休業期間中に「釘確認シート」の範囲内に整備せよ

「検定機」とは?

本稿では、本来は話題にする事すら憚られるが敢えてパチンコ機の「釘」、もっと言えば「釘調整」について、ごく簡単にではあるが言及したいと思う。

まずはじめに、釘の状態についての考え方として、

①ホール側が完全にノータッチでなければ「検定機」ではないとする考え方

②メーカー側が遊技機の納品に際して提供しホール側が常備している「釘確認シート」というものについて、営業の用に供されている遊技機の釘の状態がシート上に図示されたマークの範囲内であれば警察庁および各都道府県警本部としては「検定機」と見なし得るという考え方

※「釘確認シート」の正式名称は「くぎ確認シート」であるが、本稿では慣例上より多く用いられている前者に統一する

これらの2つに分かれるが、この時点でホール営業に限らず「法令というものは例外なく順守されるべきであり、幾分の逸脱も許されない」という立場の読者の方にとっては、そもそも①が当然であり②が当たり前になっているようならば異常であり是正されるべきとお考えになるだろう。

このような立場の方に対して、検査には基準となる数値やツールが必要であり、その基準内に収まっているのであれば合法である、許容される、このように説明し、仮にそれが実社会において機能していたとしても、

「いや、社会生活の様々な現場や、他の業界においてそうだとしても、ぱちんこ業界に限っては許されない」

という回答になる場合もあるだろうから、ここではこれ以上の事は述べない。

あくまでも、ホール営業の用に供されている遊技機の釘の状態について「検定機」か否かを判別するツールは「釘確認シート」であり、取り締まり行政側としてはこの範囲内に収まっているのであれば「検定機」と見なしているのだという事実だけは、ご承知おき願いたい。

次に、肝心の「釘確認シート」について、このブログの読者には業界事情に詳しくないユーザーの方々も含まれているため、ごく簡単にではあるがこのツールについてと、運用の仕方に関する事について説明したいと思う。

なお、後段の内容の一部は、私も運営側のご厚意でスタッフとして参画させて頂いているオンラインサロン「パチンコ未来ラボ」で投稿した内容の一部である。

※サロン内の情報は無断での外部提供は不可であるが、本件は私自身の投稿であるため、例外と見なして頂く

釘確認シートの制度運用について

2017年(平成29年)3月9日、日工組は全日遊連、日遊協、同友会、余暇進、PCSAという業界5団体に対して「流通制度における遊技くぎの点検確認について(ご連絡)」という書面を通知した。

これにより、同年4月1日以降に納品される新機種から、検定機か否か、すなわち釘の状態が目視確認しやすいようにゲージ盤に打ち込まれている釘に直接当てて使用するクリアシートの制度運用が開始される事が決定した。

これは、表向きの理由としては 検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機=「不正」遊技機を販売してしまい、その撤去問題を招いたという経緯から日工組がメーカー責任を厳格化し型式保全への姿勢を明確化したのだと言えるが、「メーカー側としては”検定機”を納品したのだから、それ以後の釘の状態についてはホール責任ですよ」と丸投げされたように感じたホール関係者が当初は大多数だったかと思う。

このあたりの事情について、以後ホール側からは釘確認シートの範囲内で営業運用して貰う事を念頭において釘マークのサイズに一定以上の「遊び」を設けるように日工組内で申し合わせがあったのかどうかについては、例えばPOKKA吉田氏のように取り締まり行政事情や各業界団体の考え方や動きをつぶさに把握し得るコネクションや実績を持った識者でなければ知り得ない事なので、制度自体の説明についてはこの程度に留め置く。

さて、そんなこんなで制度運用が開始された訳だが、ホール関係者であれば既知の通り、従来よりメーカー/機種/台によって納品時の釘の状態にはかなりのバラつきがあり、特にベニヤ盤面の機種ではそれが顕著であった。

その事を踏まえるとまず第一の懸念は、そもそも新機種納品時の釘の状態が工業製品としてどの程度の精度、クオリティ、均一性を保ってくれるのかという事であり、第二に「中古機の納品時が不安である。特に、釘の扱いが酷いホール企業店舗から外れた台など、絶対にいらない」などといった中古機事情。そして第三に、肝心の釘確認シート自体がメーカーによって釘マーク図示の仕方やサイズ、どこまでの盤面領域および釘本数をカバーしているのかがまちまちであり、果たしてこの制度下でどの程度の営業運用が可能なのか見通し難い状況であったと言える。

これは時期の区分までは明言できないが、制度運用開始初期の頃は釘確認シートの範囲内で営業すると例えば33個交換店であったとしても営業数値が高すぎて(=交換個数ボーダー以上)必要粗利を残せない機種があったり、その反対に1/319タイプ機なのに千円16.5回水準の回り方しかせずに稼動を付けるのに難儀する、或いは命釘の開け幅が左右対称とはとても言い難く(右側だけ引っ張って開けてあるので不格好過ぎる、等)ユーザーが見た場合「これは納品ゲージには見えない、かなり曲げているのでは?」という印象を持つのではないかという心配材料が沢山あったと言える。

しかし、そこは流石に、三共のように新型の高性能検品機の導入など各メーカーともその後の対策をしっかりとやってくれたようで、一部ではなく全釘のマークが図示されるようになったあたりからだと思うが、シートの範囲内で微調整を加えるだけで営業の用に供する事が可能な機種が多くなったように記憶している。

例えば、サンセイの多くの機種は一般入賞口を開け気味で納品して来ていたため、ここを釘確認シートの範囲内で閉める(=真っ直ぐにする、すなわちユーザー目線ではマイナス調整には見えない)だけでベースダウンさせる事が可能になっていた。

このあたりから私は、ブログ記事でもTwitterでも「釘確認シートの範囲内での営業は十分に可能であり、仮に逸脱するような調整をするにしても程度問題があるだろう」という主旨の発信をするようになった。

外出先でお邪魔したホールに過度な釘曲げ台があった場合などは、その箇所を撮影し

「どうしようもなく酷い釘である」

「このようにぐんにゃりと曲げられた釘からは美意識や矜持みたいなものを一切感じない、この法人/店舗には釘の事が分っている者が一人も居ない」

などと口汚く叩いた事もあった。

このようなやりたい放題の釘曲げ事情を勝手に憂いて、Twitter上で「釘曲げパチショット祭り」(ホール名は伏せるというルール)を開催しようかと発信したところ、たしか150点ほどの画像が寄せられるも、ホール関係者2名からメールで苦情が来たり、P-WORLDのホール関係者専用掲示板に「頭がおかしい店長が居る」などと書き込まれるなどして、結果的にはこのような物議の醸し方は宜しくないだろうと冷静になりこの企画はお蔵入りとなった。

釘の状態は改善せず

しかし、事実として、同制度がまともに運用されるようになって以降も、釘の状態は改善したとは言い難かった。

それは何故か?

理由として考えられるのは、

・2005年以降シェアを増して行きホール営業の主役に躍り出た「旧MAXタイプ機」(=確率1/390前後、継続80%前後のタイプ/スペック機の通称)の、時期を3段階に分けての撤去

・DK-SIS上にて1日に2万枚以上の払出実績が確認されている「高射幸性スロット機」の段階的な設置比率減の取り組み

・「射幸性の抑制」と「依存問題対策」を旗印として実施された規則改正による払出性能の低減と、それに伴っての適宜の措置による旧規則機の撤去

主にこれら3つの出来事が決定的に作用し、ホールの懐具合を急激に悪化させたからだと言える。

また別の観点では、上記の事に加えて、多くのホールが演者/ライター招致系や取材系のスロットイベントを多用し、当座の稼動を得ようとする流れが強まった事も関係しただろうか、他方のパチンココーナーが割を食わされる形になり、その釘の状態は遊技盤面に対して概ね垂直やらシートの範囲内やらはなんのその、とでも言わんばかりに酷い状態になり、このような有様が続けばホールに長らく通って下さっていた年季が入ったパチンコファンでさえも離脱してしまうのではないか、という強い懸念により私は釘についての発信を再開させる事となった。

シートの範囲内で日々の営業運用が可能なのに、なぜやらないのか?一体いくらの台粗利が欲しいのか?そもそも取扱説明書をちゃんと見ているのか?ベースアップ貢献度(=入賞口ごとに記載されている分間入賞個数を参照)が最も低い一般入賞口と最も高い一般入賞口を同じ曲げ幅で動かすのはどのような考え方によるものなのか?などという発信を繰り返した。

すると不思議な事に、制度運用開始当初は運用(要は釘調整)についてやシートの事について軽く言及しただけで熾烈な非難を浴びたのが、その頃になると匿名/店舗アカウントの区別なく多くの同業の方々から

「この曲げ方は同業としても許容できない」

「こんな状態にしなくても十分に運用できるはずだ」

などといった具合いに、発信内容をフォローして頂ける場面の方が多くなった。

その後は、納品ゲージと設計値から判断して、この機種はおそらくシートから逸脱するような運用をするお店が多いだろうなと判断したものの設計値を公開する事で、悪辣な店舗の場合はこのポイントを曲げる可能性が高いなどと僭越ながら警鐘を鳴らしつつ牽制しているつもりであった。

これについても、既に納品された取扱説明書な訳だから別にその一部ページを公開しようが問題ないだろうと許容されたらしく同業からも含めて特に異議お申し立てなどは来ず、ユーザーの方々からは「参考にしている」という主旨のご連絡が一気に増えた。

例えば、釘の事に詳しいユーザーの場合は

「左下入賞口は分間0.39個となっていますが、こんなところをグイグイ曲げているお店って考え方がオカシイですよね?」

「設計上のベースの中央値が28という事は、このゲージだと技術介入遊技でもせいぜい千円18回がいいところだと思います。それで寄りを割ったり左に蹴ったりすれば、千円15回も回せないかと思います。実際、自分の定期巡回先のホールだと、土日祝の書き入れ時だと全力で抜きに掛かるのでそういう調整の台しか無い場合もあります。ホールは新機種に対して一体どれくらいの台粗利を見込んで叩いているのでしょうか?」

などといった具合いに、やはり画像付きでDMを頂戴し、それに対して私は

「ご指摘の通り、あの法人/店舗の考え方、釘のレベルは極めて低いと思います」

「私が、目隠しして、利き腕ではない方でストロングゼロを飲みながら叩いた方がまだマシな運用が出来ると思います」

などと回答したりしていた。

設計値と営業実態との著しい差異を明確化するために

そんな折、某メーカーから、下記のような主旨でのご連絡を頂戴した。

・Twitterで自社機種の設計値と盤面図を掲載ツイートしているが、これについて日工組関係者から内々にクレームが入った

・不特定多数が閲覧可能なSNS上に、原則として納品後にしか入手困難な当該資料がupされるのは如何なものか

・これが周知になる事によって「設計値とホールの営業実態との著しい数値差異」をユーザーが容易に明確化出来てしまうリスクがあるのではないか

ご連絡の掻い摘んだ内容は、このようなものであった。



これに対して私は、まずは日工組との遣り取りでお手間をとらせてしまった事と無断での資料発信を陳謝した上で当該ツイートを即時削除し、次いで下記のような主旨で自身の考え方について説明させて頂いた。

・これまで、おそらく20回近く同様の発信をしているが、今回初めて(間接的に)日工組から指摘を受けた。たまたま目に留まっただけなのか

なぜ設計値を公開するのかについて、まさしく「メーカー設計値とホールの営業実態との著しい差異を明確化させるため」である

・メーカー側は当然ご存知の通り、しっかりと配慮した上で設計/製造されている機種がほとんどであるため、ホール側の「工夫」次第で釘確認シートの範囲内でのベース値/回転率等の運用管理は十分に可能である

・しかし、我々ホールの中には従来的な安易な釘調整、つまり一般ユーザーですら容易に見て取れるような露骨なやり方でそれを行っているところも未だに多く、それは名のあるホール企業であっても同様である

・私は、発信活動を通じて、ぱちんこ業界のおかしな物事に対して、それは本当に今後のぱちんこ業界のためになるのか業界人もユーザーも再考して欲しいと、大海に小石一つ投げ込む程度の影響力しかないだろうがそれなりに覚悟を持ってやらせて頂いている。設計値と営業実態との比較が可能な資料、データ、釘曲げ画像などの公開には、そのような理由がある

・だが、同時にまた、今回の日工組のご指摘やご懸念は、ご尤もであると思う。メーカー各社、組合関係者の方々にご迷惑をお掛けするのは本意ではない。よって、ご指摘を十分に理解し納得した上で、当該ツイートを削除させて頂いた

このような返信をさせて頂いたところ、当該メーカーからは寛大なるお許しを賜り、本件は落着した。

新ブログ立ち上げ

今回、釘(調整)の事に言及するにあたり、某メーカーとの遣り取りの内容を前段の内容の通り掻い摘んで公表させて頂いたのには理由がある。

それは、古参読者の方から

「最近、設計値と営業調整の乖離についての発信が無いのは、どこかから圧力でもかかったんですか?」

という主旨のお問い合わせがあり、それに対して

「発信歴が適当に長くなったり、フォロワー数も増えて来たので、以前のように自由度が高い発信は出来ない」

「入手している確度が高い業界情報でも、関係者や情報提供者の方々の事を考えると発信しない方が良いものも多いので、今後は控えて行くつもりだ」

「今後は、業界資料を画像でup/ツイートする事は控える」

「DMなどの内々の遣り取りも、外部流出した場合は関係各所にご迷惑が掛かる場合もあるため控える」

「今のブログ(=当時更新していた『パチンコ屋の裏話 現役店長楽太郎のお部屋』)では前述したような資料が画像として相当数掲載されている。このままブログ更新し続けていると関係各所へのご迷惑はもちろん著作権等についてお申立てがあった際には面倒であり、かといって一つずつチェックして削除や差し替え等をする労力/時間を捻出する事は不可能である。よって、近い内に新ブログ(=現在更新している当ブログ)を構築する予定である」

という主旨で回答したという経緯があったからである。

この回答は、TwitterのDMにおいて従来なるべく返信させて頂いていたものを、原則として返信しないように方針変更させて頂いた理由としても当て嵌まる。

要は、今までのやり方では、ぱちんこ業界の発信者の一人として許容されないだろうと考えて、在り方を変えようと思うに至ったという訳である。

釘確認シートの範囲内に整備せよ

長々とお話しして来たが、必要な説明はこれで全て終わった。

改めて、表題の通り、ホール関係者の方々に対して、

休業期間中に「釘確認シート」の範囲内に整備せよ

とお伝えしたい。



4月初旬から緊急事態宣言が出されるに連れて休業店舗が増えて行き、エリアによっては20日前後の時点で80%前後の店舗が休業という状況になり、例えば主要駅近辺では営業続行しているのは片手で数える軒数しかないという場面も多かったかと思う。

そうした状況下で営業店舗の責任者が恐れた事はいくつかあるだろうが、敢えて三つ挙げればまず第一に自店がクラスター発生源となってしまった場合の事であり、第二にメディア特に低質な内容も多いTV報道に晒される現場となってしまう事、そして第三に同業/ユーザーからの釘の状態についての通報により営業停止処分となる可能性についてではなかったか。

新型コロナ禍における振る舞いについては本稿では割愛するが、釘についての懸念は自店の普段の在り方が招くものであり、それは今こそ対処すべきであると判断する。

その対処により、結果的には、監督官庁たる取り締まり行政側の方々の心配事ならびに面倒をお掛けする場面も減り、当然の事ながら自社/自店の営業上のリスクが低減される事となる。

釘、釘調整、釘確認シート、釘の状態などについては本来殊更に取り立てるべきではないが、今回敢えて話題にさせて頂いたのには読み進めて頂いた経緯で私なりに必要性があり、発信すべき時期はまさに今であると判断した次第である。

楽太郎

Posted by 楽太郎