休業要請への積極的な協力店舗は、営業再開後に「稼動」という形でのユーザー支持を得るか?エリア内の序列変動やユーザー動向は?

休業要請解除に向けて

5月4日に首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合において、当座の措置として5月6日までとしていた緊急事態宣言を全都道府県を対象に5月末日まで延長する事が決定された。

しかし、コロナ禍初期の「人命か経済か」という世論の天秤は「命と命の問題」だという論調に変化し、政府としても出口が見えない状況での自粛/休業要請の継続と国内経済の疲弊の大きさに限界を感じたからか、5月14日を目処に感染状況等の中間評価を行い、その内容次第では各都道府県ごとに延長期限前に緊急事態宣言を解除する方針である事を首相自ら明言した。

また、「特定警戒都道府県」に該当する13都道府県では目下の外出自粛/休業要請を継続する事とし、それ以外の県においては「社会、経済活動維持との両立に配慮した取り組みに、段階的に移行する」とし、各業種に対する休業要請の解除/緩和を検討するように要請した。

これにより、ぱちんこ業界においても、7日以降は広島のように方面遊協が地方自治体に対して休業要請の早期解除を求めたり、佐賀のように行政側との折衝により感染拡大防止のためのガイドラインを策定したり、既に早いところでは山形、宮城、鳥取、島根、香川、愛媛などで「3密」対策を講じた上での営業が再開されていたり、山梨や大阪などでは15日にも休業要請の解除が検討されているといった具合いに、4月初旬からGWに掛けての先が見えない真っ暗闇の状況からようやく先行きに光明が差しつつあると言えるだろう。

現況におけるホール側の心配事としては、まずは自店が所在する都道府県における感染状況が落ち着いてくれる事を祈りつつ、その推移をもって地方自治体が各業種への休業要請の解除が妥当だと一体どの時期になれば判断してくれるのか。

より突っ込んだ話をすれば、その休業要請解除の判断がパチンコ店に対しても及ぶのかどうか、それとも他業種とは別の判断基準が設けられて営業再開が遅れてしまうのか、より厳しい営業再開条件が設けられるのかどうか、などといった事かと思う。

少なくとも、今のパチンコ店の営業や休業を巡る事情においては、「国難にあってパチンコ店は休業して当然」という論調から、「なぜここまでパチンコ店にクローズアップして自粛/休業論議がなされたのか、この行政判断は妥当だったのか否か」という内容に大きく変化したのは事実だろう。

休業要請/指示の対象となる施設は地域住民から寄せられる通報によりリストアップされるが、実質的にはパチンコ店にしか立ち入っていないのではないかという事が問題視されたり、東京都における主税局員も同行しての休業指示に対しては、まるで多くのパチンコ店には税務上の問題点などいくらでもありその気になれば脱税事案で追い込む事も出来るのだという世間的なマイナスイメージを助長する可能性もあるのではないか、という懸念も指摘されるところである。

これは何もパチンコ店に限った話ではないが、税務上の調査においては、わざわざ訪問した「ついで」に「お土産」を持って行かれる事も多々あり、調査する側の匙加減で科目が変わってくるようなものもある。

パチンコ店で言えば、一昔前までなら設備変更時に引取対象にならなかったものや「部品取り」用の故障台等を倉庫に保管していて、適当なスペースを食うくらいまで溜まってしまった際や年末/年度末などに定期的にまとめて処分しようかと考えていたところ、それが資産扱いされてしまったりと面倒な事があったのは事実である。

しかし、今では法令順守意識の向上はもちろん「適正排出」の取り組みに基いて不必要な保管品は店舗周りに極力抱えないところが増えたため、別に急遽立ち入られたからと言ってピンポイントでこれがマズい、あれはマズいと慌てる必要までは無い店舗がほとんどかと思う。

この時期に至ってのパチンコ店への休業要請の継続や立ち入り、休業解除条件の設定等については、ユーザー側の読者の皆さんの方でも色々と思うところはあるかと思うので、日々の報道の内容についてどの様な印象をお持ちなのかコメント欄にお寄せ頂ければ幸いである。

参考までに、5月10日20時の時点における休業要請の解除を巡る各都道府県の状況は、下記の通りである。

<休業要請を当面継続=13の特定警戒都道府県+ 4県>

・北海道、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、石川、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡

・福島、群馬、奈良、沖縄

<一部の高リスク業種施設を除いて解除、解除予定>

山形、栃木、新潟、富山、福井、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、和歌山、広島、山口、愛媛、長崎、大分、熊本、鹿児島

<全面解除、解除予定>

青森、岩手、宮城、秋田、鳥取、島根、香川、高知、宮崎、佐賀

<休業要請なし>

岡山、徳島

5月12日7時の時点での報道によれば、政府としては特定警戒都道府県以外の34県については一部業種に対する厳しい条件は付くものの宣言の解除に向けて調整を本格化する方向で検討されており、晴れて解除された県同士であれば特に移動の自粛等は要請しない方針で話し合いが持たれているとの事であった。

しかし、解除がなされた地域の「再流行」にも備える必要性がある事から、東京、大阪、北海道などは当分の間、特定警戒都道府県という扱いが継続するのではないかという見通しもある。

いずれにせよ、東京で店舗管理している身としては依然として多くの業種の休業を伴った最大級の警戒態勢が敷かれている状況下にある事から、まずは14日の中間評価を緊張しつつ待っており、この先々集団免疫の獲得や新薬の投入も奏功して重篤な病態に陥る方が減り退院者が増え、ひいては全国的にコロナ禍の事態が終息に向かう事を願って止まない。

さて、現況確認というかたちでの前置きはこれくらいにして、後段からは本題に入りたい。

営業再開後のエリア状況がどうなるか?

まずは全体的な事として、各都道府県の店舗数の減少および、それに伴っての軒数順位の変動の可能性から見て行く事とする。

各都道府県のホール軒数について

警察庁が公開している資料「令和元年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」等を元に日遊協が広報誌「日遊協 NICHIYOUKYO 4月号」で取り纏めたデータを参照すると、2019年(令和元年)12月末時点でのぱちんこ営業所数は、前年から421軒の減少となる9,639軒という集計になっていた。

また、各都道府県のホール軒数ランキング上位は、下掲の通りであった。

順位都道府県軒数
1東京794
2大阪712
3愛知524
4神奈川518
5北海道497
6埼玉475

私見では、今般の休業に係る負担、特に地代家賃(営業店舗/倉庫/駐車場の賃料や管理費、礼金、更新料等)の影響を受けやすい大都市圏に店舗を構えている場合は事は深刻で、緊急事態宣言発令直後の4月6日あたりからずっと休業している店舗の場合は直近の購入品目における締め支払いも発生しており、改めて「自粛には金が掛かる」という抜き差しならない事情に否が応でも向き合わざるを得ない段階に来ているものと推察する。

こういった状況で、あまり採り上げたくはない話題ではあるが、既に廃業という決断に至っていたり、休業入りして以降一気に資金繰り面での見通しが悪化したため実質的に営業再開の目処を立てる事が出来ない店舗も出て来ているだろう。

後者の方の実態はまだ把握し切れず表面化もしていない訳だが、漸次休業要請が解除されるに連れて悲惨な様相が顕わになる可能性もあるかと思う。

そしてこの事は各都道府県ごとのホール軒数の順位にも影響を与える事となり、久方振りに変動が生じる可能性もあるかも知れない。

仮に東京と大阪の順位が逆転などした場合には、業界内でもインパクトがある事として話題に挙がって来るだろう。

営業再開後のエリア内の序列変動は?

次に、事態が終息した後の各エリア内の営業力、集客力等の総称としての「序列」について少し考えてみたい。

これは、結論から述べると、下記の通りである。

①最上位店舗

営業上の仕掛けの有無や還元度の高低等は一切関係なく、エリア内の全店舗が営業再開した後も最上位として存在し続ける。

地域ユーザーは4~5月導入の新機種への遊技意欲があり、休業中もまとまった台数の入替をしっかりと済ませている店舗にアドバンテージがある。

長らく最上位を張って来たような企業店舗であれば、およそ1~2ヵ月の休業でも先々の経営/運営上の視界不良に陥るような事は無く、設置機種の面でも還元度の面でも下記②③に位置する店舗から地位を脅かされる可能性は無い。

②上位店舗

序列上2~3番目に位置する店舗においては、還元度の高低、特に演者/ライター/広告代理店が絡んだ仕掛け如何によって変動が生じる。

ユーザーが具体的な狙い所を求める状況には変化がないため、それに応えるためのツールとしての招致系/取材系イベントの需要は、エリア上位店舗中心に今後も維持される。

このカテゴリには20~30店舗を展開しているいわゆる「地方大手」がひしめき合う構図になっている場面が多いと考えられるが、その中で出玉感での集客勝負になった際には経営上の現金や現金同等物のストックとキャッシュフローの良し悪しで序列が上下する可能性があり、状態が悪いホール企業の場合はエリアから撤退したり仮に旗艦店舗であってもエリア内での存在感や自社における数字上の存在感を失うような場面も出て来るものと推察する。

いち早く自粛や休業に応じた店舗が多いのもこのカテゴリだと考えられるが、早い段階での休業という判断や地元ユーザー/会員向けにマスク配布等の喜ばれる施策を実施した、といった「好感度」は集客上では一切プラス作用しない。

どのような状況でもユーザーは打算的であり、立地、収支実績、設置機種、立ち回りのし易さ、居心地の良さ(慣れている)等の実利面でしかホール営業を評価しない。

仮に営業数字に反映されるレベルで高評価されているのであれば、その施策が量/質/スピード感などあらゆる点で圧倒的で徹底されているような場合のみであり、そのような取り組み/設備/サービス等を提供し続ける事が出来るホール企業/店舗は、ほんの一握りである。

③下位店舗

常に序列争いの下位や枠外であったり、そもそも序列自体に興味がない店舗においては、今後は純粋に企業経営/店舗運営上の体力勝負になる。

設置台数規模で言えば、前述の2019年集計では219軒あるとされる「100台以下」の店舗と、3,058軒あるとされる「101~300台」の店舗が多く該当して来るだろう。

自社物件ではなく賃貸である事を念頭に置いた際には、最も多く廃業が進むのはこのカテゴリであり、それは皮肉にも業界全体ならびに所属組合の今後についてや世間的なイメージ等を考慮していち早く休業に入った店舗ほど厳しい状況に陥っているものと推察する。

その逆に、あくまでも自社/自店の存立を考えた際には、エリアにおいて施設名公表がなされるギリギリのところまで営業し続けたところが「正解」と言え、その営業の内容によっては地元ユーザーや他エリアからの一時流入ユーザーから高評価され全面営業再開後において序列が上昇する。

これまでは特に専業層や地元ユーザーの店選びにおける選択肢にすら入っていなかった場合でも、今回のコロナ禍をきっかけに「見付かった」事で、今後はチェック対象となる可能性が高い。

これは、先日Twitterでコメントさせて頂いた通りである。

ユーザーの動向は?

次に、エリア内の遊技人口やユーザー動向についてもごく簡単に私見を述べさせて頂くと、これには見通しの懸念材料として3つ挙げられる。

第一に、若年層遊技客の資金不足

第二に、会社員遊技客の収入面での見通し不安

第三に、生活の在り方、日常の過ごし方、金銭/時間感覚や価値観、優先順位等の変化

これらが絡み合って影響し、全体としてみた際の「遊技人口」であったり、いかに大きな商圏であろうとも日常的にそのエリア内で稼動する人数は、休業要請の解除当初の時期においては否が応でも目減りする事が予想される。

減った人数の獲得合戦になるため、今回のコロナ禍によりエリア内の数店舗が廃業し店舗数や台数が減少したとしても、生き残った店舗がその「間引き」の恩恵を受けてコロナ禍以前よりも日頃の基本稼動が底上げされるという可能性は無いものと推察する。

より細かく見ると、まず若年層が抱える問題としては、一般ユーザーであれば居住/就学地域内の求人件数および現アルバイト先の勤務希望シフトの受け入れ態勢等が回復しない事には、遊技資金すら捻出する事が出来ない。

そして専業層においては、適当期間の蓄えはあれど、肝心の「普段使い」している店舗が営業再開後に粗利主眼の機種運用に終始したり、一般ユーザーによる「養分稼動」が減る事で期待値が高い台を拾える機会が減るような場合には、やはり懐具合は悪化する可能性が生じる。

専業層にとってのマイナスは、エリア内序列が低い中小店舗にとっては特にマイナス要因にはならずむしろプラスに作用する場合もあるが、前述した通りこの客層が好むイベント営業に力を入れていたり設置機種数や台数が多く立ち回りし易いため適当な稼動貢献度が認められている地方大手店舗にとっては、マイナス要因となる場合もあるかと思う。

高射幸性スロット機の設置比率は2020年1月末時点で7.6%という水準にあり、このタイプ/ジャンル機の撤去が進む事で、普段ここで期待値稼動している客層の来店頻度や稼動等にもマイナス影響が出て来るだろう。

これらの事情により、ホール営業にとっては特に新規則機化の流れも含めてみた際にやはりスロットコーナー稼動のマイナスの見通しがより一層強まったと言えるかと思う。

次に、会社員層についてであるが、直近では夏期賞与の支給額への不安感がある。

仮に7月支給の企業の場合は査定期間が前年11~本年5月くらいになるが、ここには自粛/休業の影響を直接的に受けた3~5月の業績が業種によっては書き入れ時になる新年度開始、新生活への移行、GW等の時期の数字のダウン幅というかたちで含まれるため、既に夏期賞与には相応の目減りを覚悟しているという会社員も多いものと推察され、その意識は2004年4月以来の低水準まで落ち込んだ直近の消費者態度指数や、「収入の増え方」「暮らし向き」「雇用環境」等の主要な項目で軒並み急速な落下が見受けられた消費者意識指標のようなかたちで垣間見る事が出来る。

では、その先はどうかと言えば、月々の諸手当や冬期賞与の水準減というかたちでの可処分所得減を織り込むと、やはりこれはホール営業にとっては「サラリーマンタイム」と言える夜時間帯や、土日の稼動へのマイナス要因となる懸念がある。

[参照]「消費動向調査」令和2年4月実施調査結果 作成:内閣府経済社会総合研究所景気統計部

最後に、生活の在り方、日常の過ごし方、金銭/時間感覚や価値観、優先順位等の変化がホール営業に与える影響についてであるが、これは当座では年配層の遊技意欲にマイナス影響を及ぼす可能性が高いと見る。

店舗によって年配層が好んで遊技するコーナー/機種は異なるだろうが、例えば私の管理店舗において年代別ならびに時間帯別の属性分析をすると、特に平日12~16時の時間帯における低貸しパチンココーナー、海コーナー、ジャグラー、パルサーにおいては相応の稼動マイナスを招く可能性はあると見ている。

もちろん、そうならないように備えるのが務めではあるが、コロナ禍という予期せぬ事態により突発的に発生した「余暇」において改めて自分自身の生活の仕方を再考したという年配層も多いであろう事が予想され、そういった価値観の変化に対してはホール側では積極的に干渉する事は出来ないため、やはりこの客層の集客見通しは悪化すると見るのが妥当だと思う。

最後に

以上、休業要請への積極的な協力店舗は営業再開後に稼動という形でのユーザー支持を得るか?

エリア内での店舗序列の変動やユーザーの動向は、どの様なものになるか?

という事を主題に据えて本稿を綴って来たが、約1か月の休業から今まさに全国の各地で営業が再開されたりその気運が高まっている事から、「コロナ後」の予見という段階から既に「現在進行形」の段階へと潮目が変わって来ている。

また、まだその影響が調査分析出来ないでいる4月1日以降の禁煙/分煙化や、差し当たって5月末まで継続中である外部に向けての広告宣伝行為の全面自粛下にあるホール状況も含めて、今後実際にどのような状況になって行くのかについては各都道府県/商圏において読者の皆さんご自身の目でご確認下されば幸いである。

楽太郎

Posted by 楽太郎