ホール企業/店舗において、新型コロナが破壊したかも知れないもの

非日常を生きる

先週の動きとしては、4月16日の緊急事態宣言の全国規模での発令とそれに伴うぱちんこ店への休業要請エリアの拡大を受けて、「キコーナ」等の屋号で展開するアンダーツリーグループが全157店舗の休業を発表し、またマルハンの休業店舗数が12都府県135店舗に増加するという非常にインパクトが強い出来事があるなど、ぱちんこ業界における新型コロナ禍への対処の状況はより一層緊張感を増して来ていると言える。

先んじて臨時休業/無期限休業に踏み切っていた主要ホール企業においては、約2週間という各都道府県における当座の外出自粛要請期間では事態は終息しないだろうという見込みがほぼ確実視されるような現況に際して、一体いつまで休業すべきなのか、どの程度まで従業員の生活を支え続ける事が可能なのかといった具合いに、先が見えない静かなる戦いに不安感を募らせているような状況かと推察する。

一方、休業する事が出来ないという背に腹はかえられぬホール企業店舗においても、一部のエリアでは主立った競合店が軒並み休業する傍らで一時的な稼動増となるも、除菌/換気等の徹底はもちろんマスク着用の強制等による来店客の協力を得ながらの感染拡大防止に最大限努めての営業で、ホール巡回業務にあたるスタッフやその家族は心身を擦り減らしていると言えるかと思う。

そのような営業中の店舗管理職の中には、自社の経営状況の厳しさは理解しつつも、自ら陣頭指揮にあたる中で部下やお客さん方を感染のリスクに晒している事実に苛み続けているという方も多くいらっしゃる事だろう。

実際、私のところにも、経営者の方から皆と一緒にこの苦境を乗り切りたいと決然とした態度で言われ、経営者の苦労を察した上で営業して行く覚悟が決まったと仰る上位役職者の方や、その反対にこういう時にすら”被害者”や”傍観者”の体でいて自分で進んで判断出来ない、指示を出せない、現場に丸投げする、その割には結果には不満を言うような経営者の方に対して「底が知れた」と仰る店長さんからのご連絡があり、今のホール状況が普通ではないのだという事を痛感させられるような毎日を過ごしておる次第である。

せっかくの機会だから、後段で、新型コロナウイルス蔓延に至る経緯を時系列で振り返ってみたい。

採り上げる項目についてだが、各メディアの報道を参照しつつ、あくまでも私の観点でひとつの座標として置くべきと判断したものに限るため、全般を網羅出来ない事についてはご容赦願いたい。

新型コロナ蔓延に至る時系列

<2020年1月>
中国において前年12月末から原因不明のウイルスによる肺炎が発生し、2020年1月5日時点で過去に蔓延したSARSである可能性が否定され、新型である疑いが強まる。

7日 :中国政府が武漢市の肺炎患者から新型コロナウイルスを検出したと公表
16日:武漢市から日本に帰国した中国人男性から新型コロナウイルスを検出(国内初感染)
23日:武漢市の都市封鎖
28日:武漢市からのツアー客を乗せたバス運転手の感染を確認(日本人初感染)
29日:武漢市滞在邦人のチャーター便での順次帰国が開始
31日:WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。また、アメリカ政府が緊急事態を宣言。

<2月>
1日 :日本政府が「指定感染症」および「検疫感染症」に指定し、検査/入院措置を強化
3日 :中国共産党指導部が「中国の統治能力にとって大きな試練となり、一連の対応で至らない部分が明るみに出た」として感染症対応の初動時の誤りを認める異例の声明を出す
5日 :イギリス船籍(運航管理はアメリカ企業)の外航クルーズ客船「ダイヤモンドプリンセス」で集団感染が判明
7日 :武漢市における新型肺炎発生の疑いをいち早く報告した医療関係者である李文亮氏が死去
11日:WHOが新型コロナウイルスによる肺炎などの疾患の名称を「COVID-19」として公表
13日:日本国内における初の死亡者が発生
24日:「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が開催され、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解」を公表
27日:国内の 感染拡大を防ぐため、全国の小中学校/高校/特別支援学校を3月2日から春休みまで臨時休校とするように政府が要請
28日:ディズニー等の施設が休業を公表

<3月>
3日 :政府が「雇用調整助成金」の対象拡大を発表
8日 :欧州各国で蔓延し特にイタリアでは感染が拡大
9日 :日本プロ野球機構が開幕延期を公表
12日:WHOが「パンデミック」認定
13日:新型コロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に加える改正法が参院本会議で成立
24日:東京オリンピック開催延期が決定
25日:小池東京都知事が記者会見し「4月12日までの間”3つの密”を避ける行動をお願いすると共に、平日夜間の外出および週末の”不要不急の外出”を控えるように」という主旨の要請を行う
28日:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が啓発資料「3つの密を避けましょう」を公表
29日:感染が公表され闘病中であった、著名タレントの志村けん氏が他界

<4月>
3日 :全世界の感染者が100万人を突破
7日 :7都県において「緊急事態宣言」発令
8日 :武漢市の都市封鎖が解除
11日:全世界の死亡者が10万人を突破
15日:全世界の感染者が200万人を突破
16日:日本全国において「緊急事態宣言」が発令
19日:日本全国の感染者が1万人を突破(死亡者161人、回復者1,069人)



…概観としては、上記のような経緯を辿って来ている。

新型コロナが破壊したかも知れないもの

前段で振り返った経緯において、どの時点で、誰が、どのような対処をしたか?

これについては、どの都道府県で生活/営業しているかやホール企業/店舗によって大きく異なっている事と思う。

日々多くの方々と情報/意見交換したり、Twitterの発信等で様子を窺える範囲で全国のホール関係者の方々の状況を推し量ると、1月末の時点で「SARSの時のように、特別な警戒が必要かも。マスク等の生活衛生品が不足する?」と見通して在庫の確保に動いたところもあれば、2月末の臨時休校要請の発令時点でも国内感染はクルーズ船という局所で起こっているのみで未だ”対岸の火事”的な感覚で居たところもあったが、概ね3月末の東京都における「3密回避」と「不要不急の外出自粛」要請および4月初旬の7都府県における「緊急事態宣言」発令で何かしらの判断や行動を起こしたところがほとんどかと思う。

ここでは、具体的にその判断/行動の内容には触れないが、経営者や事業部長、営業部長、ブロック/エリア長、統括店長クラスといった上位役職者の方々が下した判断や行動およびそのスピード感によっては、特に店舗付きの管理職の方々の会社への忠誠心や業務に対するモチベーションに大きな影響を及ぼしたであろう事が予想される。

つまり、営業現場を切り盛りしている立場の方の中には、この一連の新型コロナ禍において会社や上長を見限ったという方もいらっしゃるのではないかと思っておる次第である。

主に、その原因となり得るのは

・判断すべき立場の者が判断せず他の者に丸投げした

・判断が遅すぎた、日和見的であった

・現場に感染リスクを負わせるものの健康面や経済面でのケアを一切しなかった/未だにしていない

・曖昧な査定や場当たり的な待遇改定/予告解雇等を実施したり先行き不安になるような発言を繰り返した

例えば、このようなものが挙げられるだろう。



つまり私は、今般の新型コロナ禍において、別サイトへの寄稿記事でも簡単に触れた通り、ありふれた日常が非日常に転化したというだけではなく、

・経営陣(上長)と現場管理職/ホールスタッフとの信頼関係

・会社に対する忠誠心

・経営者が本来持っており侵しがたいものであったはずの威厳、神秘性、説得力

これらが回復不能なまでに破壊されてしまったというホール企業/店舗も数多く存在するのではないか?という懸念を持っている。


この懸念が当て嵌まるのであれば、この先々において事態が終息したとしても、例えば要職にある者や現場のキーマンとして機能していた者の退社/転職や、経営理念と営業実態の齟齬といったかたちで、当該ホール企業/店舗にとって非常に面倒な問題として立ち現れて来る可能性があるものと見通す。

もちろん、同じホール側の立場としては今回示した懸念の真逆、つまり過去に前例のない状況においてより一層社内の結束が増した、信頼関係が強まった、そのような結果を期待したいと申し添えて、本稿を締めさせて頂く事にする。

楽太郎

Posted by 楽太郎