性であれば、あり得るかも知れない。



いずれにせよ、いざ自民党総裁選・総選挙の時が来たとして、では一体だれが自民党総裁の座に就くのか。菅改造内閣になるか新内閣になるかは別として、ここでようやく表題にもある通りぱちんこ業界のことに思いを致すが、私見では「今の流れのままであれば、どのような結果になっても、ぱちんこ業界にとってマイナスになる可能性はゼロである」と見通す。

その理由としては、自民党の人材不足が挙げられる。支持率が低いままでも選挙結果がどのようなものであっても菅政権が続いたとして、現政権ではおそらく安倍総理時代以上の存在感を有しているのが志帥会を束ねる二階俊博氏である。

周知の通り同氏は先の参議院選において尾立源幸氏の後援をぱちんこ業界に要請しており、また第一波に際しては業界が公的扶助・支援を受けられるような働き掛けを行っており、同氏の影響力維持は業界にとってプラスに作用する。最近になって党内では青年局局長の牧島かれん氏が定年制度の再徹底を求める動きを見せているが、二階氏をはじめとした重鎮の影響力を脅かすものにはならないだろう。同派閥には業界と縁深い平沢勝栄氏もおり、業界所管とは無関係とはいえ現政権でもポジションを得ている。

では、業界に直接的な影響を及ぼすポジションについてであるが、現在は総務大臣を務めている武田良太氏の後任として国家公安委員長に着任したのは、小此木八郎氏である。同氏は先の総裁選で菅氏の選挙対策責任者を務めていることから、現総理との結びつきは当然強い。

また、同氏の父親は菅総理が11年間にわたり秘書として仕え妻の真理子氏も家事手伝いとして関わりがあった、小此木彦三郎氏(故人)である。失礼ながらメジャーな政治家ではないが、当選同期には小沢一郎氏、森喜朗氏、羽田孜氏など今でも様々な場面で話題になる政治家が名を連ねており、中曽根内閣や竹下内閣では大臣も経験している人物である。菅総理は着任後すぐにあたる昨年9月21日に墓参し、記者団の前で幾分か声を震わせながら「45年前、地縁も血縁もないこの横浜で政治の世界に飛び込んで、たどり着いたのが小此木先生の事務所だった。内閣総理大臣に就任したので墓前に報告した」と語っている。

政治に私情や”世代を超えて返す恩”のようなものがあるのかどうか私には分からないが、子息にあたる八郎氏にとって少なからず面倒になるような、つまりは従来のぱちんこ業界所管方針とは大きく趣きを変えるような政策を打ち出す可能性は無いのではないかと見ている。

最後に、菅総理では政権維持が困難になり、別の誰か―――安倍氏でも誰でも自由に思い浮かべていただいて構わないが、新総裁・総理が誕生した場合にどうなるかということについて。

ぱちんこ業界にとってのキーマンである二階氏の影響力を制限できる人物が着任しなければ、ぱちんこ業界が何かしらのマイナス影響を受ける可能性は無く、実際にはそのような力を持った政治家は今は居ないと見て良いだろう。

結論としてはやはり、「近い将来において、ぱちんこ業界が大きな変革を迫られるような局面にはならない」という見通しを述べて、本稿を締めさせていただく。

楽太郎

Posted by 楽太郎