遊技機の無承認変更による「最悪の結末」

コロナ禍を考慮して実施された再度の規則改正に係る経過措置期間の延長により、長くホール営業の第一線で稼動して来た多くの遊技機は検定・認定期間の延長という恩恵を得た。

しかしこれには事実上の申し合わせが存在し、業界側の自主的な取り決めにより全ての機種が延長期間を満了するまで設置されるのではなく、高射幸性スロット機というカテゴリにおいては認定切れをもって速やかに撤去されるべきとし、また検定日やタイプ(確率帯)等の区分によりカテゴリ分けされている他の遊技機もそれぞれの期限がやって来れば遅滞なく新規則機との入替が図られるようにと事細かい取り決めがなされたのは周知の通りである。

この取り決めの意義や誓約を書面化する段取りの是非などについてはこれまで記事やツイートで何度か言及したためここでは触れないが、直近でのパチンコ・パチスロ産業21世紀会と遊技産業健全化推進機構の遣り取りにより、上記の”ルール”から逸脱し既に設置期限が切れたサラリーマン番長のような機種を営業の用に供している店舗、つまり今後もゴッド凱旋や沖ドキなど営業貢献度が極めて高い機種を継続設置する可能性が高いような店舗にとっては「外堀が埋められた」といえるような状況になった。



同機構は2020年(令和2年)9月9日付の書面にて、非通知・無作為で実施している店舗立入時において通常業務である遊技機ならびに設備機器また依存問題対策の状況調査に加えて、業界団体で申し合わせて段階的且つ期限内に撤去すべきとした高射幸性スロット機と、検定または認定の有効期間が満了した遊技機の設置状況確認を検定通知書と認定通知書の写しとの照合によって実施すると公表し、その文中において下記のような文言で調査の意義について触れている。

今般、業界団体で選定された高射幸性回胴式遊技機は、当機構の主力事業である遊技機の不正改造根絶の観点から考えても、新しい遊技機規則に基づき製造された遊技機に比べ「ゴトを含む不正改造がなされる可能性が高い遊技機」であると認められることから、当機構がその設置状況につき情報を収集することは、当機構の健全化推進活動に資するものであると考えられます。

ここで注目すべきなのは勿論、調査対象となる遊技機の多くはゴトを含む不正改造がなされる可能性が高い、とした点である。

これは見る者によっては”別件逮捕”のような措置でありフェアではない、或いは業界の諸問題を解決するに際しそれをホールの自主性・自浄努力によってではなく制度や調査という手段での外部介入によって為さなければならないのはあまりに情けないとするかも知れないが、事実として不正改造即ち法令上ホール営業においては”無承認変更”にあたる台が現認されれば言い逃れが出来ないことであるため、問題解決のためには妥当な措置であるとしこれを歓迎する業界人はホール関係者の中にも多いことと推察する。

風俗営業の行政処分量定を参照すれば、遊技機の無承認変更は風適法20条1項(9条1項)に該当し罰則根拠規定上では50条1項にあたるため、営業停止処分の場合は2月以上6月以下となり営業許可取り消し処分にも至る可能性がある非常に重い違反行為なのは周知の通りである。

これには100万円以下の罰金若しくは1年以下の懲役またはこれらの併科という刑事罰もあることから、”事態の更なる悪化の可能性”を秘めていると言える。

それはつまり、仮に警察による事情聴取や捜査の結果、違反行為者である店長などの役職者だけでなく営業者としての法人即ちその経営者・役員クラスが共犯であり極めて悪質な事案であるとされた際には書類送検により今度は検察が動く事となり、検察官が刑罰相当と判断した場合には起訴される可能性もあり、更にここで罰金刑以上が科されれば経営者には風適法4条に定める風俗営業者としての欠格事由が生じることから、運営店舗すべてが営業許可取り消し処分を受けるという最悪のパターンである。

以上、本稿で触れたサラリーマン番長やゴッド凱旋などに代表される一部の旧規則機の撤去問題は、業界内の申し合わせからの逸脱行為として是正勧告が出されたり場合によっては取り締まり行政からの指導を招くに留まらず、調査の結果無承認変更が露見し営業者としての法人経営ならびに店舗運営の在り方に悪質性が認められ刑事罰が科されでもすれば外堀どころか内堀までも埋められることとなり廃業に至るリスクまである、ということを念頭に置いて、仮に現時点で逸脱行為に及んでいる法人・店舗におかれてはどうか今の内にあるべき対処を求めたいと述べて本稿を締めさせていただく。

楽太郎

Posted by 楽太郎