緑葉のさざめきに、そよげる風の声を聴く

外気温36度のとても暑い日、市営バスはちょっとしたつづら折り状の坂道を右へ左へと車体を振り対向車をやり過ごしながら慎重に上って行き、駅前の乗り場から20分ほど掛かって街の高台に位置する公園で停まった。

この公園の端から海の方角を見遣ると、高校時代の友人が奥さんと子供2人と一緒に住んでいる街が一望でき、いくつか配置してあるベンチの内これまた端のものに腰掛けると、少し暑かった車内で汗ばんだ上着の隙間を通り抜ける風の心地良さにようやく一息ついた気がした。

ベンチの近くにはまるで巨大な盆栽のように見栄えする樹木が植えられており、大きくうねった根張りとは対照的に真っ直ぐ上へと伸びる幹の立ち上がりと、陽の当たるであろう方角を一生懸命に向き広がる枝ぶりが生命力に満ち満ちている。

平時は自宅と本社・管理店舗を行ったり来たりし、社用での出先でも大体は都市部の駅前の移動が中心の毎日を送っている身としては、自宅からの移動距離はかなりのもので疲れはするのだが、たったこれだけで充分過ぎるほどのリラックスになり何だかとても贅沢な時間を過ごしたような気持ちになる。

このエリアは、東京に支店があるメーカーの営業職にとっては係長クラス以上が異動して拠点長になるようなところであり、ホール目線では栄転になるのかどうなのか微妙なのでいつも本人に聞くが、「一応栄転になりますが、たまに”問題がある”上長が飛ばされたりもするのは事実ですね」みたいな面白い応えがあるので関東圏の業界人読者の方々にとってはあそこの県かな、くらいの目星は付くのではなかろうか。

滞在時間は帰りのバスが来るまでの50分程であったが、日陰のベンチに腰掛けて電子音ではない音に包まれたり照明とは違う自然光の下で過ごし、その後は駅前界隈に戻って折角だからと1店舗ではあるが近くにあったホールにお邪魔した。



駅前に戻って来るとまず気になったが、行き交う人や自転車の少なさだ。

夕刻ともなれば買い物での外出や帰宅する人たちでもっと賑わっていても良いものだが、この日はうだるような暑さに気が滅入ったのか世間的な給料日まであと数日あるからか、ちょっとした規模の駅でも閑散としているまではいかないがどうにも活気が無い。

日中の暑さは陽射しによるもので、この時間帯のそれはどちらかというと湿気を帯びた嫌なものでありバスから降りてほんの2~3分歩を進めただけで全身の肌に汗が纏わり付いて来たため、堪らず最寄りのホールに避難した。

店内では島上の各所にサーキュレーターが設置してあり、エアコンから送り出される冷風をかき混ぜて涼やかな空気が広く行き亘るように工夫してある。

まずはスロットコーナーをぐるりと見回れば、豪華に飾り付けられた南国情緒豊かなコーナーに目が留まるが、立派な装飾とは似つかわしくないような直近データの台が多く、やはり稼動面では苦戦しているように見受けられた。

次に低パチコーナーを見遣ると、この時間帯の稼動のメインはこちらのようで8割ほどの着席状況から普段でもまともな稼動を得ている様子が窺えた。

この島のすぐ近くの一角には5~6人ほど利用可能な喫煙ブースが設えてあり、中では4名がゆったりと空間を使いながら一服し外では入室待ちの男性が1名順番を待っている。

いかにしっかりとスペースを確保した喫煙ブースであっても、この利用者数で自分が入って行ってわざわざ混雑した状況になりたくはないということだろうか。

私は20年ほど前に煙草は止めているので今となっては喫煙者の心理は分からないのだが、なるべくなら他人に近づきたくないというのが喫煙ブースに限らず生活の様々な場面で見てとれるようなご時世になったのだと、改めて実感した次第である。

肝心の遊技の方は、運用状態が良さそうな太鼓の達人を見付けたので1回当ててみようと弾き始めたところ、寄った玉の受けが良く始動口にポコポコ連続入賞する。

また右側もそこまでマイナス運用にはなっておらず、おそらく電サポ中はこちら側も機能するので強めに弾いて左右から玉を流すような打ち方で楽しい時間を堪能できるような良台だと見受けたが、このように表現するということはつまりは1回も図柄が揃わなかったということである。

147回転でノーヒット、7千円負けで、お店を後にした。

楽太郎

Posted by 楽太郎