【東京商圏概観】渋谷駅前エリアにおける新規開店事情を踏まえて

渋谷駅前エリアでの新規開店について

関東圏ぱちんこ業界における当座の話題は、住所上「道玄坂」にあたる渋谷駅前エリアにおける7月1日の楽園渋谷駅前店グランドオープンであった。

このエリアへは私も日頃から足を運んでおり今回の新規開店に伴う現地視察も時間帯を変えて3度実施したが、丁度1週間が経過した状況でその様子を総括して見ると、当初予想していたよりもかなり低い稼動状況であった。

なぜそのような状況になったのかと考えると、新店の稼動率は時間帯不問で9割程度を維持していたものの他の4店舗(楽園1店舗、エスパス3店舗)が拾った客数がそこまで膨らまず日中などは4~5割程度の店舗もあるなど、エリア全体として盛況を呈したとは評価出来なかったからだと言える。

商圏としての渋谷はこの駅前エリアと近隣駅エリアとに分かれるが、駅前エリアの総台数は前述した2法人の5店舗で合計4,000台水準となり、今後はこのエリア総台数が日常的に滞在・流入するユーザー人口と照らし合わせた際に過剰なのか妥当なのか、より多くのユーザーが日頃から営業状況を注視するだけの価値を見出すような機種運用が出来るのかどうか、というのが注目点となる。

現在の東京エリアは山手線のターミナル駅を中心に形成される巨大商圏でさえも数年前ほどの活況を維持できておらず、例えば総台数4,500台規模の上野エリアや7,500台規模の池袋エリアであってもいわゆる旧MAXタイプ機の撤去や高射幸性スロット機の段階的な撤去の流れで常在する客数を大きく減らしている。

ユーザー側がある程度勝手に期待して他エリアから奪うかたちで稼動数が底上げされる特定日を持っている店舗というものはどのエリアにも1つ2つ在るものだが、では他の店舗が多大なる「おこぼれ」に与れるか、或いはその強い店舗に対抗してエリア全体としてユーザーを刺激出来るか、平時の稼動に転化し得るかと言えば現況ではそのようなエリアは存在しない。

あくまでも「スロット機の主要キャラクター誕生日の秋葉原店舗は強かった」「ゾロ目の楽園に引っ張られて池袋の東口だけはユーザーが多かった」「新宿エリアが朝一集客したが、夕方稼動を見ると維持出来ておらず沿線駅に稼動がバラけていたようだ」という具合いに日程的にも時間帯的にも店舗レベルでも”点”での集客は見受けられるが、エリア内の他店舗も広く巻き込んで”面”での増客効果が確認出来るか、ユーザー目線で日常的に「このエリアに行けば、毎日必ずどこかのお店が何かやっていたり、普段から運用レベルがまともな店舗が多いので立ち回りに困らない」という状況を創り出せるのかと言えば、コロナ禍によらずとも冒頭で挙げた渋谷エリアをはじめとした巨大ターミナル駅界隈のホール事情を俯瞰すると、どこも残念ながらそこまでのパワーは持ち合わせていないように見える。

では山手線の主要駅以外ではどうかと言えば蒲田などが地元ユーザーに流入ユーザーが加わった一大商圏を形成しているが、パチンコスロット共に完全に新規則機へと移行した後の事まではさすがに見通す事が出来ないというのが実際のところかと思う。

商圏の理想図とは

何やら辛気臭い話になってしまっているが、東京のようにかつて繁栄したエリアがマスとしてのユーザーの嗜好の変化・多様化をも伴いつつ急速に衰退する過程では、実入りが大きかった時代に肥大化したホール企業経営・店舗運営コストがユーザー減のペースよりも遅いペースや相応でないカット幅でしか削減されなかったり、或いはホール営業に関係する流通や設備機器等の別の職域の業者等も生き残りを目指すため製品・サービス等が値上げされ、結果的にはコスト増・リスク増になってしまっているという場合も往々にしてよくあるだろう。

これは機械代、人件費、老朽化した設備の修繕等も含めた維持費、粗利減の中で従来通りの家賃を負担し続けている事、健全営業に係るあらゆるコスト、こういった諸々を考えた際に、頑張ってカットした分を新たに発生したり急速に増大したり存在感が増したコストが食ってしまっている、という状況である。

なので、いざ「ライバル店が登場するから、頑張って対抗しよう。それによってこのエリア全体が盛り上がって今後の平時の稼動の底上げにも寄与するはずだ」と考えたとしても、肝心のその原資がない、先々補填するだけの見通しが立たない、という事になる。

東京エリアの、と言っても良いし敢えてぱちんこ業界の、と言っても良いが、未来図を旧時代からの延長線上に見た際にはユーザーにとって「より多くの法人・店舗が展開している、選択肢がより多いエリア状況」が理想的であり、上手く機能すれば前述したように競争原理により遊び易い機種運用環境が実現したり面白味がある機種構成や営業手法で活況を呈するような姿が望ましい。

しかし、幾分か冷めた目で将来を見据えた際には、地域ユーザーに対してより良い遊技環境を提供できるだけの経営資本を有した法人・店舗だけが生存しさえすれば事足りるという見方も成り立つ。

実際、地方に行くと既にそのようなエリア状況になっているところも出て来ているのではないだろうか。

とは言え、より高い還元度・サービス提供水準・設備環境という要素だけをもって良い遊技環境であるとは定義し切れないところがホール営業評価の難しくもあり妙味でもあるのもまた事実であるため、私としては「地域ユーザーから営業姿勢を許容され、近隣商圏も含めて周辺事情にどのような変化があろうとも、適当な集客および利益を長く維持する事が出来る店舗」というのが究極的な理想像であるように思っている。

そういった意味において今般のコロナ禍は、多くの法人・店舗にとって、これまでも散々考えては来たがなかなか着手出来ないでいた事に真摯に取り組み始める絶好の機会になったのではないか。

それはまずは機械代の抑制かも知れないし、やってはいたがやり切ってはいなかった施策の洗い出しとリスタートかも知れない。

兎にも角にも、いかに東京のような商圏で、しかもターミナル駅を中心に形成されるエリア、また名の有る法人・店舗とはいえ、風適法は言うに及ばず広告宣伝規制上のリスクを一切負わない営業スタイルで平時から設置台数の3~4割水準をしっかりと稼動させ続ける事すらも容易では無い時代に突入したというのが、今回の新規開店に伴う渋谷駅前エリア状況も踏まえて主要エリアを見渡した際の所感である。

楽太郎

Posted by 楽太郎