「ただ安いだけの中古機」で新規則機化を進めるな

2020年12月27日

今週は月曜から金曜まで管理店舗の商圏ならびに近隣の商圏を精力的に視察して過ごした。その主目的は自店も含めて12月7日以降4円パチンココーナーで相当数の機種入替や配置換えが発生しているからだ。

メインでチェックするのは海系とミドルタイプ機コーナーだが、もちろん折角伺ったのだから他のタイプ機と役物抽選機、そしてスロットコーナーの様子にもざっと目を通す。

そこから窺い知れることを、概して7点列挙する。

①海系機種の運用レベルには店ごと・機種ごとに大差がある。これにはおそらく、常在客数がまともな島・コーナーはそのままにするか、それとも売上・稼動があるのだからそこで抜くか、という違いによる。P海物語金富士ミドルは旧規則海よりも平時の稼動で大きく劣るためか意図的に甘めに運用している店舗も見受けられたが、全国データ上では今後の存在感維持は難しい水準(7,000個水準)まで落ちてしまったと見る。同時期導入となったP北斗無双3と共に稼動の下げ幅が非常に大きい初動になっているP大海スペシャルであるが(初週から3週目までの両機の下げ幅:無双3=45%程度、大海=35%程度)、遊タイム機能を説明する掲示物を用意するなど長期設置への意欲を示している店舗が目立った

②全国データ上では12月中旬から下旬への移行期に30,000個→25,000個へと水準低下したPとある魔術の禁書目録だが、5台前後の設置であれば依然として良稼動の部類に属している。これにより、パチンコとして初出のコンテンツとしては唯一、営業再開以降の初動上位(導入1ヵ月以内ランキングTOP10)に食い込んだ格好になった(注:仮面ライダー轟音はライダー系に分類し、初出とは見なさない)。新規則ライトミドルタイプ機では上位にあるP戦国乙女暁の関ヶ原(22,000個水準)やライトタイプ上位を維持しているPAまどかマギカなどの近況も踏まえてみると、総じて若者認知が高いコンテンツ+遊タイム機能という組み合わせには”強み”があり、その理由の第一には朝一・午前中から稼動し易いという特徴があることが窺える

③4円パチンコに関して、新し目の機種(最近のいわゆる”派手枠”機種など)が少ない、中古価格が下がり切った機種の導入が多いなど、中古機の選定に難がある店舗が出て来ている。特に営業規模が小さい店舗の場合は、低価格自体をメリットと感じて数万円程度の中古機を中心に入れ続けると、これ以降の機械代遣り繰りに窮する可能性が極めて高い。その理由は、パフォーマンス低下した際に売却する訳だが、一旦数万円水準まで落ちたパチンコ機は十数万円水準まで上昇することはそれほど多くないからである。よって、先々まで考えるのであれば中古機は出回っている台数が多くないか相応のパフォーマンス評価により価格が10~20万円台で安定しているものを選択するべきであり、特に中小店舗の遣り繰りでは、この価格帯のものを上手く回すことで年度内(年間)での”差し引き機械代”の水準を下げることができる

④P大工の源さん超韋駄天について、低貸しの設置を増やしたり運用レベルをマメに変更するなど、全国での設置台数が増加した影響で運用に多様性が生じており、店側の意図を読んで立ち回る層にもそれ以外の一般ユーザーのどちらにとっても妙味があるという点で歓迎すべき状況になっている。ただし、回すために一般入賞口周りを過度にマイナス運用したり、寄りの零しを増やすなど、一見して曲げているのが分かる店舗が目立つ。これは設置台数規模が大きく長期設置を期待される機種の宿命だが、釘確認シート制度下においては釘の状態をいかに良く保つかが重要であり、ユーザーを敵に回すような見た目にすればそれだけ”通報リスク”が高まるということを認識すべきである

⑤データランプ判断で、直近数日間に亘って島・コーナー単位での低稼動が見て取れる店舗も多いが、その内容には違いがある。最新台中心に新規則機化を進めたものの運用レベルが悪いため島・コーナー単位で閑散とさせている店舗と、中古機メインでそうなっている店舗とでは、費用負担面でも今後取り得る営業施策面でも大きく異なって来ると予想される。要は、金をかけたのに空き台になっているのか、そこまで大きな金をかけずにそうなっているかの違いであり、特に中小店舗のスロットコーナーにおいては、吉宗やモンハン級の話題の新機種でも導入から1ヵ月程度経てば8,000枚水準の稼動まで落ちるのだから自店では新機種としては買わずとも良いという割り切りも必要な6号機ATタイプ事情であり、特定機種での”一発逆転”や”死中に活を求める”ことは不可能に近いということを改めて認識すべき状況である

⑥旧規則高射幸性メイン機の撤去により、ジャグラー系とユニバーサル系、或いは店舗により30Φハナハナ系の数機種(グレートキング、ホウオウ、プレミアム)などに代表される”王道系”ノーマル・RTタイプ機の動きが良化している店舗が目立ち、その一方でサラリーマン番長とゴッド凱旋の撤去以降に全国データ上で大きく支持率を上げている番長3の稼動状況においては、実際には店舗ごとに大差があるように見受けられる。また、本来であればノーマル・RTタイプ機コーナー全体を底上げしたいところだが、旧規則メイン機が姿を消す流れで他に粗利を作る場所が無いため、例えば同じ王道系でもパルサーなどは運用面で優遇されておらず稼動上昇の傾向は見てとれない。このような状況下では、おそらく専業層やグループ稼動層はどの営業日にどの機種に良設定が使用されるか高い精度で推測出来ていると推察する。その理由は、例えば凱旋の後に番長3で島構築するも普段は動きが悪い店舗の場合は、何かしらの告知を伴って営業した際にはここが底上げされると読み易いからであり、そういった意味ではホール側は完全に”足元を見られている”のが現状であると推察する

⑦設置期限切れが迫っている旧規則AT・ARTタイプ機に”撤去予定日”を明示することで機種寿命の末期における稼動促進を図っている店舗がスロット専門店を中心に多く見受けられる。これは設定状況やリセットの有無などに関係なくバラエティーコーナー内で良稼動しているように見え、全国データ上でも同様の傾向が見て取れる(例:10,000枚以上=ギルティクラウン、蒼穹のファフナー、ブラックラグーン2、コードギアスR2、聖闘士星矢海皇覚醒など)。旧世代のホール営業の鉄則は”撤去日を一切知らせず最後は抜きに行く”というものであるが、近年はユーザー自身が検定・認定期限を積極的に調べたり撤去が近い機種の運用状況を査定することで店側の営業姿勢を評価する際のひとつの基準にするようにもなって来ているため、常連客や商圏内の客層を見て、撤去が近づいた機種であっても敢えて良設定を使用するという店舗は今後も多く見受けられるものと見通す。また、その際の対象に選ばれやすいのは、まどかマギカなどに代表される、コンテンツ自体が根強いファンを抱えた拡散力が強い液晶搭載機になるものと推察する

自店商圏ならびに近隣商圏の視察から見てとったのは、ざっとこのようなものである。

本稿の後半では、上記の③について若干ではあるが補足する。

私の営業圏内には、今すぐにでも問題点に気付いて中古機選定を方向転換しないと再浮上するのが難しい状況に陥ると予想される小規模店舗が1つあり、特にパチンココーナーの機種構成がかなりマズいように見受けられる。

4円パチンココーナーを新規則機化するペース配分については、経過措置期間がスタートした時点での設置機種の顔ぶれや月々必要な粗利額などにより変わってくるので詳述はしないが、一般に小規模店舗は市場データを参照しつつ割高でもユーザーが支持しパフォーマンスが良好な中古パチンコ機や話題の新機種を随時導入するというような入替は出来ず自店都合の機種選定になりがちで、規則改正による経過措置や検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の撤去問題など大きな”時代の変わり目”には営業数字を崩す。

これは社会的不適合機の撤去にあたり連チャン性能が高い機種を失った小規模パチンコ専門店の末路や、旧MAXタイプ機で稼動を作っていた店舗の凋落を眺めていた者であれば何となくイメージ出来ることと思う。

営業規模が大きい店舗であれば、店の代名詞的な存在の旧規則機に営業数字の多くを依存していた期間が長くても、それに代わり得る、下げ幅を最少にし得る機種を適正に選定して、或いは登場して来た機種をそつなく導入する中で良パフォーマンスを維持する機種に”出会う”ことが出来て、それなりに新時代へと移行することが出来る。

しかしその一方で、例えば1990年代後半期にいわゆる”社会的不適合機”に指定された機種で第二種(いわゆる”羽根物”などの役物抽選機)と第三種(いわゆる”権利物”)に分類される機種で多くの固定客を持っていた店舗で、デジパチの新機種販売サイクル上昇とデジパチのメイン機(その後の時代背景的に”メイン機に成長した”とも言える)の多台数導入という時勢の動きについて行けなかった店舗が一時的にせよ集客面で後塵を拝したことを思い返すと、やはり”投資すべきもの”をしっかりと見定めて買うべきものは買っておかないと、特に経営・運営規模が小さいホール企業や店舗は年間に1つ2つの大きなミスや機会損失を犯したり不可抗力的な外的要因に揺さぶられた際には、存続することすらも困難な状況に陥り得る。

規則改正とコロナ禍は、これらの危険を招く環境条件を満たしており、今回話題にしている中古機運用について長期設置に耐えられずまともな売却値が見込めないような機種構成でずっと同じ考え方で買い物を続けてしまうと、早晩に機械代の工面で苦労することは明白である。

そのような理由で、③で述べたように適当な価格帯にある機種の方が、価格が下がり切った中古機よりも、営業数字上(売上・稼動・粗利)のパフォーマンス維持ならびに将来的な売却値を原資とした”遣り繰り”を考慮した際の総合的な価値において勝る公算が大きいと見る。

参考までに、パチンココーナーにおける新規則機化のペースに関しては、改正規則施行(2018年2月1日)に係る当初の経過措置期限であった2021年1月末時点での新規則機設置比率を推測すると、おそらく60%程度になるものと見通す。

その根拠としては、設置比率の推移は2019年5月末に16%、10月末に32%で、2020年4月末には40%、7月末には48%という流れになっており、ここに新たにメイン機として名乗りを上げたP大工の源さん超韋駄天の増販分や販売機種数が多かった2020年12月と2021年1月の導入分、また70,000台規模で導入されたP大海スペシャルが加わることで最低でも10%程度の上昇幅は見て良いだろうと推測出来るからである。

現時点では、CR慶次漆黒、CR北斗無双、CR大海物語4MTB、CR海物語IN沖縄などに代表される10,000台を超える規模で設置されている主要な旧規則機だけで旧規則パチンコ機全体の50%以上の比率を占めており(推計60万台規模)認定機としての撤去期限まではまだ日がある。

しかし、認定取得していない台も全国のホールには非常に多く残存していると考えられるため、これらが2021年1月末をまず最初の通過地点として漸次撤去され、そのスペースに新機種・中古機が入り混じって新規則機の出入りが活性化することを考慮すると、初販から2~3ヵ月程度の準新台級の機種も中古市場には今後どんどん出回るようになると推察される。

そのような流れにあって、単にパフォーマンス低下した台を撤去するためという云わば対処療法的な入替に終始して良いのか。またその入替要員にはなるべく安いものを選びさえすれば良いのか。

現在進行中のパチンココーナー運営手法で常在客数の維持も機械代の遣り繰りもどちらも上手くいっていない店舗であれば、その成果が出ていない施策を継続することで、従来であればエリア内での存在感を下げるだけであったが、目下の状況では存在感どころか店舗の存続自体も危ぶまれる事態に陥る可能性が高いと見通す。

前述したかなりマズい状況に見える小規模店は、まさにこの廃業一直線のレール上にあるように思われた。



矢野経済研究所調べでは、前年末時点で営業中であった店舗に対して2017年以降は毎年約6%程度の比率で閉店が発生しているが、延長されたとはいえ規則改正に係る経過措置内での入替の”後半戦”に入っていることとコロナ禍を織り込めば、企業経営・店舗運営体力を大きく削られた店舗が増えており従来の6%程度の閉店率では到底収まらないだろうことが予想される。

重ね重ねになるが、いま成果が出ていない取り組みを継続するのか、どこかで転換するのか、特に小規模店の運営においては最重要課題であると述べて、本稿を締めさせていただく。

楽太郎

Posted by 楽太郎