パチンコ機はホールにとって大切な「商売道具」

適当に日が経ったため、軽く書いてみようかと思う。

先月のことだが、2件の社用が重なって都心・副都心エリアへと出向いた際に、空き時間が生じたため繁華街のホールで過ごすことにした。はじめに入った店舗は、上に空間的な広がりがあるせいか外から窺うよりも解放感があり、清掃や整頓も細部まで意識が行き届いており設置物の配置や掲示物の内容にも拘りが窺えとても好感が持てる営業をしていた。

おそらくだが、掲示物に関しては、人の目線に自然に入って来る位置では比較的小さめの文字サイズで、それよりもかなり高いか低い位置では大きめのサイズでキャッチコピーやデザインを配しており、「とにかく字は大きく、色は派手に」という旧時代的なパチンコ店のものとは一線を画した考え方で告知・内装を設えていることが拝察された。

検温の取り組みや除菌・換気による感染拡大防止対策も行き届いており、その後年が明けてつい先日発令された緊急事態宣言に係る対策の再徹底という現況であっても、全く問題の無い営業が出来ていることと思う。訪問した直近日のデータランプ判断では、設置台数に対しての稼動が少し寂しいようにも見えたが、それは何もこの店舗に限ったことではなく商圏全体・都内ホール全体の現況でもあるため仕方がないだろう。

このように堅実な取り組みをしている店舗の様子を見るにつけ、自店の営業に関しても対世間では粛々とした態度を示しつつ一旦店内に入ってもらえばカラ元気でも何でも良いので快適な遊技空間と快活な接客で遊んでもらえるようにしたいと改めてそう思った次第である。

この店舗での遊技の結果は残念なものだったが他にも色々と気付きを得ることが出来て、何より面会までの時間調整も上手くいき、その後は待ち合わせ場所にしていた近くの喫茶店に入った。

私は役職柄人に会う機会が多く、口臭の原因になることを嫌って滅多にコーヒーを飲まないが、その日の相手が旧知の間柄であることと店内に漂うスッキリと乾いた豆を今まさに砕いたような香りに誘惑されて、おそらく数カ月ぶりにホットコーヒーを注文した。メニューには「コロンビア(スプレモ)」と書いてあった。私は豆の品種には疎いのでどういった特徴があるのか良く分からなかったが、舌の上でもたつくことのないクリアな味わいで香りを楽しむにはちょうど良い銘柄だと感じた。

45分ほどの時間をそこで過ごし先方と別れた後で、喫茶店から見てかろうじて視界に入るくらい向こうに位置している別のホールにお邪魔することにした。

こちらは先ほどの法人よりも10軒ほど多く系列展開している店舗で、入店してまず昼過ぎという時間帯の割に客数が少なくその店内の様子に愕然とした。設置機種をざっと見遣ると新し目の機種が適当台数ずつしっかりと導入されているし、遊技空間の提供姿勢も非常に高いレベルにあると拝察したが、パチンココーナーの釘の状態をチェックしたところ支持されていない理由がすぐに分かってしまった。

具体的にどのような状態なのかというと、おそらく一般ユーザー目線でも全体的に期待感が持てないような零し方や閉め方をしており、同業目線で細部を見れば表現が難しいが丁寧な技術仕事を旨とする王道の釘の扱い方からは明らかに逸脱した叩き方をしている機種・台もいくつか見受けられた。

どれほど”邪道”なのか、画像で示せばそれだけで事足りるが、あまりにも”個性的”過ぎるため、おそらくはすぐに当該店舗が特定されてしまうだろうからここでは敢えて活字で示すことを試みる。

それは例えば、連釘があり、末端の釘1本だけが釘頭1つ分もの移動幅で跳ね上げるかたちで叩いてある、という具合いである。普通は、というか見た目を考慮するのであれば、隣接する何本かをごく自然なかたちで動かして、どこかが局所的に大きく動いているようには見えないように計らうものだが、そういった基本的なことが蔑ろにされていたので絶句してしまった。

百歩、いや仮に千歩譲って、そのような叩き方で何かのプラス効果を生んだり、或いは機種運用上の妙味があるのかどうか……とも考えたが、20数年間叩いて来た身としては、他のやり方でも同じ調整効果は出せるのに、なぜこのような見苦しい状態にしてしまえるのかと甚だ疑問であった。

特に酷い状態だった、ある新規則甘デジ機種について、近くを巡回していた社員風の男性に我慢ならず事の次第を告げた。「この釘は、スタッフ作業時にシャツの袖口や清掃用クロスを引っ掛けて動いてしまったのではないか」「見た目が悪すぎるので、不測の異常の場合は稼動停止にした方が無難ではないか」と。

すると彼は、メモ帳を取り出して何かを書き留め、一旦その場を去った。私はその後、打てそうな台が無いためスロットコーナーに避難し、全国的に1月11日が設置期限となっているある旧規則機を回して、幸運にもまともな枚数を計数することに成功した。

退店する前に先ほどの台が気になり様子を見に行ったところ、一般開放のまま非稼動であった。つまり、あの只ならぬ状態の釘は、あれで”正しい”――営業調整ということになるのだろう。

ホールにとってパチンコ機は俗な言い方をすれば”商売道具”であるのに、その整備や運用をあまりにも疎かにしている現場に出くわしたという残念な気持ちを抱えつつ、店舗を後にすることになった。

楽太郎

Posted by 楽太郎