店頭に水打てば、雀ら憩いて涼をとり

猛暑の日々が続いている。

関東甲信地方の梅雨は例年、6月初旬に始まり7月20日前後には明ける。

それが今年は8月初旬へとずれ込み、遅い梅雨明けは猛暑或いは冷夏、少雨或いは多雨、そして台風軌道の読み難さなどといった気候変動が起こり易いという説もある。

今年の夏はどのような状況になるか、いずれにせよ短い夏になることは確かであり二十四節気によれば今はもう立秋を過ぎた。

コロナ禍で散々な春夏を過ごすこととなった訳だから、せめてどうかこれ以上の自然災害など無い秋冬になればと願うばかりである。

さて、本題に入る。

全国のパチンコスロット店では目下、営業規模の大小や企業・店舗としての考え方に違いはあるだろうが、ほとんどの店舗において他業種のそれと同程度以上の「換気」を実施している。

またこれも程度の差はあるが、台間に透明な仕切り板やビニールカーテンを設えて「飛沫の遮断」に取り組んでいる。

前者について、空調設備等の高稼働で良しとするか、それとも入場口や高窓等の常時・定時開放も加えてより一層の効率化を目指すかという違いはあり、後者についてもアクリル製品のようなしっかりしたものを設置して遮断するか、それとも掲示物のラミネート加工用の素材で簡易的なものを自作するか、というような違いがある。

いずれにせよ、今最も怖いのは、特に4月中に苛烈さを極めた休業要請に係るぱちんこバッシングともとれる風潮に際して、いや、ぱちんこ業界は健気な程に対策をしているじゃないか、という同情論が醸成されたもののそれが自らの怠慢により再度批判を受けるような事態に陥ることである。

これは自社・私自身の管理店舗についても言えるが、世の中的に陽性者数の増加傾向およびそれに関する報道がひと段落つくまでは、改めてここで気を引き締めしっかりと取り組んでいきたいと考えている。

先月は本社役職としてのホール事業部の大局的な業務に掛かり切りになったが、ここ最近はというと管理店舗で過ごす時間が増えており、勤務時間はまちまちだが大体は出勤して1~2時間はデスクワーク、その後1~2時間はホール巡回して過ごすというパターンがほとんである。

ホールに居ると、7月下旬までは自動ドアを半開になる程度の位置で停止して常時換気していたのが、8月の日差しと熱気ではいかにエアコンとサーキュレーターを強力運転させて店内の適温維持と換気効率の両立に配慮しても、もはやそれでは通用しないような暑さになっているのを実感する。

それで仕方なく、高窓は開けたままで複数カ所ある自動ドアは元の自動運転に切り替えて営業しているが、街行く人を見ているとドアが開いた際に漏れ出る冷気が心地良く感じるようで、ハッとこちらを向いて目が合うことがある。

すると私は軽く会釈し、向こうもそれに対して同じように返してくれる時もあるのだが、特に会社員の方々は炎天下で背広まで羽織っている場合も多いため別に無理に遊技してくれなくても構わないので汗が引くまで少し店内で休んでいけば良いのにと思う内に、人混みの中に消えて行ってしまう。

そういうことを繰り返す内に、ふと思い出したのがTwitterでたまに見掛ける「打ち水」であった。

ぱちんこ業界の関東圏では、東和産業株式会社の運営店舗における浴衣姿の女性スタッフによる店頭での打ち水が知られているだろうか。

これは視覚的にはたしかに涼を誘うが、実際の効果の程はどうかとはよく言われることである。

調べてみると、元々の路面状況や風速・日照などの影響により上下するが概して打ち水開始直後から周辺気温の低下が始まり平均値で0.66℃、最大値で1.93℃の気温下降効果があり、5~15分程で元の周辺気温に戻るとされているようであった。

さすがに人員を配置して実施するまでのことは出来ないが、では私がホールに出ている時間帯に私自身がやってみるなら試みとしては良いのではないかと思い至り、5~15分ごとに正面入場口周りにバケツとジョウロを使って水を撒いてみた。

すると水は舗装された歩道へと速やかに染み込んで行き、或いは撒いた量が多くなってしまったところでは5分ほどは夏の空や私の顔を映し出す水溜りとなりその後路面の下へと消えて行った。

染み込んだ水は目には見えねど路面の熱を奪いながら蒸発して行ったようで、それに際してなるほどたしかに体感できるくらいまで周囲の気温は一時的に下がったようであった。

これが浴衣姿の女性であれば街行く人も歩を止めるのであろうが、いかんせんオッサンが一人居るだけなので誰も気になど留めはしない。

ただ雀が2~3羽とコガネムシが1匹そこに居て、どう感じているのか分からないがしばらくその辺りで過ごしたようだった。

コガネムシは、少し離れたところにある植え込みのタカサゴユリが咲いている根元に移してやった。

ホール巡回していたアルバイト諸君には招かれざる役職者がホールに出て来てはなにやら外でサボっているようにも見えただろうが、汗だくになって事務所に戻り冷涼な空間に安堵しながら、なかなかどうして打ち水の効果はあるものだが、やはりエアコンが一番だと苦笑いした次第である。

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[参考]

「打ち水大作戦2020」公式サイト

狩野 学・手計 太一・木内 豪・榊 茂之・山田 正『打ち水の効果に関する社会実験と数値計算 を用いた検証』

土屋 修一・加藤 拓磨・手計 太一・山田 正『打ち水による市街地の熱環境緩和効果』

楽太郎

Posted by 楽太郎