街の景色のあちこちに、喜怒哀楽の灯がともるなり

今月は中旬にかけて大きめのプロジェクトに挑み、ホール事業部責任者として最終的には苦渋の決断を下す事となった。

匿名発信者という属性上詳しい内容までは書けないが、突発的に発生した17日間という僅かな期間において調査等に充てた時間は移動も含めておよそ40時間、面会・商談人数は18名、資料作成に要したのは約25時間という取り組みであったが、結果だけ見れば何も動かず会社として変化に飛び込むだけの勇気を絞り出す事が出来なかった。

それには様々な理由があったが、未だ収まらぬコロナの陽性者数やそれに伴う年内の営業数字の見通しが芳しくない事などが第一に挙げられ、本当に力が強い・成長力を有した法人であれば機会逸失などしない場面であろうと歯痒く思いつつこのプロジェクトを手仕舞いした虚脱感をここ数日引き摺ったまま本社のデスクでこの文章を書いている。

日曜の夜、オフィスには私と役員が1人居るだけだ。

本稿を書きあげた後には、入替業務の様子を見に行くのとメーカー営業マンとの面会のために管理店舗へと向かう予定だ。

そういった境遇で、今ふと思い出すのは先代店長はじめ自社の旧時代の先輩社員たちの事だ。

業務上の知識をはじめあらゆる場面で指導を受け大いなる恩恵に与った人、接すればいつも小言ばかりで気が滅入っていた記憶しかない人、こういう役職者には絶対になるまいと反面教師として捉えていた人、様々な人が居たが今はただ懐かしい。

辛く当たってくるばかりだった人も人間性までは悪くは無かった事を考えれば、他の人が言い難い事でも私の成長を促すために敢えて指摘してくれていたのではないかと思い至る。

社員、お客さん、日常生活の場面で接する人たち、またSNS上で関わる方々、そういったあらゆる出会いや交流を自分の力に換えて、また私の方でも何か役に立つ事は出来ないものかといつもそのように思いながら業務にあたりオンラインサロンも含めて「場」や「人間関係」を尊重し大切にしたいと考えている。

さて、今回は、読者の皆さんにあるYou Tube動画集を紹介したい。

それは、主に東京の30年前の街の様子を収録したもので、up主であるLyle Hiroshi Saxon氏は1984年以来東京在住であり1990年から93年までのハンディビデオカメラでの収録動画を中心にupしているとの事である。

ここにはバブルに沸く渋谷、開発が進む新宿、雑多な池袋、どこかのんびりとした風情がある上野や高田馬場といった山手線の主要駅をはじめとして主に東京エリアの駅前風景が映っており、大体はどの動画も特に何かにフォーカスしたり余計な解説などを加えたりなどはせずに歩行者目線で紹介している。

どの動画でも駅前や幹線道路、メイン大通りの界隈のビル上には赤地に白抜きで「ワールド」と意匠された消費者金融の大型看板が自己主張し、これは東京住まいの方にとっては非常に懐かしい眺めではなかろうか。

そして街の至る所でひと際ギラギラと煌めく電飾看板の中には、お察しの通りパチンコ・スロット店のものが多く含まれている。

例えば、当時商圏内に50軒ほどが店を構えており全国有数の激戦区であった池袋の東口の様子は、このようなものだ。

動画に映る店舗の中には既に廃業しているところも多く、また街行く人たちの中には他界している人も多いだろうなどと考えると、懐かしさだけでなく物悲しい気持ちにもなる。

私自身もかつていちユーザーとして方々の駅前エリアでパチンコスロット店に出入りしており、あそこらへんで昼食をとっていたな、連れ打ちしていた仲間たちと一緒に派手に酔っぱらったな、などと記憶の引き出しから当時の鮮やかな色合いや匂いまでも一緒に取り出して来て非常に興味深く視聴した。

パチンコスロット店は当時、その中に世人の喜怒哀楽を包み込みながら実に賑やかに街を彩っていた。

あのような景色も賑わいも、そっくりそのままのかたちではもう二度と戻っては来ないのだろうが、ではどのような在り方であればより多くのユーザーから支持され、また遊技には興味が無いという一般の方々からも存在を許容してもらえるのかと思案しつつ、本稿を了とする。

楽太郎

Posted by 楽太郎