「分断の顕在化」と「陰謀論」

2021年1月18日

世にも珍しい紛糾の様相を呈したアメリカ大統領選だが、1月20日にバイデン氏が新大統領として就任式典に臨むことで最終決着を見ることとなる。バイデン氏はトランプ氏の施政を民主主義・国際政治のリーダーたるアメリカ史上の汚点と見做しており、トランプ氏が断行して来た政治・外交判断のいくつかを重要度が高いものから順次見直しを図ると目されている。

差し当たっては、地球温暖化対策の国際的なスキームであるパリ協定への復帰と、トランプ氏が軽視して来たマスク着用について連邦政府施設内における着用を義務化し、また同氏の排外的ポリシーの最たるもののひとつであった国境・入国管理の厳格化施策について中東ならびにアフリカのイスラム圏からの入国禁止令を撤回すると見込まれている。

直近の報道では、就任から10日間の政策スケジュールは既に定まっており「国際社会におけるアメリカの地位を回復する」という方針のもとで取り組むとのことであったが、多くの日本人にとっておそらく最たる懸念は「バイデン氏は中国と対峙するような外交はしないだろうと言われているが、実際のところはどうなのか」「日本海における領海侵犯の激化という問題に対してどのようなスタンスをとるのか」ということに集約されるだろう。

トランプ大統領時代はアメリカ国内で民族や人種、政治理念を異にする者同士の分断が起こり、時にそれは騒乱へと発展し死者も多く出た。プロテニスプレーヤーの大坂なおみ氏が、国際試合の舞台で犠牲者の名前をプリントしたマスクを着用して抗議したことも記憶に新しい。

日本人である私がトランプ時代を正確に総括するのは無理があるが、ヒラリー・クリントン氏との前回の選挙戦から大統領への就任、そしてこの度の敗戦までずっと念頭に置いていたのは前述したような”分断の顕在化”と、様々な場面で”陰謀論”が高まったという2点であった。

前者について特にそう感じたのは、人種間の諍いが街頭で繰り広げられそれが大きく報道された時と、もうひとつは同じ共和党で”ベトナム戦争の英雄”と呼ばれていたジョン・マケイン氏を公の場で「捕虜になったマヌケ」と小馬鹿にした時だ。

私は、いとこがアメリカ人軍属と国際結婚していることもあってか、例えば日本国内における国防や米軍基地の在り方などが話題になった折にはその都度自分なりに事情や背景を調べるようにしている。その拙い所見では、長く強固な支配体制が敷かれたヨーロッパから自由を求めて渡航し独立戦争の折には団結して勝利を得たという建国の気風と多民族国家の宿命として、アメリカにおいては、国家のためにその身を捧げた人物には人種や党派などを超えた敬意が示されるのが当然だと思っていた。

それが、いかに政敵だったとは言え、退役軍人であるマケイン氏に対して前述したような態度を表明したという報道に際し(改めて調べると、前回の選挙戦時にあたる2015年6月のことであった)、おそらくこの男は全く新しいタイプの大統領になり、具体的に何かは分からないがアメリカという国にとって決定的なものを破壊するのではないかと予見された。

結果的には、対移民政策や、国際協定からの離脱、負担が大きい自由貿易体制の見直しなどにどんどん着手し、特に経済的に貧しい社会における下流層からは支持を得た。そのような支持の背景には、どうやら”陰謀論”も絡んでいた。

選挙戦が下火になるに連れてか最近は鳴りを潜めたようだが、アメリカには”ディープステイト(闇の国家)”が存在し”エスタブリッシュメント(既得権益層)”が国家を蝕んでいるというQアノン発信による陰謀論がインターネットを通じて社会に潜伏し、これは「新型コロナは中国による世界支配の武器だ」「トランプの票を盗み取った者が居る」などといった風に、今でも嘘か誠か判断が付かぬようなものまで話題になった。

これら分断と陰謀論の中心に常に居たトランプ氏が遂にホワイトハウスを去ることとなる訳だが、不謹慎な言い方になるが私としては珍獣が去るという寂しさのような気持ちと、やはり日本の国防に対する影響がプラスに生じるのかマイナスなのかそれとも変化が無いのか、不安混じりの気持ちで居るというのが正直なところである。



さて、毎度のことだが、これはパチンコ店長のブログである、なので、こじ付けだと言われるかも知れないが最後は少しぱちんこ業界のことに関連付けて締めたいと思う。

私がトランプ時代の所感として挙げた分断の顕在化と陰謀論だが、話のスケールは違えどぱちんこ業界にも見受けられるものだと思う。例えば、組合組織(特にホール関連団体)の在り方、メーカーと監督官庁の関係性、折々の撤去問題に際しての揉め事など。

ホール経営や店舗運営規模が全く異なるのに同じ規制や申し合わせの下で一致団結することなど出来はしない、今まではどうにか騙しだましやって来たが度重なる遊技機性能の低減や諸規制の強化により余裕を失ったホール側はもう全日遊連という枠組みではなく大手・地方大手とそれ以外の中小とで別組合を組織すべきではないか、ということも度々話題に挙がる。

また直近では、沖ドキの申し合わせ上の撤去期限の見直しについて全日遊連では臨時のオンライン会合を持ったが、それとタイミングを同じくして「回胴遊商と都遊協に公正取引委員会が立ち入った」という噂が出回った。これにより、申し合わせに法的な正当性や公共の福祉に資するような妥当性は無く、つまりは21世紀会決議による撤去期限など守る必要が無いばかりか独占禁止法に違反するのだから見直して当然、という方向に誘導する意図を持って”何者か”が流したのだろうか、という陰謀論まで流れたが、これは虚報であった。

他には、ホールに痛みを負わせてでも適当なスパンで”撤去問題”が発生したり規則改正が起こるというのは、一部のメーカーと警察庁とで業界の方向付けに関する何かしらの申し合わせが存在しているからではないか、というのも昔から囁かれることだ。もちろん、事の真偽など誰にも分らない。

まだまだ新型コロナが終息する気配はなく、ぱちんこ業界が置かれている状況も業況も非常に厳しい。おそらくは、これから先また別の場面で新たな問題が生じるだろう。最悪の場合は、特措法(或いは罰則規定を持った改正特措法)に基いての再度の休業要請まであるかも知れない。

ホール事業を預かる身である私としては、そんな中でも揺るがぬように、まずは自分の職責を全うし、自社・自店が動乱期を生き残れるようにこれまでのキャリアで培った全てを以て対処したいと考えている。

楽太郎

Posted by 楽太郎