営業再開から1ヵ月経過してのホール・メーカー雑感

2020年7月3日

ホール概況

都道府県によってかなりの違いがあるが、ホール側は5月中旬から6月初旬に掛けて営業を再開し、それに伴い設備機器や流通に携わる方々の業務も再開し今は丁度1ヵ月経ったところで一呼吸ついたような状況である。

ホール現場については、メーカーとコンサルタント方面などから得られる様々な概況資料を参照するとコロナ禍以前の6~7割程度の営業数字(売上/稼動/粗利)を作るのがせいぜいであるが、それでも休業よりはマシでありこれから頑張って数字を戻して行きたい、或いは「遊技客の戻り」を待つのではなく「新たに獲得する」くらいの意気込みで管理業務にあたっている上位役職者の方々が多いものと推察する。

この私も、管理店舗の商圏だけでなく、東京エリアにおけるターミナル駅を中心に形成される主要商圏の動向は時間を捻出して自ら足を運んで視察しながら過ごしているが、営業日程の要所つまり遊技客がある程度勝手に期待して稼動が底上げされたり広告宣伝規制上のリスクを負って何かしらの事前告知を伴って開催される「特定日」を持っている一部の店舗だけが一つ上の7~8割水準の稼動を得ている様子を見るにつけ、昨日から7月の営業が始まった訳だが向こう1~2ヵ月以内に稼動の完全回復を実感するのはまず無理があるだろうと幾分ネガティブな見通しを経営陣に対して報告した次第である。

そして、この状況に変化が生じる可能性があるのはお盆商戦であり遠隔地への旅行・移動や帰省等の動きよりも地元での滞在が主流になると考えた際には、月並みではあるがやはり「地元民の生活の安定と自店への支持」こそが鍵になると判断し、本音では「抜きに行きたい」場面でも運営レベルは維持するなどして「我慢」の営業を継続しているところである。

自社のホール事業部では元々、商圏外から特に若者層を引っ張って来て数字の山場を作るというような考え方が無く、無理矢理例えればカウンター席での個人客相手がメインでやっている地元の老舗飲食店のような営業をしている。

他方、設置台数が500台前後の適当な規模の店舗の場合はテーブル席や座席での多人数また宴会客等が数字の肝となる飲食店に例える事が出来るかと思うが、従来とのダウン幅をより大きく感じるのはこちらの方であり不調な時期はより長引く可能性もあると推察する。

こういった事情について規模の大小に応じて悩みどころは異なる訳だが、同業の立場ではやはりより多くのホール企業・店舗から生き残って欲しいと切に願うばかりである。

メーカー概況

営業部署

次にメーカー界隈について、まずは主要どころの営業部署の状況というか、今後の販売の予定についてごく簡単にではあるが見て行きたい。

直近ではSANKYOが今期の開発販売に見直しを掛けたところであるが、予定型式の適合を前提とした来年2月までの計画について私見では、軽めのタイプ機や安価に提供できるリユース機も多く、またジェイビーも含めてみれば役物抽選機も3型式が準備中であり、やはり幅広いタイプ、スペック、ジャンルのパチンコ機を市場に投入し続ける事が可能な稀有なメーカーだな、という印象を改めて得たところである。

次に三洋について、海系の新規則機の販売には否が応でも注目が集まり旧規則海シリーズの常連客をホールドできるか否かで基本稼動が変わって来る大・中規模ホールは非常に多いと思われる事から、やはり良心的な販売の仕方でホールに歩み寄ってくれる事を期待したい。

この2社だけ見ても、パチンコシーンにおいて、私見では完全新規則機時代へと向かう今の時期はメーカーとしての取り組みは成功しているように思える。

その理由としては、パチンコで生活出来るくらい勝てないと納得しない層や「まともな」運用をしている店舗が生活圏内に1つも無いという可哀そうな状況にあるユーザーには納得して頂けないだろうが、私が熱心な打ち手としてパチンコを遊技していた時代である1995年~2000年頃と比較して見ると、規則改正による払出性能の低減や釘曲げによる工夫の余地がなくなった事、或いは販売価格やファン人口、ホール企業側の経営体力などの面倒な要因を排除して純粋に遊技機の顔ぶれだけ見れば今のパチンコ機の多様性は遜色がなく、ホール側の取り揃えや運用の仕方次第では長年継続しているパチンコ離れの流れにブレーキを掛ける事すらも可能だと見るからである。

スロットメーカーでも1社挙げるのであれば、これは特に小規模店舗が営業の軸に据えているジャグラーを擁する北電子について言及したい。

店舗運営上の利益の考え方が半期通期の適当なスパンで成立しているようなそれなりの規模のホール企業であればユーザーが求めるだろう機種をより長く設置しておく事を第一に考えるが、小規模ホールとなると自己都合での入れ替えになり易く当月や四半期単位でまとまった機械代が発生しないように分散して入替を進行せざるを得ない。

このような店舗が懸念している事は「自店の遣り繰り上、最も都合が良い時期に、旧規則ジャグラーの売却値で新規則ジャグラーを買えるかどうか」であり、これが出来るかどうかで、まともなかたちで完全新規則機時代のスタートを切る事が出来るかどうかが決まってしまう可能性が高い。

こういった事情はそれなりの経営規模のホール企業には分からない事であり、それだけ小規模ホール企業・店舗の遣り繰りは厳しい状況にあると言え、初販となる12月のその時を非常なる緊張感を持って待っているというのが本音かと推察する。

勿論、当の北電子、特に営業部署の者においては、同じ時期に非常に厳しい立場に置かれる事となる。

担当する店舗に対して自分が遊技台を用意する事が出来なければ、その店舗は当期の決算数字と今後の見通しの両方で経営意欲を失う事にもなりかねず、それにより早期に廃業してしまう可能性すらあるのを分かっているからである。

ゆえに営業マンの立場ではより多くの製造台数で初販に臨むというのが理想ではあるが、会社としてはノーマルタイプ機市場で覇権を獲った同タイトル機の価値を新規則機時代にも維持したいと考えるため、必ずしも営業部署の要望には応えられないという難しい事情を抱えている。

概して、休業要請の解除以降、多くのメーカーがホール側にとってなるべく都合が良いかたちで新機種を提供しようという動きを見せており、それは価格であったり条件やリユース日程であったり、或いは支店長クラスであれば価格次第では買ってくれそうな店舗に対して更に10万円水準の特別値引きを適用して提供したりといった具合に、自社のセールスを成り立たせるのは勿論の事、ホール側がこのコロナ禍で完全に痩せ細って倒れてしまわないような配慮を見てとる事が出来、こういった動きを私としては歓迎したいと思う。

開発概観

さて、営業部署に関する事はこれくらいにして、次に開発部署について見て行きたい。

開発陣は主に「電気設計」「ハード設計」「メカ設計」「ソフト」「企画」「特許」「申請」等の部門に大別されるが、緊急事態宣言以降の自宅待機期間にはどの部門でも大きな影響を被る事になった。

その理由としては、開発絡みのデータは社外に持ち出せないからである。

ぱちんこ業界内でも休業継続と営業再開の職場が入り混じっていた5月中旬時点での状況を数社取り上げて見ると、まずサミーは開発自体の出勤を完全に停止している訳ではなかったが実質的に輪番での出勤体制となっており、外注業者との遣り取りについてもまずは対面での打ち合わせの必要性があるかどうか事前に連絡を取り余程の緊急事案でもない限りは直接顔を合わせないような状況であった。

ほぼ当座の新機種開発が後ろ倒しになったため、その時点での打ち合わせはほぼリモートオンリーで行われており、これはZEEGとして同社との絡みがあるユニバーサルにおいても同じような勤務・業務状況であった。

ただし、ユニバーサルについては夏場以降のスケジュールを大きく見直していなかったため、当時でも既に開発現場は慌ただしく動いていた模様である。

次に、スロット設置台数シェア3位にあり、3月以降はリゼロの急速且つ大規模な減台の流れを新機種投入によってカバーしたいところであった大都について見てみると、4月においては感染者を出さないための警戒感が非常に強く自宅待機指示が出されていたが、GW明けから5月中旬にかけては在宅や時短出勤により業務再開している。

どこも開発の流れが完全停止しないように要所で出勤はしていたが、このほど政府や地方自治体から「テレワーク」を推奨されても機密扱いのデータを持ち出せないのであれば業務にならない訳であり、今後例えばリモートアクセスVPN等によって自社端末を操作できるようになればといった声等も開発現場で上がって来ていた模様である。

いずれにせよ、作業効率とセキュリティ面の両方を担保するのが非常に難しい部署であるため、ユーザー側の読者の皆さんにおかれては噂などで見聞きして正式な発表を心待ちにしていた機種の続報がなかなか出て来ない状況が続いているとは思うが、ご容赦下さればと思う。

東京での陽性者増加について

最後に、東京における接待を伴う飲食店を中心とした陽性者の増加傾向について簡単に触れて締めたいと思う。

検査数の規模も拡大している事を考慮して敢えて感染拡大とは述べないが、都知事や報道機関が「夜の街」への警戒感を口にする以上どうしても夜時間帯の遊技客の動向には影響が出る。

コロナを除外して見ても、日頃から日中の稼動ではなく夜時間帯の会社員稼動によって営業数字を成り立たせていた店舗も数多く存在すると思われるため、この時間帯のパフォーマンスが今後も低空飛行を続ける目算となれば営業全体への負担は非常に大きなものとなる。

これをカバーする目的で日中稼動を得ようとすれば、安易な手法ではやはり何かしらの告知を伴ったスロットコーナーへのテコ入れを考える店舗が増えると思われ、これは私見であるが広告代理店・演者・ライターによる間接的なものではなく、ホール側のSNSでの直接発信による特定日・機種・コーナー示唆が増えるものと見通す。

広告宣伝行為の全面自粛が約2カ月間におよび、その期間はほぼ例外なく全国のどの店舗でも広告宣伝規制ならびに組合の申し合わせ事項を遵守して営業していた訳であるが、私としては、この解禁に乗じてこれまでは規制や申し合わせ事項を守っていた店舗であっても難局打開の一策として規制と申し合わせ事項違反に及ぶ場面が目立つようになる可能性がある事を危惧している。

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TOPページの見出し画像は「東京都新型コロナウイルス対策サイト」の「新規患者に関する報告件数の推移」における2020年7月2日発表のグラフ画像を使用しています

楽太郎

Posted by 楽太郎