冬季賞与~年末年始商戦に向けての雑感

ホール関係者の中でも遊技機購入・売却に携わる立場の者はちょうど手持ち機種の検定・認定期限と新規則機化のペースも勘案しつつ冬季賞与~年末年始商戦を見据えた遊技機の選定を行い、通例では今は一旦下がるものの年末にかけては上昇する傾向がある中古機市場の値動きを睨んでいかに効率が良い購入と売却ができるか詰めている最中であり、ちらほらと情報が出て来ている新年初回にあたる入替、これは多くの都道府県で1月11日(月祝)納品・12(火)での新装開店という日程になるだろうが、そこで出て来る新機種の選定にあたっている。

つまり一般のホール社員或いはユーザーよりも2カ月半から3カ月ほど先のことを考えるのが常なのだが、目下そういった見通しに関する懸念事項はどれも実に悩ましいものばかりである。本稿では、その懸念事項について、特に私のような中小法人・店舗の役職者目線で4点挙げつつ雑感として述べて行きたい。

まず第一に、12月中旬に初販となる新規則第一弾ジャグラーについて。

北電子は、来年春先にかけて追加販売分をどの程度のスピード感でどれだけの数量を用意できるのか、適合済みのもうひとつの型式と2021年内に販売予定の更にもう1つの型式がどの時期にどの程度の台数規模で出て来るのか、それら新規則ジャグラーに既存のジャグラー客を定着させるための効果的な設定配分や営業施策はどのようなものか。これらのことは、長らく10タイトル前後且つ35万台前後という設置規模を誇って来た同タイトル機ということもあり、スロットコーナー運営においては非常に重要な意味を持っている。

まずは同社の在り方や販売方法について。これは概して先方都合になりやすく条件も厳しいため販売施策自体に対してホール関係者は辛辣な評価をしがちだが、大方の意見としてはコロナ禍を考慮してもノーマルタイプ機トップシェアを誇るメーカーの生産力や販売方針とは思えないほどに御粗末なことをやっているのが同社であると言える。

このことから、5号機時代を通じての営業実績としてジャグラーは必要ではあるが来る6号機時代はそれに依存しないスロットコーナー運営をしたいとも考えるが、新規則下で雁字搦めとなったATタイプ機と実質的に消滅してしまったARTタイプ機のことを考えれば、肝心の代替策が無いというのが悩ましいところである。

日々の運用面に関しては既存のノーマル・RTタイプ機との兼ね合いもあるため「こうなる」と断言まではできないが、ひとつ言えるのは綿密にシミュレートし営業計画を練って自社・自店にとって最適な基本設定を弾き出したとしても、実際にその段階設定で長期運用し続け成果を出すことが可能なのは元々強い営業力を有しているごく一部の店舗に限られるだろうということである。

この理由は、1BIGで300枚以上取れる5号機が残存している以上、いかにジャグラーと言えども高稼動どころか良稼動させることすらも極めて難しいからである。およそ半年後を見据えた際には必要機であることは間違いないものの、おそらくは第一弾ジャグラーの初動は”ジャグラーというタイトル機としては期待外れな”数値となり多くの業界人の先行きの危機感を助長する。

いかに今後稼動を付けて行かなくてはならない機種・コーナーであっても、実績が伴わない機種を可愛がり続けることは不可能であるため、結果的には第一弾ジャグラーは、ちょうど今バーサスやハナビ等の存在によりドン2やサンダーVライトニングが支持されていないのと同様の状況となる。つまり、導入当初には旧規則ジャグラーよりもひとつふたつ上の段階設定で張り切った運用がなされていたとしてもその水準を維持することはすぐに困難になるだろうと見通す。

これらのことから、ユーザー目線で見れば、狙い目となるのは期待外れの全国データが既に出揃っている年明け以降の導入店舗ではなく、「初販となる12月中旬に最速導入」しており尚且つ「沖ドキなど他に粗利貢献する機種をより多く抱えている」「エリア上位店舗」という条件を満たす店舗で遊技するのが”安牌”となるだろう。

長期運用の定めにある機種だから基本となる設定ベースをより高く維持して同タイトル機の贔屓客層をしっかりとホールドする、というのは理想ではあるが、ホール側は11月から年始にかけてゴッド凱旋や沖ドキをはじめとした”稼ぎ頭”を多く失い、これは新規則第一弾ジャグラーの運用だけでなく本来コーナー単体で見れば今後ファン人口回復すらも見込めるパチンココーナーの運用レベルにすらも大きな影を落とすことは間違いないと見る。

第二に、新規則第一弾ハナハナとユニバーサル系ノーマル・RTタイプ機、或いはパルサーについて。

直近でいよいよ情報が解禁された新規則ハナハナの初販台数が本当に5,000台しかないなら、追加販売分は前述したジャグラーと同様にその後どのように追加供給されるのかが30Φコーナーを持っている店舗にとって大きく影響して来る訳だが、これもジャグラーと同様に中小にとっては”新機種販売や早い時期での増販の時点で買っておかないと中古では値が張ってしまい手が出しにくいタイトル機”であり、どうしても早い段階で買っておきたいという心理が働くためジャグラーとハナハナの動向に関しては神経質になっていると言える。

運用面に関しては、同じノーマルタイプ機であってもハナハナとジャグラーとでは年齢層やコーナー内での良設定狙いの雰囲気は異なり、ハナハナの方が客層がより若く設定を意識した遊技となる傾向があるため、粗利を削ってでも新規則機に稼動をつけるのだという店側の運用意欲が日頃から見える程でないと旧規則機との併用期間は目も当てられない状況に陥ってしまう可能性すらあると見る。

個人的には、パイオニアには、同社が主戦場としている30Φ市場の底流として未だに在る”裏モノ文化”を汲んだノーマル・ライクなタイプ機(つまりは”即連機能を有したAT仕様の疑似ボーナスタイプ機”ということになる)を25Φ仕様で造って、1タイトルでも良いので長期設置させることで成功例を作って欲しいと思っている。そうすることで獲得枚数の低減に失望したノーマル・RTタイプ機ユーザーの避難先となったり、なによりもハナハナというタイトル機がパワーダウンした際の同社のもうひとつの武器にもなろうかと思う。そういった意味では真新しい顔で出て来るS華祭の取り組みは好印象であり、この流れでAT仕様の疑似ボーナスタイプ機を継続的に出して”一発当てて”いただきたいと願っている。

また、ユニバーサルと山佐の動向について。全国のホールにおいて主にノーマル・RTタイプ機コーナーに設置されており2,000台以上のものをカウントすれば、それぞれ7タイトル・7万台前後、4タイトル・3万台前後(特殊仕様のリノを含む)という規模であり、同コーナー構成を考えた際には重要な役割を担っているため具体的には特にハナビとパルサーに代表されるオールドタイトルの新規則機には注目が集まることとなる。それゆえに妥協した適当なスペックでは出せないのが両社の悩みの種な訳だが、特に前者の場合はホールによってはジャグラーと同規模の台数且つ多機種構成にてコーナー形成されているため、アクロスブランド機への需要度合いは2021年を通じて常に高いものになると考えて良い。また後者についても、再三発信している通り特にパルサーSPⅡは完成度が高いスペックと演出仕様で仕上がった機種であり、これをベースにした新規則パルサーが出せるのであればATタイプ機の不調という事情も手伝ってホール側には5号機時代以上のパルサー需要が生じるものと見通す。

付言として、遊技機の規格上の細かい知識が無い一般ユーザーにとっては”ボーナス+RTライク”な遊技・出玉感覚のタイプ機と言えるディスクアップについて。これは、スペックなどの詳細情報は現時点では手元に無いが、おそらくは現時点で3万台前後で設置されている旧規則機の打感を可能な限り維持した型式で市場に投入されるため、演出面での新鮮味・面白味を付与できれば、仮に来年の前半期に販売されて新旧の併設期間が比較的長めになったとしても、さほど遜色がないパフォーマンスになると見通している。もちろんこれはホール側にとって適当に利益が残るような性能でなければならず、5号機時代のように”稼動を金で買う”ような性能では同規模の設置台数にはならないだろう。今のホールには旧ディスクアップを維持していたようなスロットコーナー運営力(すなわち粗利)は無いからである。

第三に、”手堅い粗利が見込める機種”としてのゴッド凱旋と初代沖ドキを失って以降のスロットコーナー粗利をいかにして構築するのか。

両機にはスロットコーナー粗利の1~2割を依存している店舗が多いと推察するが、その”補填”をどうするのかは喫緊の問題である。2012年から13年にかけて、よりイメージし易いように当時の主要な機種名をいくつか挙げればバジリスクⅡ、ゴッド系譜ゼウス、緑ドンオーロラ、北斗転生、化物語、秘宝伝太陽を求める者達、バイオハザード5、戦国乙女剣聖、鉄拳2nd.といった面々が活躍していた頃から今に至る8年ほどは4円パチンココーナーよりも20円スロットコーナーの方が高い水準の粗利を稼いでホール運営に貢献していたが、この構図はおそらく2020年10月から12月にかけて完全に崩れることとなり、スロット開発上の解釈基準・内規が劇的に変更されない限りは数年単位で4円パチンココーナーの粗利貢献度がより勝るという時代に戻ると推察する。

”戻る”という表現をしたことについては、初代慶次が登場した2007年以降パチンココーナーではいわゆる旧MAXタイプ機が漸次存在感を増して行くその一方で、スロットコーナーでは4号機から5号機時代へと顔ぶれが変貌する時期にあたるため、粗利の割合については細かい営業数字を把握していないユーザーの立場でも何となくホール側の懐具合の推移が想像できるかと思う。

だがここで、ユーザー側からはこのような疑問も出て来るのではなかろうか。「ホールはスロットコーナーの貸出枚数削り(例:1,000円50枚貸し→46枚貸し)によってかなりの”節約”を行っているではないか」と。これについては表面上は正しいが、実際には高ベース機や低コイン単価機種の設置割合が高まり、また売り上げる力も粗利を残す力も別格な主要高射幸性機が姿を消して行く流れで完全に相殺されてしまっているのに加えて、高射幸性機のようなリターン期待値が高いタイプ機ではなくノーマル・RTタイプ機を好んで遊技する客層にとっては1枚の価値がより高く感じられることもあり、貸出枚数減により投資ペースが速まることで遊技意欲減に繋がり得る。これに更にコロナ禍というマイナス要因が作用したことで売上・稼動水準が低下したため、ユーザーが思っている程はホール側にはまともな粗利が残っていない、というのが実情と言える。

このようなこともあり、早ければ今月中に、遅くとも全国でゴッド凱旋と沖ドキが撤去される11月から来年の1月にかけて、パチンココーナーの方により多くの負荷が掛かることとなり、それは運用レベルの低下として現出するものと見通す。それはパチンココーナー単体で見ればユーザーにとって打ち気をそそる機種が続々と登場し何なら前述した通りパチンコファン人口増すらも可能な流れにブレーキをかけるばかりかスロットコーナーから避難・離脱した特に若年層を受け止める障害ともなり、ホール全体として見た時に大幅な客数減を招く可能性も高まるだろう。

第四として最後に、向こう数カ月の時期的な懸念材料を挙げて締めたい。

営業上の悩み事は法人・店舗ごとに様々な訳だが、今の時期に、より多くの法人・店舗で共通することとして事業資金の目減りが挙げられ、俗な言い方をすれば「赤字」経営・運営の状態に陥っているところがかなり多いものと推察する。

もちろん、支出面で多くの割合を占める遊技機購入費用について、新規則機化のペースがまずまずであり先々の見通しとしてはそこまで悪く無かったり、転売という施策も含めた売却が上手いところであれば、営業益のロス分のいくらかを売却値で補填する目処が立っており、いかに想定外のコロナ禍と言えども致命的なダメージにはならない場合もあるだろう。

しかしやはり手痛いダメージであったことは事実であり、そのため今後のいわゆる冬季賞与~年末年始商戦では少しでも多く粗利を作ってなるべくまともな財務状態で決算を迎えたいと考えるところがほとんどと言える。

このような状況で、ホール事業を預かる事業部長や私のような営業部長クラスの考え方としては、旅客業や飲食業をはじめとする他業種の大手企業の賞与減・カットや月給ベースダウンなどの相次いでの報道に触れて自社の経営者が同様の措置を講じることを正当化するのではないかと憂慮している。生活レベルの維持と将来設計に影を落とす給与・待遇減という措置は社員の士気に直接的に関わって来るため、これに手を付けさせることはしたくない。そのために例年であれば増客・売上増が見込める冬季賞与~年末年始商戦ではなるべく多くの粗利を得たいと考えるのは道理である。

しかし、ここで大きな心配材料が頭をもたげる。これから迎える冬季のコロナは初めてのことであり、外気温低下ならびに乾燥等という条件下でどのような感染状況と陽性者数となって立ち現れて来るのか読めないという点と、イベントシーズンを迎えるにあたり政府・自治体としてはどの程度警戒感を強めるのか読めないからである。

例えば渋谷区は、若年層にとっては恒例のお祭り事として定着したハロウィンに先立って「渋谷(駅前)には来ないで」「バーチャルで楽しんで」という主旨で区長がメッセージを出している最中である。そしてこの先も、政府としてか自治体としてかは分からないが、クリスマス、年末年始休暇中の帰省、歳末買い出し、年末の宮参り、初詣で、新年初売りの催し、成人式などといった多くの人が集まる行事への参加や外出自体をなるべく控えるようにと要請する”口先介入”を行うことが予想される。この時期の行事は若者も年配層も行動機会が多くなるため家庭内感染が一気に拡大する可能性も秘めていることから、政府・自治体としては警戒感を強めているとも報じられている。

こういった事情もあり政府は10月23日に分科会を開き、年末年始の帰省や旅行を分散させる目的でカレンダー上であれば1月4日が”仕事始め”となるところを11日まで休暇を延長するように企業側に要請することとなった。特に派遣・アルバイトなどの非正規雇用層にとっては連休期間の延長という状況は必ずしも歓迎できず、直近の懐具合が悪化することにより我々余暇・娯楽産業にあたる業種店舗には足が向かなくなる可能性が高まる。

これに正社員層の冬季賞与事情も加味してみれば「遊ぶ金など無い」という者が例年よりも多くなり、それはホール営業にとって”冬季賞与~年末年始商戦の消滅”という最悪のかたちで影響を受ける可能性もあると思われる。

振り返ってみれば、緊急事態宣言に係る外出・営業自粛ムードの影響がダイレクトに反映されている4~6月期のGDPは年率で換算するとマイナス27.8%という集計以来過去最大の下げ幅として記録されている。政府はこの致命的な数値を考慮して東京をはじめ都市部で”第二波”の可能性を目も当たりにしても二度目の緊急事態宣言を発することはなく、要は再び社会経済活動を制限するということはできなかった。そればかりか、いかに反対世論が高まってもGO TOキャンペーンを実施した背景には、特にダメージが大きく従来多くのエリアで地方経済を下支えしている観光・飲食・旅客業などを支援する目的があったことは明らかである。

産業へのダメージという観点では、我々余暇・娯楽産業はもちろん上記以外の業種、ここでは何でも構わないが例えば服飾産業も同じことである。我々に関しては”風俗”に関することであり国費を投じて万全のケアをするということが難しいのは事実であるためこれより先は自分たちでどうにかするより他ないというのが現状と言える。また後者に関しても、百貨店や総合スーパー、ショッピングセンターを主な販路としている大手アパレル5社の売り場からの撤退は合計で3,000店舗を超えるなど非常に厳しい状況にあり、こういった業種に従事している方々の中にもパチンコスロットファンが居るだろうことを考えれば、例年であればこれからの時期、冬季賞与を資金としてホールに足を運び遊技に興じていた人でも、今年はさすがにそんな余裕は無いという場面も増えるだろう。

長々と述べて来たが、いち中小ホール企業の役職者としては上記のようなことを懸念事項としており、できることなら悪い予想は外れて、より良い11月、12月、そして新年を迎えられればと願う次第である。

楽太郎

Posted by 楽太郎