夏本番を前に、パチンココーナーへの「皺寄せ」を憂慮する

2020年7月17日

市場カバー率35%水準にあるダイコク電機によるDK-SISを筆頭に、それ以外の主要な業界データも総合的に参照すると、タイプ(パチンコにおける確率帯、スロットにおけるBONUS種別)別に見た2019年6月期の営業数字の概要は下記のようなものであった。

<4円パチンコ>

全体稼動=14,000個前後

営業上の粗利比率=40%前後

確率帯稼動水準設置比率
ハイミドル(1/280~1/320)16,000個55%
ライトミドル(1/120~1/200)15,000個15%
ライト(1/40~1/120)13,000個20%

<20円スロット>

全体稼動=9,000枚前後

営業上の粗利比率=40%

種別稼動水準設置比率
ノーマル10,000枚28%
RT6,500枚7%
AT10,000枚30%
ART・A+ART7,000枚15%

パチンコスロットいずれも全タイプを網羅せず、また低貸しや特殊タイプ、30Φコーナー等の項目は除外しているため数値の合計が100にはならないあくまでも概略的なものであるが、ブログの性質上参照資料を明示できず本稿で扱おうとしている話題には実数値は必要ないため、この程度の紹介に留め置く。

備考として、低貸しパチンコ(主に1円、0.5円)が稼動20,000個以上で設置比率27%前後且つ粗利比率15%前後の営業数字を数年来維持している事、そして低貸しスロット(主に10円、5円)は稼動9,500枚前後で7%前後の設置比率且つ4%前後の粗利比率である事を付言すれば、昨年の梅雨の時期における大まかなホール営業の姿を思い浮かべる事は出来ると思う。

また、コロナ禍の影響を考慮し「業界への信頼をベースに」行われた経過措置期限の延長ではあるが、前掲の表におけるATタイプ機の内訳として高射幸性スロット機が16.4%前後でありこれは漸次設置比率が低減し前述した「救済」の対象外であるため2020年末には姿を消す定めにある事と、「救済」対象となった事で改めて価値が上昇した旧規則ノーマル・RTタイプ機の事を考えれば、どのタイプ機の稼動・設置比率また粗利はどの程度の期間維持され、どのタイプ機の数字がいつ頃に大きく変動するか、というのを予測する事は可能である。

では、その対処が可能かと言えば、これがホール関係者を大いに悩ませるところであり、極言すれば「スロットコーナー内の遣り繰りだけでは解決策は見出せない」という事になる。

2015年中に最大50%の設置比率にまで増加し表にもある通り昨年6月時点でも30%水準の設置比率であったATタイプ機であるが、これは今年の6月末時点では40%水準に増加しており、その多くは6号機である。

では、昨年6月よりも設置比率を増したATタイプ機が営業面で存在感があるのかどうかと言えば、「新規則機化のために台数だけが膨らんだが、肝心の粗利が無い」というのが実際のところであり、これはおそらく2015年水準の50%と同等の水準まで比率が増えたとしても粗利の水準は同じようなものにはならない。

私見では、今後はおそらく先ほどの表に示したART・A+ARTタイプ機の15%という数値の内10%ほどがATタイプ機の比率に転化し残りの5%ほどがノーマル・RTタイプ機へと置き換わるものと見通しており、そうなると約50%のATタイプ機と約42%のノーマル・RTタイプ機という二軸構成になるものと想定されるが、それぞれの軸に最低でも3機種以上の「メイン機」が早期に登場しなければ前述したホール全体の内40%水準の粗利をスロットコーナーで作るという事が不可能になりその「皺寄せ」がいよいよ4円パチンココーナー更には数年来15%程度の粗利比率で済んでいた低貸しパチンココーナーの方にまで転嫁されるものと考えている。

そうなると、いわゆるV確機や役物抽選機等の活躍もあり機種構成が多様化し、直近では遊タイム搭載機なども出始めて来ておりコーナー単体で見れば今後の運営に光明が見えて来たパチンココーナーの将来にまたもや暗雲が指す流れにもなり、それはやはり「釘の状態」へと真っ先に影を落とす事になるだろう。

新規則機のゲーム性、時間やリターン期待値の感覚に慣れていってもらうために早いペースでパチンココーナーを新規則機化し、さすがに遊技時間や売上の水準は少し下がるものの昨年同月比で似たような粗利を残す事が出来ていた店舗は多いものと思われるが、コロナ禍に見舞われた事で2020年初の営業数字と比較した際に6月末の時点では7割から7割5分程度の数字しか作る事が出来ないのが現状である。

そこに、今年の8月から11月に掛けてサラリーマン番長やゴッド凱旋が撤去されスロットの従来の数字が崩れその補填がスロットコーナー内では不可能となれば、おそらくはパチンココーナーの玉粗利金額や時間あたりの粗利金額の上昇というかたちで「皺寄せ」の度合いがより一層数字として表面化して来るものと見通している。

その弊害は何も運用レベルだけに留まらず、近視眼的により高い売上のより多くの割合が粗利として残るようにとこの夏場から冬季賞与~年末年始商戦に掛けてハイミドルタイプ機の設置比率を増す店舗が多くなれば、せっかくの機種構成上のバリエーションが損なわれてしまうという場合もあるかも知れない。

これは、かつて牙狼、北斗、慶次、ヱヴァ、ルパン、海物語桜ver.などといった具合いに極めて大味な機種構成であった旧MAXタイプ機時代が「釘の問題」で終焉を迎えて以降、4年ほどを掛けてライトミドルや役物抽選機を中心に多種多様な型式が登場してユーザー側に選択肢が多くなった流れに水を差す事になり、夏本番を前にした今、私自身もその事を憂慮していると述べて本稿を締めさせていただく。

楽太郎

Posted by 楽太郎