ユーザー目線で明らかに曲がっている釘の状態で営業するホールについて

読者の方からのご質問

N.T さんからのご質問

ブログ拝見させて頂いております。

最近、気になる事があり質問させて頂きます。

正直、この事に触れる事はタブーだとは思いますが釘調整の事です。

こちらのブログを沢山見てきた身としては釘調整は納入された状態では使えたものではないという事は理解しいち客としても思っています(釘調整は肯定しています)。

自分は決まった1店舗しか行かない身であり前までこんな釘じゃなかった筈なのに…と思う事がありまして、聞いたところどうにも店長さんが異動になったという話を聞きました(調整癖が変わったのも納得です)。

自分が行く店で主に打つ海物語シリーズは基本左右対称の構成ですが自分の行く店ではステップ釘と言いますか、スタートチャッカーの左・右下にある1本ずつの釘が左右の高さが明らかに違います (回転率に大きく関わる釘であるという事は知っています)。

勿論、迷惑客に分類されてしまうのが怖くそんな事を言い出せる筈も無いですがそれらは納入時から標準ゲージに直した上で利益計画に沿った営業と言えるのでしょうか?

違和感がある程曲がっているのは問題外なのでは…と思ってしまいます。

微妙な調整でも回転率は大きく変わる筈ですし…

自分の行く店は大手企業店舗なのでなんとも言えませんが海物語シリーズは殆ど同じような違和感のある釘になってしまっています。

1パチとして見ても回らず基本は体感250発で13回転程で(更に回転ムラが酷く250玉の内数発スタートではない特賞口に入るくらいで全然回らない台まであります)、最近はコロナウイルス対策のせいかお客さんが減っているので絞るのは分かるのですがねぇ…(調整で余計お客さんが減っているような気もします)。

こんな感じで気になった事を質問させて頂きました。

お時間がある時にでも回答頂けると嬉しく思います。

よろしくお願いいたします。

回答

結論

本稿では、ユーザーから見て「違和感がある程曲がっているのは問題外」だと思うが、「利益計画に沿った営業と言えるのでしょうか?」というご質問についてお応えします。

結論から先に述べさせていただくと、

①納品ゲージすなわち検定機と同一と見なし得る釘の状態から、ユーザーが見て明らかに違う状態・曲がっているように思われる釘の状態で営業する事については、店舗ごとの交換個数と機種によってはそうせざるを得ない場合もあり得る

②納品ゲージ或いは釘確認シートの範囲内での運用ではユーザーが打ち気をそそられずに稼動・売上不足になるため、アイキャッチ重視で命釘周りの見た目を良くし、その代わりに寄りやジャンプ釘或いは一般入賞口周りなどの運用レベルを下げて帳尻合わせをする法人・店舗はある。

③中古機の初期整備状態が均質ではなく、日々の運用の過程で釘の状態のズレが大きくなってしまう場合がある

この3つが挙げられます。

後段で、それぞれについて解説して参ります。

解説

まず①については、ユーザーから見て曲がっていると即座に分かるような運用になってしまう機種なら、そもそも導入すべきではない、というご意見もあるかと思います。

これについては、設計値を精査して導入に至ったものの、実際に営業してみると思いのほか粗利コントロールしにくかったため、已む無くそのような対応になったという場合もあり得ます。

これには販売時にメーカーが提供した数値と乖離するような場合と、例えば売上の水準が想定よりもかなり低く無制限営業では粗利不足となりがちで、月間で適当な粗利を残せるようにと「無難な」運用レべルにする内にシート範囲からの逸脱度合いが大きくなってしまったという場合が考えられます。

想定よりも売上水準が低くなるという事について、いくつか要因がある中でひとつ例を挙げると、払出性能やゲーム性が思いのほかユーザーから支持されたり或いは専業層であれば十分に打ち込める運用レベルの台の場合に、無制限ルールに則って持ち玉で長時間打ち込まれた場合に遊技客の入れ替わりが少なくなり、売上の水準が想定よりも低くなる、という現象が起こります。

すると、当初の運用プランよりもレベルを下げて、つまり想定よりも釘の状態変化の度合いを大きくして運用する、という事が起こり得ます。

そうならないために一回交換制や定量制などというハウスルール提示をするお店もある訳ですが、2000年くらいから無制限が当たり前のスタイルとなり今のユーザーにとってそのような制限付きのスタイルは一般的ではないように見えたり現金投資を強いられているように思われて敬遠される事で結果的にはやはり客数・売上不足となってしまう場合もある事から、そのような状況下でも粗利確保出来るように、と考えた際に想定以上に釘を曲げて運用してしまうというような流れもあり得ます。

つまり、ご質問の前半と後半部分を入れ替えて「利益計画に沿った営業をするために、違和感がある程曲げてしまう」というロジックでの運用が起こり得る、という事になります。

次に②について、釘確認シートによる遊技機の設置確認制度が始まった当初は、いわゆる「ベース30内規」があった事やだいぶ前から開発していた型式が順次販売に漕ぎ着けているというタイムラグも関係してか、メーカーや機種によりホール側にとって運用し易い・運用し難いという大差がありました。

制度運用開始から2年以上経ち、原則としてメーカー側は全国的に現在主流な交換個数である28個交換のお店でも納品ゲージそのままかその範囲内での運用でも適当に粗利を残せるような設計値および釘の状態で納品出来るように対処して来ていると言えます。

これについては、メーカー側を責める事は出来ません。

なぜかと言えば、仮に「甘過ぎる」状態で納品してしまうと、ホールにとっては薄利になり易かったり最悪の場合は粗利が殆ど残せずにクレーム事案となり、その件数が多くなればメーカーとして何かしらの補償対応となる場合もあり得るからです。

補償対応の内容としては、次機種割引や買取りでの回収、日当たり数千円×設置日数で算出した金額での営業補償などがあり得ますが、いずれにしても懐具合を痛める結果となるため、前述した主流な交換個数の無制限営業でも運用出来るように「無難な」設計値で販売するのは仕方がないと言えます。

これを踏まえて、納品ゲージが「辛い」と言われている機種で例を挙げると、40個交換のお店がP戦姫絶唱シンフォギア2を納品ゲージのままで運用してしまった場合は、ユーザーにとってはこの交換個数でこの運用レベルなのか、といった具合いに厳し過ぎて打てたものではないという状況にもなり、そういった際にしっかりと遊技してもらうために要所に手心を加えた結果、明らかに曲がっているように見える釘の状態にもなり得ます。

最後に③について、中古機の場合は直前の設置店舗が営業調整を施したままの状態で納品される場合が殆どのため、それを自店で納品ゲージに整備し直すという作業が発生します。

その際に、釘確認シートと照合しながら可能な限り正確に納品ゲージへの戻し作業を実施する法人・店舗と、調整者の感覚で真っ直ぐにしてそれで戻し作業を完了させるという法人・店舗とに分かれます。

こういった事情は経験的に、また業界内の知人などから得た情報でしかお応え出来ませんが、前者については適当な営業規模の法人・店舗であり、後者については小規模な法人・店舗がそのようにしている場合が多いかと推察します。

では、前者が優れていて後者は雑なのかと言うと必ずしもそうとは言い切れず、例えば大型店でパチンコ機の運用権限がある役職者がしっかりと意思統一されていない状況で数値合わせのためだけに各自の観点で釘を動かして行った際には、同じ機種でも台ごとに釘の状態がバラバラという状況にもなり得ますし、本来は責任者が定期的に実施すべき細かな点検を怠った際には釘確認シートとの逸脱の度合いも大きくなってしまったり、ユーザー目線で明らかに曲がっているという状態になる場合もあるでしょう。

大型店である程に意思統一は重要であり、例えば回転率を下げたいと考えた際にどの箇所の釘をどの程度動かし、それでも狙った数値にならない場合に次はどの箇所をどの程度動かすのか、といった度合いや順番はルール化されていなければなりません。

しかし、エリアごとの条例で許可されているフルタイムで年中無休営業という場合が多いでしょうから、そうった日々の営業の中でどうしてもバラつきは生じてしまい、ご指摘にもある通り店長さんが変わったなどの事情もあり考え方が変わったり点検が適正になされなければ、一般ユーザーが見ても分かるレベルで釘が曲がっているという状態にもなり得ます。

反対に後者において、例えば遊技機の性能を個別にしっかと把握していて自分自身でも打ち手の感覚を持っているような店長さんが個人で運用・点検している場合には、機種ごとに自店の交換個数に見合った適正な数値や打感で運用しつつ釘の状態もシートからの逸脱の度合いが限りなく少なくなるように留意しながら営業出来ているという事もあるでしょう。

以上、ユーザーから見て「違和感がある程曲がっているのは問題外」だと思うが、「利益計画に沿った営業と言えるのでしょうか?」というご質問に対して、ごく簡単にではありますが解説を加えつつ回答させていただきました。

現在流通している型式の多くは、納品状態或いは警察庁が検定機と同一の釘の状態であると見なしている釘確認シートの範囲内での運用が可能であり、実際に私がホール事業を統括している自社店舗ではシート準拠での運用を徹底し日々の点検も高頻度で実施しております。

ゆえに、本稿は法令に違反する釘調整を礼賛・推奨するようなものではない、という事を申し添えて締めさせていただきます。

楽太郎

Posted by 楽太郎