全日遊連が警察庁に対して「ノーマルタイプ5号機」を「低射幸性機」として「設置期限延長」を陳情する可能性があると見る

2020年4月1日

コロナショックのダメージ

他業種の例に漏れず、新型コロナ禍によりホール営業だけではなく供給側や設備関係等も含めたぱちんこ業界全体における様々なマイナス影響が日々業界内で囁かれております。

最も大きな声としてはやはりユーザー最前線であるホールから聞こえて来るものであり、その内容はまず第一に「粗利水準のダウン幅をいかに小さく抑えるか」であり、第二には「警察庁および組合の要請に沿った粛々たる営業の在り方について」、そして第三に「非常事態にも関わらず平時通りの広告宣伝を伴った営業におよぶ法人/店舗への怨嗟」であると言えるかと思います。

非常時にあっても粗利を考えるという事については、ユーザーの皆さんからはご理解頂けない事ではありますが、ホール営業に限らず営業施設の維持において清貧は必ずしも美徳ではありません。

従業員およびその家族の生活をしっかりと支え、お客さんに対して常に安全性が高くより快適な遊技環境を提供し、何よりも今後もホール企業経営および店舗運営を継続して行く事を考えた際には、適当な利益は得ないといけません。

それゆえに、経営陣と店舗管理責任者クラスとの間では、経営視点でのリアルな利益面と、運営視点におけるモラル=社会から許容されるかたちでの営業の在り方というものがなかなか相容れず苦慮しているような場面も多いものと推察します。

実際、私のところにも、サブマネジャー身分と仰る同業の方から、「土/日/祝日の短縮営業と19時以降の外部照明および電飾看板類の全消灯を提案したが、店長からは”粗利ノルマを考えた際にそれはできない”、”会社の方からの指示がないと不可能である”と返答された」という主旨で相談を受けておるところです。

「自粛」すべき

大きなホール企業であれば企業イメージというものを考慮して何かしらの自粛を実施するのが常であり、そのような打算での自粛は本来の自粛の意義には反しているといった論議もなされる訳ですが、そうは言っても自粛は自粛であり配慮は配慮ですので、会社からの指示というかたちでこのような非常時には「上から降りて来る」のが短縮営業の指示なり発信行為の自粛等の措置であると言えます。

しかし、中小ホール企業、特にほぼ「家業」と言って良い規模の経営/運営状況の場合は、あくまでも自社/自店が立ち行く事を最優先して物事を考える傾向があるかと思いますし、実際に業界イメージなどは大手が考えるべき事であり自社/自店ではそんな事を考える程の余裕などない、というスタンスで臨む場面がこれまでは多かったと思っております。

ですが、私の眼の届く範囲、つまりは東京エリアおよびその近県における色んなお店の営業状況は、余裕が無いはずの中小店舗が各方面遊協の自粛要請に率先して従い、その一方で全国大手や関東大手と呼ばれる名のあるホール企業が手を変え品を変え集客の色気を漂わせた営業を実施し続けていました。

この傾向は、幸いにして、いや遅ればせながらと言った方が良いでしょうか、先週中に発せられた小池都知事の「外出自粛要請」等により緊迫した雰囲気が醸し出された事も影響してか、3月28日(土)以降は何かしらの自粛を講じたり、さすがに外向けの発信はマズいぞと警戒したのか、派手な露出というものは一気に沈静化したように見てとれます。

冒頭で述べさせて頂いた通り、経営のリアルな面を直視した際には「なりふり構ってはいられない」という判断なのかも知れませんし、ユーザーの中にはそのような逸脱行為に及ぶお店こそユーザーフレンドリーであり「利用し甲斐がある」と見て早朝深夜不問で行列を成すという結果になってしまうのかも知れませんが、後者の心理や事情を責める事は出来ませんのでやはりここは我々ホール側の身を切る判断が求められるような状況であると思っております。

照明/看板類の消灯という外部から目に見えるかたちでの自粛、営業時間の短縮、開店待ちの並びが自然発生した際の適切な整理誘導、こういった何かしらの対処は営業規模の大小を問わず必ず実施すべき事と言え、その判断が長い目で見ればぱちんこ業界全体の未来を守る事にもなろうかと見通します。

「温情措置」の陳情はあるか?

こういった状況を踏まえまして、記事タイトルの通り本題に入らせて頂きます。

規則改正の狙いのひとつに射幸性の抑制が挙げられ、警察庁の公式な見解ではないもののそのお膝元である東京エリアを所管している警視庁としては、ノーマル(いわゆるA)タイプ機を指して「比較的射幸性の低いもの」と定義して、所定の手続きで認定取得しており規則改正以前に「認定切れみなし機」となっていた型式については期限付きではあるものの事実上の継続設置許可というお目こぼしを与えたという事実があります。

この措置の通知はもう2年半も前の事ですから、少し振り返ってみます。

以下、「低射幸性」ノーマルタイプ機の”適宜の措置”=経過措置について正式に言及された行政講話の内容の一部です。

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2017年(平成29年)11月29日

東京都定例執行部会

警視庁生活安全部保安課 風俗営業係 係長

酒井 文博氏による行政講話の内容の一部

<規則改正に伴う認定申請について>

鋭意作業中で、これまでに約7000件を処理した。

一方で、年内に検定の切れる申請で、検定有効期間が切れる直前の申請も一部あり、間に合わずに申請を取下げていただいたケースもあった。

引き続き、全力で手続きを進めているが、できるだけ早い申請をお願いしたい。

また、これまでのケースとして、申請の添付書類が他県の書類であったり、申請を受けて実査に伺ったら、当該遊技機が設置されていなかったということがあった。

こうしたことがあると、ますます遅れてしまうので、申請時には、よく確認してほしい。

<規則改正に伴う遊技機の取扱いについて>

来年2月1日の改正規則施行後に設置できるものは、経過措置として、検定期間、認定期間を残す遊技機となっている。また、みなし遊技機のうち、比較的射幸性の低いものについては、改正規則施行後、改正規則に適合する遊技機が市場に投入され、営業所において、遊技機を入れ替えるまでどれくらいの期間を要するかを踏まえて、適宜の措置が行われることが考えられるが、その取扱いの対象となるみなし遊技機(以下「対象みなし遊技機」という)については、以下の通りとなった。

「対象みなし遊技機の類型」

  • ぱちんこ遊技機:大当たり確率1/100以上の遊技機(いわゆる羽モノ
    を含む)
  • 回胴式遊技機:指示機能又は再遊技確率が高い状態を維持する機能を有さない遊技機(いわゆるノーマルタイプ)

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行政講話の内容の該当箇所は、上記の通りです。

足りないのはノーマルタイプ機

目下、ホールの遊技機購入/売却管理を担当している上位役職者の悩みとしては、ほぼ共通の事として「機種寿命が長いATタイプ機の不足」および「ノーマルタイプ機の現行流通量および今後の供給見通し台数の不足」と言えます。

特に後者については、正月休みが明けて早々に案件を入れさせた北電子の新規則第一弾ジャグラーですがその初販台数も割り振り条件もホール側にとっては相当な不満感があり、そこに来てコロナショックにより順次増販して行く計画にも綻びが見えて来ている状況ですので、不安感がより一層強まっています。

一例を挙げると、北電子製のホールコンピュータ、会員管理システム、賞品カウンターPOS、賞品払出機、チケッタ等の設備機器をほぼフル装備していても、回収に充てる旧ジャグラーを保有していなかったため新規則第一弾ジャグラーの回答がゼロだった、という店舗も存在しています。

このゼロ回答の内容は、「5月の初販、6月納品の可能性がゼロであり、どうにか7月の製造が回復してもそれを割り振りできるかどうかは未定です」というような、非常に厳しいものです。

つまりは「設置中のマイジャグラーⅣとゴーゴージャグラー2を売却して、その売却値を活用する事で第一弾および第二弾ジャグラーを導入し、ノーマルタイプ機コーナーの新規則機化を進めて今後の粗利作りの足掛かりにする」という営業施策、或いは年間計画が現時点で既に見直しを迫られている、という事を意味しています。

「同じジャグラーでも、獲得枚数が多い5号機をより長く設置するのが当然だろう」というユーザー側の考え方はまさにその通りではありますが、前段までにお話しした通りホール企業経営および店舗運営を考えた際には特に中小店舗は必ずしもその要望に応える事は出来ず、「売りながら買う」という施策を採用せざるを得ない場面があるのは事実です。

そこに来てジャグラーの供給不足および割り振り条件の難化という状況ですので、完全に当てが外れた店舗もかなり多いものと推察します。

では、ジャグラー以外のノーマルタイプ機で今度どんどん主立ったタイトル機が出て来るのかと言えば、3月末時点では新作サンダーVが当初の3,000台という予定よりも多い8,000台という水準で出て来てくれるというだけであり、これすらもユニバーサルに対して集まった10,000台という案件よりも不足しての供給になります。

いわゆる「王道系」と呼ばれるユニバーサルの複数のオールドタイトル機、パイオニアのハナハナ、山佐のパルサー、そして北電子のジャグラーシリーズ、これらが潤沢な台数で出て来て初めてホール側は新規則機化の未来図に対してある程度の安心感を持つ事が出来ると言えます。

「非常時の温情措置」陳情の可能性

このような状況を見て、私見では、全日遊連として「新型コロナ禍によりメーカー側の供給台数減および今後の供給見通しが悪化し、型式試験の適合状況も改善しているとは言い難く、更にはホール側の懐具合の急激な悪化という状況下で予定通りの日程で新規則機化を進め経過措置期間内にそれを完遂する事は非常に難しくなった」という内容で、警察庁に対して「非常時の温情措置」を陳情する可能性があると見ます。

そして、その温情措置の主軸になるものは、前段で申し上げた通り「低射幸性」ノーマル機の設置期間延長であり、仮に警察庁~全日遊連(メーカー団体の後押しも考えられる)という二者遣り取りではなく、ここに「時代に適した風営法を求める議員連盟」が関わって来た場合には政/官/民の三すくみの構図となるため 、その陳情の妥当性が客観視され実現可能性が高まると見通します。

懸念材料としては、秋元司議員を欠いた状態での議連の活動力な訳ですが、現時点では検討材料が乏しいので本稿では言及致しません。

いずれにしても、入れ替る機種の物量が不足しており回復の見通しも芳しくない入れ替えるための資金的な体力を失っている取り締まり行政側としてはなるべく射幸性が低いタイプの遊技機の設置シェアがあった方が「依存問題対策」および「射幸性の抑制」という目的に沿う、というのは事実ですので、仮に全日遊連が動いた際には多くの業界人はこれを支持するものと思っておる次第です。

しかし、そこで問題になるのは、果たしてホール側は取り締まり行政側の要請に沿うような営業をやっているのか?という事になります。

新型コロナ禍にあって、特に都遊協は実に7回にわたり「新型コロナウイルス感染症対策について」という通知書面を発し、除菌や換気の徹底および広告宣伝の自粛、また開店待ち客が発生した場合の適切な対処等を各組合員に対して求めて来ましたが(3月31日時点)、ここまで通知を発しなければならない背景にはこの期に及んでも逸脱行為に走る店舗が少なからず存在している事を意味しています。

このような状況でなされた陳情に対して、警察庁がどのように反応するのか、また業界事情に通じているユーザーがどのような心象を抱くのか、実際に陳情がなされるか否かも含めて私としては成り行きを注視しておるところです。


以上、今回はこれくらいにしておこうかと思います。

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楽太郎

Posted by 楽太郎