【10月の注目点】ゴッド凱旋と初代沖ドキの設置期限遵守について、ユニバーサルが書面通知するか否か
表題の件、まずはミリオンゴッド凱旋と沖ドキの設置状況を見てみることにする。
これには精度と更新頻度の高さで業界内で重宝されている山佐の『ALL in ONE』を参照する。
6/29 | 7/27 | 8/31 | 9/14時点 | |
ゴッド凱旋 | 63,390 | 63,610 | 64,391 | 64,447台 |
沖ドキ30 | 36,857 | 36,831 | 36,717 | 36,857台 |
沖ドキ25 | 12,494 | 12,523 | 12,805 | 12,880台 |
次に、設置期限について見ていく。
沖ドキについては既に、当初2020年12月31日が設置期限だったものが9月17日のホール関係5団体協議の結果発出された、旧規則機の取扱いに関する21世紀会決議における「年内撤去対象遊技機」の一部の遊技機の撤去期限延長について、と題する書面通知により2021年1月11日までに期限日が改められたため詳述はしない。
ゴッド凱旋の設置期限について、これには幅広い情報網を駆使して高度な業界分析を施すことで定評があるフィールズ作成の資料を参照する。
なお、この期限日は、各都道府県公安委員会による検定公示日を元に検定期限ぎりぎりで認定(=向こう3年間の継続設置許可)を受けたとした場合に算出された期限日であることを申し添えて置く。
都道府県 | |
11/4 | 石川 |
11/5 | 山口 |
11/6 | 新潟、福井、大阪 |
11/9 | 福島、岡山、広島、沖縄 |
11/10 | 岩手、秋田、神奈川、静岡、兵庫、福岡、宮崎 |
11/11 | 群馬、千葉、岐阜、滋賀、鳥取 |
11/12 | 宮城、山形、栃木、長野、愛知、三重、佐賀 |
11/13 | 北海道、埼玉、島根、香川、愛媛、長崎 |
11/16 | 茨城、東京、和歌山、熊本 |
11/17 | 高知、大分、鹿児島 |
11/18 | 青森、徳島 |
11/19 | 山梨 |
11/20 | 富山 |
11/24 | 奈良 |
11/27 | 京都 |
これでゴッド凱旋と沖ドキの現況と撤去期限の把握はできた。
次に、当のユニバーサルの状況について見ていく。
これには、何よりも”岡田体制から富士本体制への変化”という文脈で語る必要があり、つまりは経営者が変わった2017年7月以降は特にホール関係者にとって同社は”これまでとは別の会社”になっていると言え、以下でその端的な事例を3つ挙げて説明する。
①販売・顧客管理における考え方の変化
購入希望台数が少ない小規模店であっても、同社販売課(営業所と換言しても良い)との付き合い方によっては主要タイトル機を必要台数且つ最速で導入できるような環境が整備された。
業界内で一時期まことしやかに言われた”ポイント制”についてだが、いわゆる”機歴”が名を変えてよりタチが悪いものになったという指摘は、実は全く当たらない。
何故かと言えば、販売本部としては各法人・店舗ごとにここは何ポイント持っているなどと細かく購入実績を管理している訳ではないからである。
本部ではメインタイトル機の販売に際し、推進課が相手をする上位法人と営業所が相手をする中小法人の両者に対して限られた製造台数をどのように配分するか決める訳だが、旧時代のように同社と強力なコネクションを持つ一部ホールからの膨大な台数の要求に対して過剰な割り振りを行うということは、今では有り得ない。
つまりは大手は大手同士でそれぞれの購入実績に応じて台数の割り振りを受ける、言い方を変えれば大手同士で取り合う格好で、他方中小は中小同士で取り合うことになりここで立ち回りが上手い法人・店舗であれば仮に小規模店であっても例えばSまどかマギカ叛逆、Sドンちゃん2、Sバジリスク絆2などといったメインタイトル機が、欲しい台数だけ最速で導入できるようになった、ということである。
この考え方の根幹には、今後は販売本部が営業所(営業マン)と顧客法人・店舗との関係性に無理矢理介入するような旧時代的なことはしない、という考え方があると推察する。
実際、私が把握している限りだが、営業所・営業マンの意向を無視して本部が購入希望案件を取り纏めて一元的に台数割り振りを実施したのは、岡田体制下であった2016年9月販売のメインタイトル機であるまどかマギカ2が最後であり、その後は一度も実施されていない。
②メーカー団体への配慮と加入
2019年9月、同社は型式試験に適合していたSトロピカーナのお蔵入りを決めた。
同型式は複数の内部モード移行により一撃性が高いスランプを創り出す仕様であったとされ、これをメーカー団体である日電協が問題視したことに配慮して販売には至らなかった。
適当にキャリアがある業界人の多くは、当時この事情に触れて非常に驚いたことと思う。何故かと言えば、このような配慮は岡田体制下ではまずあり得ず、販売が見込めるものなら半ば強引にでも売るというのが定石だったからである。
その後は周知の通り2020年2月28日にユニバーサルブロスとアクロスが、4月30日にはエレコが賛助会員として日電協に加入し今に至っている。これは副次的に、営業状況に応じてタイムリーに同社中古機を導入できるようになったという点で特に中小ホールへの恩恵があり歓迎される出来事ともなった。
③ハーデス冥王召喚のアップグレードを契約書面に明記
2018年12月、5.9号機であるハーデス冥王召喚が全国のホールに導入された。
これはメインタイトル機であるにも関わらず一切のセールスプロモーションが成されないまま11月中旬からアナウンスが始まり、ホール側にとっては既に確定していた12月の遊技機購入計画に突如割って入って来た新機種であるものの実質的にセールスから一両日中に導入するか否かまたその台数の決断を強いられるようなものだったため、ホール関係者にとっては同社の旧時代的な在り方が想起され警戒心が強まった事案であった。
これには、同機は12月決算である同社が当期数字作りの最終手段として送り出す最後の一手であり、株主を意識した際にはどうしても売っておかなくてはならないものだった、という背景がある。
この状況で即決で購入判断ができたのは大体は適当な規模を誇る法人であり、中小では前述した通り既に確定している12月機械代を更に工面したり上乗せして買うほどの判断ができず見送りしたところも多かったことと思う。反対に、この購入にはメリットがあるとみて例外的に即決で買う判断ができた中小法人・店舗は、社内稟議などの面倒な手続き不要で遊技機の購入判断が可能な営業部長・店長が居るところだけだったかと推察する。
ここで、同機の契約時には同社の旧時代を知る業界人であればまず驚くようなオプションが付いていた。それは6号機ハーデスへの引換券と言える”ソフトウェアアップグレード権利”であり、これは売買契約書にも明記されていた。
旧時代であればおそらくは、無償アップグレード権利を契約事項にするという発想自体が無く、当期で厳しいノルマ達成率だった営業マンであれば解雇されたり管理職クラスであっても一般営業職に降格させられたりといった具合いに、かなり厳しい社内状況にもなり得たかと思うが、思わしい決算でなくとも営業マンを切るということはしないまま今に至っていることを考慮すると、やはりこれは経営側の考え方の変化が如実に表れている出来事だったと言えるかと思う。
他にも何点か挙げることも可能だが、ごく端的に「ユニバーサル社は経営陣が変わったことによって新生した」と言えるような例は、上記の通りである。
これを踏まえて、表題の通り10月の注目点として、ゴッド凱旋と初代沖ドキの設置期限遵守についてユニバーサルが書面通知するか否かについて見ていく。
まず、日電協の他組合員の直近動向を見ると、スロットブランドであるオリンピアが加盟している平和が8月26日に公式HP上で業界団体間で自主的に申し合わせた21世紀会決議事項の遵守を推進していく方針であるとし、仮にこの”業界ルール”を遵守しない取引先に対しては同社としては以後の取引内容について「検討させて頂く場合があります」と明記し、希望通りの新機種案件に応じられない可能性もあることを示唆している。
その翌日にあたる8月27日には、山佐がホール関係者に向け『パチンコ・パチスロ産業 21 世紀会決議内容の遵守のお願い』と題する書面を公表し、同社では決議内容に全面的に賛同しており旧規則機の計画的な撤去に向けて”業界ルール”の徹底遵守を推進していくこと、また仮に決議内容およびこの”業界ルール”を遵守しない取引先があった場合には取引内容の精査を行った上で「従来と異なるご対応をさせて頂く可能性がございます」と平和同様の含みを持たせた。
更にその翌日の8月28日、パイオニアでも公式HPにてホール関係者に向けて計画的な旧規則機の撤去を推進する21世紀会決議の遵守を呼び掛ける旨の通知を行い、やはり前述した2社同様に”業界ルール”を守らない取引先に対しては「お取引内容を検討させていただく場合がございます」としている。
この流れや内容を見るに、ホール向けの通知文は日電協内において直近で申し合わせたり理事会の場にて議決した内容が元になっていることが分かる。
つまりこれは今後大量の旧規則メインタイトル機の撤去問題を抱えていて日電協内でもその対応が注視されているユニバーサルにとっても強く意識しなければならないものであり、前述して来た通りここ3年で社内体制が大きく変わり日電協の意向にも沿うような動向を見せている同社もまた、冒頭で紹介した設置台数規模と撤去日程を考慮すればおそらくは10月初旬から中旬にかけて公式HP或いは書面にて”業界ルール”を守らないホールとの今後の付き合い方を検討する旨の意思表示をするものと見通す。
そしてこれは、同社のスロット市場における設置シェアを考えた際に、廃業予備軍である店舗以外には設置期限遵守の決定打となるものと推察すると述べて本稿を締めさせていただく。
ディスカッション
コメント一覧
まど2で合ってます。。よくご存知で
さすがです(^-^;
「オーナー独裁社長が物理的に変わらない限り社風は変わらないんだなあ 」おまけにアクが強い創業者ほど長持ちするし固執するし。
一般人にも、例えばカジノ関連のロイターニュースを通じて、そのイケイケドンドンぶりが漏れ伝わるユニバが変わってしまったということは、メーカーは本当に責任を自覚する社風に変わりつつあるんですねぇ。
むしろ「警察は敵」「メーカーは警察の狗」「やったもん勝ち」みたいな雰囲気が残ってるホール連中の方が、前近代的というか何というか(´・ω・`)
高射幸性機を製造した張本人であること、5号機ハーデス発売時に、無償アップグレードを約束しておきながら、反故にしていること、などから見ても、ユニバーサルが「業界ルールを守らないホールとは取引しない」ということはおかしい。そもそも北電子はよしとして、平和なども「黄門ちゃま喝」、大都も「サラリーマン番長」を製造した責任をとっていない。以前、アラジン、サラリーマン金太郎、旧ミリオンゴッドが外れたときには、各メーカーが代替価格などを用意したが、今回は開き直って、「業界ルール」が云々いって吠えている。ここでユニバが通達を、もしだすようなら、過去を顧みない経営者だということしかいえなくなるだろう