2020年度のメーカー、販社、ホール状況概観

7月中旬以降大手メーカー各社が動きを活発化させ、およそ10月初旬までの販売日程が決まって来ている状況である。

年度末にあたる3月までの販売がアウトラインとしてほぼ見通せるようなメーカーもある一方で、中堅どころや下位メーカーにおいてはコロナ禍以前の2~3月の販売予定であった型式がようやく日の目を見そうな気配になったり、或いは完全に鳴りを潜めてしまい会社としての先行きが不安視されているようなところも出て来ている。

これについては職域違いという事でホール側の私では突っ込んだ話は出来かねるが、ひとつ言えるのは私としてはもう散々メーカーの文句を言って来た世代なので安易に日程が悪い、機械代が高い、値引き条件が悪い、販売上の割り振りの仕方が中小ホールにとって厳し過ぎる、などといった具合いに苦言ばかり呈するのには飽きた。

メーカー側にもそうせざるを得ない理由があり、大変厳しい状況下での生き残り戦略もあるだろうから、個社毎にこれがベターだと思われる方策で危機的な局面を乗り切っていただければと願う。

しかしやはり翻ってみればホールなくしてメーカーは立ち行かず、大手ホールから思うように買って貰えない時には中小相手の細かい販売額の積み重ねが物を言うのもまた事実であるため、どうかどのメーカーも企業経営・店舗運営規模の大小を問わずなるべく幅広いホール付き合いを維持して下さればと思っている。

特に設置シェアが大きかったり、いわゆるメイン機と目されるタイトル機を保有しているメーカーにおいては、販売の場面で大手・トップシェアメーカーに相応しい振る舞いを求めたい。

ブログ開設以来お世話になっているメーカー側の情報提供者によれば、休業要請が明けてエリアごとに営業が再開されていく時期にあたる5月末時点でのパチンコ新機種の販売台数は38~42万台水準(参考:全国のパチンコ総台数=240万台水準)であり、スロットの方では23~25万台水準(同、155万台水準)との事である。

これは実売台数が不明な機種もあるため数値には若干の幅があるが、大きくはズレていないだろうと思われる。

2010年以降は年間でパチンコスロット双方の総台数の入替頻度(年間販売合数/設置台数)が1回転にも満たない年が続きメーカー側としては商いの量の縮小を単価増によりカバーしたり値引き条件を難化させるなどして利益確保に努めているが、メーカー側の自助努力とホール側の経営・運営上の利害は相反するため本年度も相当に厳しい販売数値で着地しそうな気配が既に色濃く漂っている。

次に、販社特に中小販社においては、ここ2年ほどの経営や目下置かれている状況、今後直面せざるを得ない問題について考えた際にどれも如何ともし難いレベルで厳しいものであると言える。

2018年2月の規則改正以降、販社では廃業が目立ち、業界団体の一角である回胴遊商・全商協においては各方面・支部の理事メンバーの顔ぶれまでもが大きく変わるような状況である事から新規則機販売やコロナ禍の影響が非常に大きく顧客ホールが遊技機を買ってくれない、メーカー側が直販意欲を高めているという事情が販社の将来に深い影を落としている様子が窺える。

なぜかと言えば、代表が団体の理事・役員を務めるような販社であればそれ相応の体力を有しているのが常であるが、その面子替わりが各所で起こるという事はすなわち予測不能なレベルで遊技機販売に関する諸事情が急速に悪化している事を示しているからである。

経過措置期限の延長という特例措置により九死に一生を得たようなホールもある一方で、販社側では新機種が売れなければ中古機販売で頑張ろうという気概を持って臨んでいたところにこちらでもホール側の買い控えが起こるのであればたまったものではない。

本年度の中古機販売(適正流通に要する証紙発給数ベース)について、回胴遊商では37万台、全商協では55万台を見込んでいるが、全国の主要都市部を中心に陽性者数増の第二波に晒されており今後更にホールの廃業が加速し販売先が減る事で実売台数規模が縮小したりといった状況になる可能性もある事から、果たしてどの程度の実売台数になるかは不透明であると言えるだろう。

このような状況で販社側が望むものは、第一にメーカー団体側が必要以上の自主規制を行わない事であり少しでも射幸性(払出性能と言い換えて良い)が高くホール側が自発的に欲しがるような型式を適合させて販売に漕ぎ着けてくれる事であり、第二にはホール側が高射幸性スロット機の撤去や延長された経過措置期限の申し合わせを遵守し中古でもなんでも構わないので適正に入替を実施してくれる事である。

つまり我慢はまだ続くが、第一の事情についてはまずはパチンコ機の方で遊タイム機能搭載等の改良が図られており、また2021年のGW前後にはメダルレス遊技機がいよいよ登場して先々においては再度の規則改正や業界側の申し合わせによらず自ずから入替需要が増すような性能を具備するという意味で内規の緩和(最たるものとして、有利区間の撤廃)も追い追いではあるが期待したいところである。

また第二の事情については、一部の逸脱者はどうしても出て来るだろうが大多数のホールではまとまった台数規模で旧規則機を新規則機へと入れ替えざるを得ない時期はやって来る訳だから、販社関係者におかれてはどうにか遣り繰りしつつ踏ん張って下さればと思っている。

以上、メーカーと販社の様子についてごく大雑把に見て述べて来たが、これも踏まえた上で、ではホール側の当座のターニングポイントとなり得る時期はどこなのか、という事について最後に私見を述べさせていただく。

これは結論から言えば2020年11月~2021年3月であり、意外にも早くやって来る。

この時期の話題の中心になるのはスロットコーナーであり、メーカーとしてはユニバーサルと北電子の名前が挙がって来るだろう。

ゴッド、沖ドキ、ジャグラーというタイトルがユーザーも含めて業界内に充満する事になり、要点だけ3つ挙げれば、

①従来高射幸性スロット機コーナーを主戦場にしていたユーザーの中から、比較上払出性能が優秀なパチンコ機をメインに立ち回る層が出て来る。これによりパチンコ新規則機の売上と稼動が上昇する。

②沖ドキの撤去により新規則30ΦATタイプ機の需要が高まり、おそらくはS沖ドキ2が再注目される。またSハイドラ等のG数大量乗せ系ATタイプ機にもユーザーの注目が集まる。

③コロナ禍での営業数字の欠損分補填および中古市場での値上がりを見てマイジャグラーⅣとゴーゴージャグラー2の一部を売却する中小ホールが増えるが、北電子の販売方針として旧ジャグラーの回収を条件に新規則ジャグラーを用意するというものがある以上、2020年11月~2021年3月期間に自店のジャグラー設置台数を減らす事は愚策となる。当座の売却値を得ても半年以内に新規則ジャグラーを現設置台数と同水準で導入出来る保証は無いため、最悪の場合には基本稼動と粗利が崩れて立ち行かなくなる。

ざっと、このような状況になるものと見通す。

経験的な話になるが、パチンコスロットそれぞれ良い時期もあれば悪い時期もあり、悪いように見えて他方よりはマシな時期もある。

前述した時期においては、パチンコだけみれば余程マシな営業が本来であれば可能なホールが増えて来ているだろうが、スロットコーナーの粗利水準減の補填のために調整レベルが犠牲になるという最悪の場面も想定される。

私としては、これだけは避けたい。

楽太郎

Posted by 楽太郎