常連客が付いている機種・島・コーナーで「抜く」という愚策

12月に入り既に1週間が経過した。全国の都市部を中心に陽性者数が増加傾向を見せ、それにより11月初旬にかけて昨年同月比で80%前後の稼動を得ていたホール営業の状況はパチンコスロット両コーナー共に11月第3週以降70%中盤から前半の水準まで低下し、今冬はやはり報道機関が発表するコロナの近況が営業数字に大きな影響を与えるだろうことが改めて予見されている。

これに対してぱちんこ業界側としては直接的な打開策は無く、仮にどのような注目機が登場しても現時点でコロナを気にせず来店してくれている客層がエリア内・店内で移動するだけであり、新機種が導入されることでいわゆる”準新台”の稼動低下が早まりそれが繰り返されるだけなのではないかという懸念も持ち上がって来ている。つまり完全に稼動の漸次回復の傾向は滞り、冬季賞与~年末年始商戦にある程度の期待をするどころか再び如何にして売上の水準や店内滞在客数を純増させるか頭を悩ませるような状況に戻ってしまっていると言える。

私としても自社のホール事業の数字を大雑把に見た際に、4円パチンコでは導入から2ヵ月程度経ち現在10,000個から13,000個水準の稼動になっている機種を、20円スロットでは5,500枚から6,000枚水準の稼動になっているような機種を如何にして延命させられるかが春先に掛けてのひとつの課題になると感じており、運用レベルを下げて機種寿命を削るよりは”ユーザー寄り”の営業を意識して、当座の金を拾いに行くのではなく少しだけ先を見て我慢の冬を過ごすことを覚悟している次第である。

このような文面の裏に隠れている本意が「ユーザーの懐具合が一時的にせよ温まるこの時期に、出来ることなら、より多くの粗利が欲しい」ということであるのは読者各位が察する通りであるが、多くの店舗のパチンココーナーを見ての通り今そのような近視眼的な営業に終始し当座の金を拾いに行ったのでは、しゃがんだまま転んで起き上がるのが難しい状態になってしまうのではという恐怖感の方が大きい。

パチンココーナー運営における常識として、日当たり売上金額の水準がある程度の水準を下回ると割数の上下動が大きくなる、というものがある。これはユーザー側の読者にも分かり易い言い方をすると、ほんの数台の大連チャンが全体粗利を食い、日によってはパチンココーナーが薄利になったり粗利がマイナスになってしまう場合もあるような状況を指す。そして、そのような不安的な状況が怖くなり当座の対処として運用レベルを下げてしまうと、更に日当たり売上金額の水準が下がり、それまでは20,000個・30,000個などの比較的大きめの差玉数の発生にビクついていたのが、今度はたった10,000個程度の差玉数の頻発或いは初当たりの軽さによってすらも当日粗利が食われるという致命的な状況に陥ってしまう。ここまで来ると、数字の面でも店舗管理責任者の精神衛生面でも、まともなコーナー運営が出来るような状態まで戻すのに、より一層の労力や期間或いは機械代やリニューアル費用を要することとなってしまう。

そんな酷い店舗はなかなかないだろうと思われるだろうが、本日社用で西武新宿沿線の某所に出掛けた際に立ち寄ったパチンコ200台・スロット100台ほどの店舗はまさにそのような状況だと拝察した。昼過ぎであるにも関わらず、パチンココーナーには10名ほどしか居らず、スロットコーナーでは約2時間ほど私1人しか居なかった。釘の状態も全体的に見させていただいたが、おそらくは唯一常連客が居付いていたところからも抜いたのだろうなと思われるような運用レベルであり、それは海島であった。

12月から2月にかけては見通していたよりも多くの新機種がリリースされ、そのセールスに際してホールの機種売買責任者クラスの者はメーカー側に対して、この厳しい局面で”ホール寄り”の日程や価格設定・値引き条件での販売が何故出来ないのかと苦言を呈すること度々だが、翻ってみればユーザー側はぱちんこ業界は遊技空間の安心・安全への取り組みはしっかりと実施しアピールするものの肝心要である遊技に関しては何故まともな機種運用が出来ないのかというホールに対する不満を募らせている。これに応えるためには、現時点で常連客が付いている機種・島・コーナーに関してはマイナス運用は避けるのが得策であると推察し、それが出来ない店舗はまとまった客数を”流出させる”と見ている。

何故”失う”のではなく”流出させる”と表現したかについては、ホール営業の厳しい局面では往々にして”逆張り”の一手を選択する店舗がエリア内にひとつふたつは出て来るのが常だからだ。あとは、それがどの機種・島・コーナーになるかがポイントであるが、4円パチンココーナー全体の運用レベルを上げて臨むということまでは出来ない。では、商圏全体や競合店の状況を見た際に、自店でプラス運用する或いは懐具合がいかに厳しくても運用レベルを下げずに一定期間我慢するのを、どの機種・島・コーナーに設定するか見定めることになるが、私見ではこの12月初旬から春先にかけてエリア内ユーザーの移動が発生する中心地は”海”になるものと見通す。前述した通り本日出先で訪問した店舗がまさにそのような状況であったが、いかに営業数字が悪かろうが我慢しなければならない”勘所”というものはあり、それを失った店舗の典型例のように見えたため本稿をしたためる切っ掛けにした次第である。

現在設置中の海系機種で良稼動水準(本稿では8,000個とする)を維持している機種は、ミドルタイプではCR大海4MTB、CR海3R1、CR大海スペシャルMTE15、CR沖縄4(MTC、STB、MTBZ)、CR海JAPAN(MTD、STA、MCD)、P海JAPAN2金富士が挙げられ、ライトミドルタイプではCR大海ブラック、CR沖縄4SCA、CR大海4WCB、P海JAPAN2金富士、CR海JAPAN SCAとなり、ライトタイプではPAドラム海JAPAN RBB、CRA大海3SAP、CRA海3R、CRA大海スペシャルSAP13、CR大海4SBC、CRA沖縄4SBB、CRAドラム海SBB、CRA海JAPAN SC、PA海3R2という面々になっている。

ここに今週からP大海4スペシャルが加わり、一見するとホール側は10月5日に導入した金富士2と合わせて新規則ミドルタイプの新たな海を2つ手に入れており、また5月以降はPA地中海、PA海JAPAN2太鼓の達人などのライトタイプを導入し更にこの先はアグネスや甘沖海などのリリースも控えていることから、海島・コーナーを中心に常連客をしっかりとホールドしに行くための体勢が整っているかのように見える。

しかし、パチンコスロット併設店舗では頭が痛い問題としてスロットコーナー営業数字(売上・稼動・粗利)の急落が挙げられ、この当座の補填としてパチンコの機種運用レベルが割を食う構図になるということは業界内で盛んに語られているところであり、この先そうなる可能性がより一層高まっているというのも事実である。それだけスロットコーナーの営業数字の水準低下はダメージが大きく、またコロナ第三波に際してエリア内の常在・平時流入客数の水準は低下しており、いま比較的容易に出来ることとしてパチンコの機種運用レベルを下げる選択肢をとる店舗はこれ以降増えて行くものと見通す。

このような状況下での自社店舗の営業施策として、エリア内には常に海系機種の遊技意欲が高い層が日々の客数データで導き出される所定の割合だけ確かに存在し、この客層が普段遊技している店舗では贔屓の海系機種を打てなくなりエリアを”放浪”することになる可能性があり、この層の受け皿として自社店舗の海島が機能するように備えるつもりである。

目下、新機種の動向としてはホール側が運用管理しやすいような造り、つまり低ベース且つ釘確認シートの範囲内でゲージコントロールし易い機種が続々と登場していることから玉単価が上昇する流れにあり、他方前述したように20円スロットの収益性低下が足枷となり玉粗利が上昇し、結果的には4円パチンコ利益率の上昇がより顕著に数字に出て来ることになるだろう。

これを、仕方ない、抗い難い流れであるとするか。それとも、その流れの真っ只中で敢えて踏ん張って我慢して、少しだけ先を見据えて”逆張り”の一手を選択出来るか。これによって、来期のスタートとなる4月時期のパチンココーナー状況が決まるものと見通していると述べて本稿を締めさせていただく。

楽太郎

Posted by 楽太郎